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「フリーター」(2) 平成12年6月に発表された同年版「労働白書」は、いわゆる「フリーター」 が1997年には151万人に達したと推計した。その3年後、平成15年5月に発表さ れた同年版「国民生活白書」は2001年のフリーター数を417万人と推計した。 もちろん、この間にフリーターが200万人以上も増えたというわけではない。 「労働白書」のフリーターの定義は「年齢が15歳〜34歳で、(1)現在就業して いる者については、勤め先における呼称が『パート』または『アルバイト』で ある雇用者で、男性については継続就業年数が1〜5年の者、女性については未 婚で仕事を主にしている者(2)現在無業の者については、家事も通学もしてお らず「パート・アルバイト」の仕事を希望する者」であり、「国民生活白書」 のフリーターの定義は「学生、主婦を除く若年(15〜34歳)のうち、パート・ アルバイト(派遣等を含む)及び働く意志のある無職の人」となっている。使 われている統計が違うので大雑把にしかいえないが、「国民生活白書」の定義 では、「労働白書」の定義と較べて「派遣・嘱託などで働く人」「正社員の仕 事を希望する無業者」および「非労働力(今は職探しをしていない)だが働く 意志のある人」が加わっている分だけ人数が多くなっているといえるだろう。 「国民生活白書」の定義には、常用派遣で働く設計技術者のような「フリータ ー」の自覚がない人まで含まれるいっぽう、「労働白書」の定義では、正社員 の仕事を希望してはいるが、現実にはパート・アルバイトでの就職も困難、と いった人が含まれていない可能性がある。前者は政策的支援の必要となる可能 性がある人を幅広く包含し、後者は政策的支援の必要性の高いコア部分を取り 出しているといえそうだ。どちらの定義が適切かは一概にはいえないだろうが、 「国民生活白書」によれば「労働白書」の定義による2000年のフリーター数は 193人、平成16年版「労働経済白書」によれば2003年のフリーター数は217万人 なので、増加していることには間違いはないようだ。 行政官庁による定義がこれほどまでに異なるということは、フリーターの多 様性の現れとみることができるだろう。労働政策研究・研修機構の小杉礼子主 任研究員らが、首都圏のフリーター94人からの聞き取り調査をもとにおこなっ た「モラトリアム型」「夢追い型」「やむを得ず型」という分類はよく知られ ているし、厚生労働省の「若年者キャリア支援研究会」は必要な政策を念頭に 「目標既設定型」「職業探索型」「組織不信等モラトリアム型」「能力不足型」 「意欲欠如型」という分類を行っている。ひとことで「フリーター」というが、 その内実はきわめて多様なのだ。 ところが、ともすれば世間では「フリーター」と一括りにして「困ったもん だ」という見方がされがちなのではないか。とりわけ、企業経営者や人事担当 者にそうした意識があるとしたら問題であろう。厚生労働省が2004年に実施し た「雇用管理調査」によれば、採用の際にフリーター経験を「プラスに評価す る」企業は3.6%にとどまるのに対し、「マイナスに評価する」企業は30.3% にのぼっている。その理由はといえば「根気がなくいつ辞めるかわからない」 というのが70.7%、「責任感がない」が51.1%と、画一的な先入観がかなりの 程度存在することをうかがわせる。こうした企業サイドの意識がフリーターの キャリア形成のチャンスを失わせている可能性は高いし、企業にとっても優れ た人材をみすみす見逃す原因になっているかもしれない。 日本経団連の奥田碩会長はさる11月11日に青森市で講演し、フリーターにつ いて「派遣やアルバイトの仕事でも、それを通じて有益な知識やノウハウを獲 得している人材もいる。こうした人はフリーターと言っても厳しい逆風の中を 懸命に生きている」「『フリーター』ということだけで先入観をもって一律に みるのではなく、人物を見極めて採用すれば思いがけない優れた人材が確保で きる可能性もある」などと述べたという。こうした意識が広がるとすれば、そ れはフリーターにとっても企業にとっても有益なことだろう。 |