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「アウトプレースメント」 キャリア用語にはカタカナ用語、とりわけ米国発祥のことばが多いようだが、 これまた米国渡来のことばらしい。アウトプレースメントは「再就職支援」と いう訳語をあてられることが多いようだが、これはいささか語義のニュアンス を十分に伝えていないようで、カタカナのまま定着しつつあるらしい。 アウトプレースメントはその字面から容易に想像できるように、転職者が自 発的に転職を意図して支援を受けるというよりは、企業が従業員を転職させる ために支援を求めるというニュアンスが強い。米国は一般的に解雇自由の国と されているが、いかに解雇自由でも問答無用で一方的に解雇を行えば当然軋轢 を生じ、紛争は避けがたい。このとき、再就職先を斡旋できれば人員削減はは るかに容易に進むことは疑いなく、そこにアウトプレースメントの必要性が発 生した。とりわけ80年代以降、米国では人員削減が日常茶飯事のように行われ るようになり、アウトプレースメントの需要は急拡大し、それを請け負う人材 ビジネスも大きく成長して、今日にいたるまで浮沈はありつつも隆盛している ようだ。 それでは日本ではどうだろうか。90年代、多くの企業がリストラに取り組む 必要に迫られた際には、多くの人材ビジネス業者がアウトプレースメントを手 がけたし、新規参入も相次いだ。行政においても、経済産業省などがアウトプ レースメントを含む人材ビジネスの育成に乗り出し、日本でもおおいに隆盛す るかに見えた。 しかし、それはそれほど長続きはしなかった。企業のリストラが収束し、経 済も回復して企業業績が回復すると、アウトプレースメントへの需要は大きく 縮小したようだ。それにともない、アウトプレースメントビジネスの縮小や撤 退も相次いでいるといわれる。 米国で一定規模のアウトプレースメントビジネスが存続するのは、好不況に かかわらず米国企業はきわめて容易に人員削減に踏み切る一方、中途採用も頻 繁に行われていることから、常時アウトプレースメントへの一定の需要がある とともに、再就職者を採用したい企業も多くあるからなのだろう。それに対し て日本では、90年代の経済不振下においてはアウトプレースメントしたい企業 が多い一方、それを受け入れる企業は限られていたから、アウトプレースメン トを成立させられる業者は貴重であり、したがって多くの利益をあげることも できたのだろう。しかしながら、経済環境が好転すれば、雇用を重視する日本 企業のアウトプレースメントへのニーズもまた減退せざるを得ない。そうなる とアウトプレースメントビジネスも縮小を余儀なくされる。それが日本の現状 ではないだろうか。 アウトプレースメントに限らず、今日の日本では90年代には活発だったいわ ゆる「不況型人材ビジネス」の相当数が苦戦を強いられているらしい。かつて これを「振興・育成」しようとしていた行政は、これをどう見ているのだろう か。 |