キャリアデザインマガジン連載
「キャリア辞典」

「完全失業率」(3)

 90年代の終わり、日本の失業率が急上昇した際に、おりしも「ニューエコノ
ミー」の好況に沸く米国の失業率と逆転したことが話題になったが、そのくら
い、日本の失業率は低いというのが定説になっている。とはいえ、失業率に限
らず、指標を国際比較するにあたっては、その定義や調査の方法などの違いに
気をつけなければならないことはいうまでもない。
 たとえば、米国の失業率は日本と同様の労働力調査によっているが、その失
業者の定義は「調査週において仕事がなく、調査週をふくむ過去4週間以内に
求職活動を行い、かつ就業可能であった15歳以上の者」であり、レイオフされ
て前職に復帰するのを待っている人を含んでいる。日本では調査週に求職活動
を行っていなければ非労働力に分類されるが、米国では2〜4週前の間に求職
活動をしていれば、調査週に求職活動をしていなくても失業者とされる。また、
日本では一時休業して企業が雇用調整助成金を受給するようなレイオフ的な状
態であっても、雇用関係は継続していることから、就業者とカウントされるの
ではないか。あるいは、求職活動の結果を待っている人は、日本では失業者だ
がアメリカでは非労働力となるなどの細かな違いがある。さらに、米国の場合
は、分母となる労働力人口から軍人が除外される。
 ドイツの失業率は、労働力調査ではなく、職業安定機関業務統計によってい
る(日本でも、有効求人倍率は職安の業務統計で算出されている)。失業者の
定義は、「調査週において職業安定所に求職登録している者で、週18時間以上
および3ヶ月以上の雇用を希望しており、就業可能である15歳以上65歳未満の
者」というもので(登録失業者という)、この人数を労働力人口(やはり軍人
は除かれる)で除して失業率を算出している。
 このように、各国が公表している失業率はそのまま比較することはできない
ため、ILOは国際的に共通の失業率(失業者と労働力人口)の定義のガイド
ラインを提示している。OECDはこれに基づく各国の標準化失業率を試算し
ており、日本の場合は2001年が5.0%、2002年が5.4%、2003年が5.3%となっ
ている(ちなみにこれは完全失業率とまったく同じで、OECDは日本の完全
失業率の定義はILO失業率にきわめて近いとみて、そのまま使用しているの
かもしれない)。また、2003年の各国の標準化失業率をみると、米国が6.0%、
イギリスは5.0%で、ドイツは9.3%、フランスは9.4%、イタリアは8.6%とな
っている。ほかの国の数字をみても、日本の失業率はまずまず低い方(しかし、
特に低いというほどではない)といえそうだ。

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