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          *** 労務屋の労働雑感 ***

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        平成12年12月21日発行 通巻024号
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         <<< 組織率低下に歯止めかからず >>>

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 この19日に、「労働組合基礎調査」の平成12年の速報が、労働省から発
表されました。平成12年6月30日現在における単位労働組合数は68,737組
合(650組合・0.9%減)、組合員数は1,153万9千人(28万6千人・2.4%減)、
推定組織率は21.5%(前年の22.2%)と、過去最低を記録しました。いずれも、
長期低落傾向に歯止めがかからない状況のようです。
 内容を見ますと、従業員1,000人以上の大企業で組合員数の約6割を占めて
おり、推定組織率も、1,000人以上の54.2%に対し、100〜999人は18.8%、
100人未満では1.4%となっています。産業別では、製造業が組合員数の
29.8%を占め、以下、サービス、運輸・通信、公務員が10%以上のシェアを
持っています。推定組織率は公務員が61.7%と断然高く、電力・ガスなどが
56.1%、金融・保険・不動産が41.1%と、かなり高くなっています。製造業は
28.0%にとどまっています。製造業を中心とした大企業労組に頼っている組織
実態が見受けられます。
 いずれにしても、ほとんどの面で低落傾向にあるのですが、公務員や電力・
ガスなどといった公的分野では組織率が向上しているのが印象的です。
 組織別には、地方組織のみに加盟している組織も合わせた数字で、連合が
731万4千人(16万8千人減)、全労連が103万6千人(2万5千人減)、全労協が
26万1千人(8千人減)となっています。
 昨年の調査で、連合の組合員は750万人を割り込み、もう「800万連合」とも
いいにくい状況になってしまったわけですが、ますます厳しい情勢になって来
たようです(もっとも、この10月に開かれた連合の中央委員会でも、鷲尾会
長があいさつの中で「800万連合」と繰り返し発言していますので、どうやら
連合の計算は切り上げになっているようです。とは云え、このペースだとあと
2〜3年で700万人も割り込んでしまいますが)。連合発足当初、ときの山岸
連合会長が「1,000万連合、組織率30%をめざす」との目標を掲げていました
が、実態は逆の方向に進んでしまいました。
 全労連については、公称の150万人との乖離が目立ちます(連合の方は公称
733万人でほとんど乖離なし)が、これは集計方法が違うということのようで
す。また、全労連特有の事情として、103万6千人の中には、同一組合員のダブ
ルカウント(複数組合加入や地方と産別など)が相当数あるといわれており、
それが事実だとすれば、現実の組合員数はさらに少ないということになります。
 連合はこの結果を受けて事務局長談話を発表しましたが、その中で、「極め
て重大に受け止める」との危機感を示し、「この1年間の組織拡大活動により、
約7万人の拡大」をしたが、「それをはるかに上回る勢いで…減少させたこと
は、…一部の構成組織の取り込みにとどまっていること、…体制が不十分であ
ることの表われでもある」と自己批判しています(連合は一昨年の定期大会で
組織拡大の強化を打ち出し、これを受けた各産別・単組も拡大に動いており、
年間7万人の拡大というのも、かなりの成果であることも事実です)。そして、
「組織化が遅れている分野は、小規模企業、非正規雇用労働者など」と指摘し
た上で、「一歩突っ込んだ対応が必要」「(小規模・非正規は労働条件などが
不安定であり)労働組合の社会的役割としても、雇用形態を乗り越えた運動と
組織化の取り組みが求められている」と主張しています。
 連合の組織拡大といえば、基本的には産別かグループ労連が、未加盟の労組
を加入させたり、あるいは労組のない企業に労組を作ったりという活動が中心
で、企業の系列関係を色濃く反映した活動になりがちと言われていますが、そ
れでは限界があるということでしょう。実際、組合員の減少の大半は、大企業
を中心とした人員の削減、あるいは非正規雇用への代替によるものと思われま
す。増加しているパートタイマーの推定組織率が2.6%と低位にとどまってい
ることが、組織率低下の一因であることは、労働省調査でも指摘しているとこ
ろです(ただし、組合員数は7%伸びていますので、努力の成果が出ているこ
とも事実です)。労組が組織力を強化して交渉力・発言力を高めるには、この
分野の組織化は必要不可欠ですが、それには従来手法だけでは難しいというこ
とになるわけです。
 一見、労組のある企業で働いている非正規雇用の人を加入させればいいわけ
ですから、新しく労組を作るのに比べればずいぶん楽に見えるわけですが、そ
うでもないようです。親会社と子会社、納入先と仕入先という関係であれば、
基本的に双方の(正社員の)利害はほとんど一致しているわけですが、同じ企
業に働いていても、非正規雇用は、(現在の組織の主力である)正社員と必ず
しも利害が一致するとは限らないからです。これは、労組が非正規雇用を「不
安定で良質でない雇用」と一律に位置づけていることにもよります。非正規社
員の多くは正社員となるより非正規を継続することを望んでいますし、中には
正社員より高い処遇を受ける非正規社員も出てきている現状では、正社員並の
労働条件、あるいは正社員への転換を主体とする運動では非正規社員のニーズ
に十分こたえることができないわけです。
 現状の連合の活動を見ても、すでに、例えば行革の問題などに典型的に見ら
れるように、金属労協などの民間労組と、官公労組との間で主張が一致せず、
パワーが結集しきれていない面があります。今後さらに、非正規の組織化が進
めば、一層組織内の利害調整が難しくなるでしょう。しかし、それができなけ
れば、せっかく数は増えても、十分パワーに結びつかないかもしれません。
 テナントビルなどでは、同じビルに働く人を組織化する「駅ビルユニオン」
のような試みも始まっているようですが、これまでの発想にとらわれない、新
しい組織と活動のあり方を見出すことが求められているようです。

               (次回は12月25日に配信する予定です)
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