|
「パートタイマー」 パートタイマーというのもなかなか一筋縄でいかないことばだ。 法律的には、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」が「パート 労働法」と通称されていて、パートタイマーというのは短時間労働者のことで あるようだ。この法律では、「短時間労働者」を「一週間の所定労働時間が同 一の事業所に雇用される通常の労働者(略)の一週間の所定労働時間に比し短 い労働者をいう。」と定義している。所定労働時間の違いでとらえるわけで、 パート、タイムという言葉の意味や、パートタイムの反対語として一般的にフ ルタイムが使われていることを考えればこれが常識的な定義のように思われる のだが、ことはそう簡単でない。 たとえば、総務省統計局の「労働力調査」(完全失業率などを発表している 調査)では、「パート、アルバイト」の定義を「就業の時間や日数に関係なく、 勤め先で「パートタイマー」、「アルバイト」又はそれらに近い名称で呼ばれ ている者」としている。労働時間より、勤務先での呼称を重視した定義という ことになる。こちらのほうが企業の人事管理の実態に近いということだろう。 厚生労働省が1999年に実施した「平成11年就業形態の多様化に関する総合実態 調査」では、ここに注目して、パートを「短時間のパート」と「その他のパー ト」に分けており、「短時間のパート」は呼称にかかわらず「いわゆる正社員 より1日の所定労働時間が短いか、1週の所定労働日数が少ない者。…」、「そ の他のパート」は「いわゆる正社員と1日の所定労働時間と1週の所定労働日 数がほぼ同じ者…で、パートタイマーその他これに類する名称で呼ぶ者」と定 義されている。ちなみに調査結果は、「平成12年版女性労働白書」の記載によ れば、女性は「短時間のパート」「その他のパート」が全体のそれぞれ28.9% と10.7%、男性は5.2%と6.7%となっており、「フルタイムのパート」という 撞着した存在が相当割合にのぼっているようだ。 もっとも、この「平成11年就業形態の多様化に関する総合実態調査」と「平 成15年就業形態の多様化に関する総合実態調査」とを比較すると、「その他」 +「嘱託社員」(平成15年調査の定義にあわせたもので、平成11年調査の「そ の他のパート」とは異なる)は6.5%から4.8%に激減しており、この間に非正 規比率が27.5%から34.6%に上昇していることを考えると、企業は「フルタイ ムのパート」を意図的に縮小しているのかもしれない。これは、かつての企業 は(ごく大雑把にいえば)正社員以外の従業員は所定労働時間にはおかまいな しに一括りに「パート」と呼び、人事管理も簡単にすませていたが、非正規比 率の高まりにともなって非正規社員の人事管理も充実してきた、ということを 反映しているのだろうか。パート労働法が制定されたのは平成5年にさかのぼ るが、それも契機のひとつとなったのかもしれない。 ちなみに、part-timerをGoogleで検索してみると大量にヒットするので、 「パートタイマー」は和製英語ということではなさそうだ。ヒットしたページ をいくつか見てみると、equal payに言及したものが非常に多く、正社員とパ ートの賃金格差は日本だけの問題ではないことがわかる。また、「英辞郎on the Web」でpart-timerをひくと「アルバイト、パートタイマー、非常勤で働 く人」となっており、full-timerは「常勤者」となっていて、一応これは労働 時間の長短による定義ということになるのだろうか?ちなみに後者のほうには replace full-timers with part-timers「正社員をパートに置き換える」とい う時勢を反映した?用例も出ている・・・。 |