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「インディペンデント・コントラクター」(1) 「インディペンデント・コントラクター」は、本誌の読者であれば周知だろ うが、世間ではまだ耳慣れないことばの部類に入るのだろうか。訳としては 「独立契約社員」「独立契約従業員」などがあてられているが、カタカナでそ のまま使われることが多いようだ。確立した定義があるのかどうかはわからな いが、大雑把には企業組織から独立したフリーランスで、仕事単位で業務を請 負う人、というところだろうか。加えて、どことなく「高度な専門業務」それ も「技術系、とりわけIT」というイメージがあるように思う。 加えて、とりあえずは「自由で、やりたい仕事をやる」というポジティブな 意味合いのことばとされているのだろうか。単に「契約社員」といえば「フル タイムの有期雇用の人」というイメージだが、そこに「独立」という一語が加 わるだけで、ずいぶん意味するところが変わってくるわけだ。実はすでに、 「NPO法人インディペンデント・コントラクター協会」というものができて いて、そのウェブサイト(http://www.npo-ic.org/index.php)には「期限付 きで専門性の高い仕事を請け負い、雇用契約ではなく業務単位の請負契約を複 数の企業と結んで活動する独立・自立した個人のことをインディペンデント・ コントラクター(IC=独立業務請負人)と呼んでいます。」という定義も書 かれている。もっとも、この定義は一般的なものというよりこのNPO法人の 意気込みを示したものだろう。あえて「独立業務請負人」という訳語をあてて いるのもこの定義に沿ったものと思われる。この団体はNPO法人とはいって も、ウェブサイトをみるかぎりでは共済事業や研修事業なども展開する限りな くビジネスに近いもののようだから、インディペンデント・コントラクターを ポジティブな、魅力的なものとして普及させたいと考えるのは当然のことだろ うし、実際そうあってほしいものだと思う。 いっぽうで、こうした定義が書かれるということが、それに該当しない「イ ンディペンデント・コントラクター」が存在するという現実の裏返しでもある だろう。実際、企業サイドから「インディペンデント・コントラクター」が語 られるときには、ほとんどの場合コストダウンという側面をともなうのではな いか。もちろん、高度な専門性を持つインディペンド・コントラクターであれ ば、企業はリーズナブルなコストで高度な専門性をオンデマンドで確保し、本 人も自由と働きがいを確保できるというWin-Win関係を築くことは十分可能だ ろうし、それが望ましいあり方でもあろう。しかし、すべてがそうではないと いうのも現実だろう。実態としては雇用なのに社会保険料などの負担を免れる ために請負契約の形をとる「偽装請負」が「インディペンデント・コントラク ター」と称して行われているという論外なケースもあるというし、法的には問 題はなくとも、仕事の内容は特に専門的でもなく、契約金額も低く、しかも特 定・単一の発注先への依存度が著しく高いという、単にアウトソーシングを言 い換えただけのような「インディペンデント・コントラクター」も少なくない らしい。 もっとも、これはインディペンデント・コントラクターの多様性ということ なのかもしれない(もちろん、偽装請負は論外として)。いまは多数の発注者 と良好なWin-Win関係を築ける高度なインディペンデント・コントラクターも、 技術の進歩に遅れをとり、保有する技術が陳腐化してしまえば、契約金額は低 下し、発注元も減るだろう。これはなにもインディペンデント・コントラクタ ーに限った話ではないが、インディペンデント・コントラクターはその振幅が 大きいことも間違いあるまい。誰でも簡単に選択できる道というわけではなさ そうだ。 |