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          *** 労務屋の労働雑感 ***

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        平成12年10月31日発行 通巻002号
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        <<< 社内メールの検閲に規制の動き >>>

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《創刊のごあいさつ》
 このたびは、「労務屋の労働雑感」をごらんいただき、まことにありがとう
ございます。
 このメールマガジンは、人事・労務・労働などにご関心をお持ちの方に、い
ろいろな話題をお届けするものです。
 従来から、パソコン通信の某フォーラムで、自分自身の勉強という意味もふ
くめて、このような話題提供を行っていたのですが、それ以外の人にも広く読
んでいただければさらに楽しいだろうと考えて、このメールマガジンを創刊す
ることにいたしました。
 不定期刊行ですが、最初のうちはなるべく多く、長期的には、基本的に週1
回のペースで発行していきたいと考えております。
 また、しばらくの間は、本マガジン創刊前のバックナンバーも、「今から思
えば」こうだった、という感想付きでお送りしていきたいと思いますので、あ
わせてお読みいただければ幸いです。
 それでは、がんばって発行してまいりますので、末永いお付き合いをお願い
申し上げます。

(このごあいさつは、まぐまぐホームページの「新着紹介」に紹介されている
間は毎号掲載いたします。重複してお受け取りになる方にはお詫び致します)

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 ドイツ労働社会省は、個人情報およびプライバシー保護の観点から、企業に
よる従業員の電子メール検閲の規制を法制化することを検討しているそうです。
 具体的には、職場での私用の電子メールやインターネット利用は、業務に支
障がない限り原則的に認められなければならないとした上で、企業は従業員の
私用利用が業務に支障があるかどうかを調査する際にも、個別の電子メールの
内容の検閲は禁止する、というもので、2002年までには法制化する方針と
のことです。
 逆に、イギリスでは、企業が従業員の電話やメール、インターネット閲覧歴
といったものを傍受・監視することを認める法案が成立し、つい最近施行され
たといいますから、国によっていろいろ考え方の違いもあるようです。イギリ
スの場合は、従業員の同意を必要とするかどうかが議論になったそうですが、
結局同意は不要となったとのこと。それまで規制する法律があったのかどうか
はわかりませんが、おそらく特に規制はなく、なんとなくやりにくい、という
感じだったのではないでしょうか。

 一般的に、社内の電子メールについては、業務に使用する設備であって、企
業はその私用利用を禁止できるとされているだけではなく、部下を監督する権
限を持つ上司が、部下に無断でその内容を検閲することも、通常の職権の範囲
内であるとされています。
 また、就業規則などに定めがあれば、それを根拠に懲罰を行うことも可能で
あり、現に、ネット先進国の米国においては、就業中に私用メールを受信した
というだけの理由で懲戒解雇処分が行われた例もあるといいます。
 わが国でも、服務規律の問題や、機密保持、あるいは他社からの引き抜き防
止などといった理由で、公然・非公然にメールの検閲が行われているそうです。
全女性社員のメールの8割が私用だったという企業もあるとのこと。昨今のリ
ストラ流行りの中で、業務上の影響はほとんどない軽微なものにもかかわらず、
勤務中の私用メールや、私用でのインターネット閲覧を理由として解雇される
という事例が出始めており、こういうケースが多発すると社会問題に発展する
可能性もありそうです。

 この問題に関しては、いかに業務のための会社の施設を利用しているにして
も、無断でメールの内容を読まれることに対する感情的な抵抗があるのも当然
で、プライバシーの侵害にあたるとか、憲法21条の「通信の秘密」に違反す
るとかいう批判も根強くあります。しかし、憲法は国家権力による検閲を禁止
しているに過ぎませんし、電気通信事業法も、「通信事業者」に保秘義務を課
しているのみで、上司による社内メールの検閲が違法、不法であるとはされて
いません(ただし、検閲で知り得た個人情報やプライバシーを、業務とは無関
係に漏洩した場合は、プライバシーの侵害にあたるものと思われますが)。

 今回のドイツ労働社会省の動きは、こうしたこれまでの常識を根底から覆す
もので、今後の動向が非常に注目されます。
 ドイツ企業は、当然のことながら「企業が規則を作り、管理すべき事項」で
あるとして反対の姿勢をとっています。
 とはいえ、普通の電話などでは、これまでも私用利用が事実上黙認されてき
たことも事実ですし、あまりに厳格な運用をすると、親戚の弔事連絡などの緊
急連絡を会社で受けただけで懲戒処分されるといった、均衡を欠く事例も出て
きかねません。そういう意味では、「業務に支障がない限り」私用利用は認め
られるべきという前提を置くことは、かえって現実的かも知れないという評価
はできると思います。
 メールの検閲を法律で禁止するかどうかは、個人情報やプライバシーの保護
にどれだけ国がかかわるかという、各国によって事情が違う問題になってくる
のでしょうが、今後さらに議論を呼びそうです。

 それはそれとして、実態として、労働組合活動に社内メールが利用されてい
るケースはすでに一般的ですが、これも本来なら、全数企業が検閲している可
能性があるという前提で利用すべきでしょうね。実際、労組のサイトの中には、
企業がアクセスを監視しているので、閲覧やメール送信はなるべく会社外から
行うように推奨しているところもあるくらいですから。

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