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「就活」 今年も春闘シーズンから就活シーズンとなり、ビジネス街にはいわゆるリク ルート・スーツに身を固めた学生が目立つようになってきた。 就職活動のことを「就活」と略して呼ぶようになったのはいつごろからだろ うか。就職活動そのものは古くから行われてきたものだから、とっくに略称さ れていて不思議ではないのだが、日経新聞のデータベース「日経テレコン21」 で調べると、日経新聞にこの省略形が初めて出たのは2003年で、意外に新しい。 もっとも、相当定着しなければ日経新聞も使わないだろうから、実際にはもう すこし以前からあったに違いない。Amazon.co.jpで「就活」を検索してみると、 いちばん古い本は就職総合研究所編「内定がとれた人の就活データ〈2003〉」 ゴマブックスで、2002年2月となっている。「現代用語の基礎知識」によると、 「2001年あたりから、学生の間では『就職活動』のことを縮めて『就活』とよ ぶようになってきた」のだそうだ。ちなみに「基礎知識」はこれについて 「(就職活動の厳しい)状況を乗り切るために、軽いノリでの『就活』という ネーミングが浸透しているようだ」と分析している。 実際、新卒の就職戦線が厳しくなったのは、バブルの崩壊に伴ってではなく、 1997年の拓銀・山一の破綻に続く金融危機以降のことだ。特に「就活」と縁深 い大卒の内定率は、97年の85%から98年は80%、99年は75%と急落し、以降、 70%台なかばで推移した。女子の内定率は99年には70%を下回った(ちなみに この間、97年代には3%台なかばで推移していた完全失業率も、99年には5% に達するかという悪化をたどっており、金融危機がいかに日本の雇用情勢にダ メージを与えたかが改めて感じられる)。 これだけ就職情勢が厳しくなれば、就職活動が長期化するのは当然の成り行 きだった。なかなか内定を得られずに、卒業を目前に控えた年明けに、3年生 とともに就活にはげむ4年生も現れた。加えて、内定を得た学生もよりよい内 定を求めて就活を継続する傾向が強まった。 しかも、97年度の採用から、いわゆる「就職協定」が廃止されたことにより、 就職活動の早期化が進んだことも、就活の長期化に輪をかける結果となった。 日経連や経団連の要請にもかかわらず、3年生のうちから事実上の募集・選考 を行う企業は多く、「早く始まりなかなか終わらない」就活のために、一部の 私学からは「4年生は授業にならない」との悲鳴も聞かれている。 これは社会に出る前の学生にとってはまことに過酷な試練であり、こうした 状況が続くなかで生まれたのが「就活」という略語だった。おそらく、多くの 学生にとって就活が大学4年生の3ヶ月間程度のものであった時代には、就職 活動は就職活動のまま、短縮されることなく終わっていたのだろう。ところが、 就活が長期間にわたるほどに、「就職活動」という言葉を使うことも多くなる。 使う機会が増えれば、これが短縮され省略されるのも自然な流れだろう。もち ろん、「基礎知識」がいうように、「せめて言葉くらいは軽いノリでないとや ってられないよ」という心情にもうなずけるものがある。 2005年度の内定率は改善しているし、相次いで発表される2006年度の採用計 画をみても企業は新卒採用に対して積極姿勢に転じているようだ。いっぽうで、 厳選採用の姿勢には変わりはないとの見方もあるようだが、長い目でみれば若 年人口は減っていく。いずれまた、就職活動が「就活」と短縮されることなく 終わる時代が来るのだろうか。 |