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「正社員」(3) 近年になって、「正社員」と「非正社員」をめぐる就労構造が大きく変化し ている。総務省の「労働力調査(詳細結果、旧特別調査)」によれば、80年代 には10%台だったいわゆる非正規雇用比率は1995年には21%となり、最近では 30%を突破している。厚生労働省の「平成15年就業形態の多様化に関する総合 実態調査」によれば、平成11年調査で27.5%だった非正社員比率が34.6%に上 昇している。これらの調査結果は、裏返せばそれだけ正社員比率は低下してい ることを示している。 そのおもな要因は、企業の組織拡大が停止した結果、景気変動などに対する 雇用量の柔軟性を確保するため、従来は正社員のキャリアの一部として担われ てきた業務の一定部分が非正社員に置き換えられたことにあるといえそうだ。 たとえば、いわゆる「一般職」については、これを非正社員に置き換える動き が急速に進んでいる。専ら補助的、定型的な業務に携わる「一般職」正社員の 新規採用は、機密保持など業務の特性上必要とされる場合を除けば非常に少な くなったのではないだろうか。そもそも、もともとかつての「一般職」はほと んどが女性で、かつては結婚や出産を機に退職することが当然視される風潮も あったわけで、正社員とはいいながらも「総合職」正社員とはかなり性格の異 なるものだったのかもしれない。ところが、近年になって男女雇用機会均等が 進展し、「一般職」の勤続も長くなってきたことで、これを非正社員に置き換 えていく必要が発生した、ということも考えられる。そうだとすれば、「正社 員」に関しては、長期にわたって勤続し、基幹的な業務を中心に担いつつ経験 を蓄積し、能力を向上して、企業と共通利害のもとにその活動に強く関与する という「正社員的な働き方」がより純化してきているのかもしれない。 いっぽうで、非正社員比率の上昇によって、非正社員が基幹的な業務を担う ことも増えてきている。非正社員が幹部や管理職となるケースはこんにち決し て珍しくはないだろう。人事管理面でも、チェーン展開しているスーパーマー ケットなどでは、正社員と非正社員の人事制度を一本化するといった先進的な 取り組みもみられるようになってきた。最近では、企業にも非正社員比率が高 くなりすぎたとの反省が広がりつつあるようで、非正社員を正社員登用する事 例も増えている。とはいえ、人事管理面ではまだ多くの企業が試行錯誤してい る段階にとどまっているようにみえるし、そもそも正社員と非正社員の望まし い比率はどの程度なのか、といった問題意識も、ようやく広まってきたという 段階のように思われる。今後の方向を予想することは難しいが、企業の競争力 の源泉となる「正社員的な働き方」の重要性はおそらく変わらないにしても、 「正社員」と「非正社員」の境界はますます曖昧になっていくのではないか。 |