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          *** 労務屋の労働雑感 ***

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           平成11年12月20日発行
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            <<< 解雇の規制緩和 >>>

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 いよいよと云うかやはりと云うか、ついに出てきましたね、「解雇の規制緩和」。
 この14日に発表された行政改革推進本部・規制改革委員会の「第2次見解」の 中に、「解雇規制の見直し」がうたわれています。いわく、

○裁判所は、整理解雇を含む解雇を容易に認めない。そのため、企業の
 採用意欲を削いでおり、結果として就業者が伸びない。
○すでに雇用されている人には有利な一方、これから就職する人や、
 転職しようとする人には、企業が新規採用を抑制するため、
 不利である。
○判例による規制では、当事者の救済はできても、それ以外の人の
 利益は守れない。
 また、不当に解雇された人が救済されるためにも、相当のコストを
 要する。

 と述べた上で、「まず解雇をめぐる実態を把握」すべきであり、さらにその上で 「解雇規制の在り方について立法化の可能性を含めた検討を行う」ことが適当だと しています。

 しかし、「解雇できないから採用しない。解雇できるから採用する。」というの では、差し引きすればやはり雇用が増えるとか減るとかいう話ではないような気が するのですが・・・もちろん、それが単価の切り下げにつながるのであれば、当然 その分は雇用が増えるかもしれませんが、少なくとも大した問題ではない。
 インサイダー・アウトサイダー論については、たしかにゴモットモという部分も あるのですが、これも差し引きゼロの議論で、何が公平かという問題に過ぎません。 少なくとも、年功賃金や退職金・年金制度をなんとかして、転職が不利にならない しくみを整備する方が先決であり、よほど効果的でもあるでしょう。
 司法手続の問題点等については、現在、別の枠組みの中で、個別労使紛争処理の 問題として検討されていることは周知のとおりです。

 小生のようなクソ労務屋としては、なぜこの時期にこんな露骨な見解を出すのか、 まことに理解に苦しみます。これでは、労働サイドの反発を買って、すすむものも すすまなくなってしまいます。

 今、連合も、彼らのいわゆる「公正なワークルール」(これがまた理解に苦しむ シロモノですが)の確立ということで、解雇法制の立法化を進めようとしています。 彼らは、「不当解雇の救済」という部分にターゲットをおいているわけで、狙いは 違いますが、やろうとすることは似ています。
 小生が想像するに、財界=日経連の戦略は、まず連合に声を上げさせて、それに 乗っかる形で規制緩和をしようということではないかと思います。立法化の議論を する以上は、今以上に解雇規制が厳しくなることは考えられず、なんらかの緩和が 実現する可能性が高いわけです。労働政策が多分に労使の交渉と妥協の産物という 性格を持っている以上、交渉相手に声を上げさせて、恩を売る形で譲歩を勝ち取る というのが現実的かつ賢明な戦略であることは明らかです。

 さらに、すでに、企業は正社員から非正規雇用へのシフト、年功賃金の見直しと いった雇用の構造改革を、徐々に進めています。急激な施策で社会の混乱や動揺を 招くことを避けながら、じわじわとやっているわけで、こうした中で、このような 拙速な「改革」の論議が出てくると、雇用の構造改革自体に対する批判も出てきて、 かえって阻害要因になりかねません。

 いずれにせよ、「とにかく首切りしたくてしょうがない」一部業界の意を受けて、 経団連あたりの差し金で入れ込まれた見解だと思いますが、ことこの件に関しては、 「短気は損気。」というのが、クソ労務屋の偽らざる実感です。

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