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          *** 労務屋の労働雑感 ***

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        平成13年01月04日発行 通巻026号
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          <<< ディーセント・ワーク >>>

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 あけましておめでとうございます。~>゜)〜〜〜
 読者のみなさまにとって、今年がすばらしい一年となることを心からお祈り
申し上げます。今年も、旧年に倍して、「労務屋の労働雑感」をよろしくお願
い申し上げます。

 「ディーセント・ワーク」という言葉をお聞きになったことがあるでしょう
か。おそらく、行政関係者の方や、研究者の方などにとっては、当たり前の常
識に類する言葉でしょうが、民間企業の人事・労務担当者の方にとっては、初
耳に近いということも多いのではないかと思います。
 1999(平成11)年というと、もう一昨年になるわけですが、iloの
新しい事務局長に、チリ出身のフアン・ソマヴィア氏が就任しました。国際機
関の例にもれず、事務局長は事実上組織のトップであり、選挙によって選ばれ、
任期は5年で再選を妨げずという、知らない人は知らないが、知る人にとって
は非常に重いポストです。
 そのソマヴィア氏が、iloの活動の目標として掲げたのが、この「ディー
セント・ワーク」というわけです。
 decentというのもなかなか邦訳しにくい言葉ですが、一般的には「きちんと
した」というくらいの意味になるのでしょうか。「けっこうマシな」といった
ニュアンスのある言葉ではないかと思います。というわけで、当初は、「働く
価値のある仕事」とか、「適正な仕事」など、若干翻訳も揺れ動いていたよう
です。ちなみに最近では、ディーセント・ワークとカタカナで書き(この中点
「・」もあったりなかったりしましたが、最近はあるようです)、その後に括
弧書きで「権利が保護され、十分な収入を生み、適切な社会的保護が供与され
る生産的な仕事」と注釈がつくというのが決定版になっているようです。
 その意味するところは何かについて、昨年、日本ilo協会の50周年記念
式典における記念講演で、ソマヴィア氏自身が次のように語っています。「世
界の人々が、今、最も望んでいるものは、基本的人権に次いで、ディーセント
な仕事ではないかという結論に到達しました。これは、子どもに教育を受けさ
せ、家族を扶養することができ、30〜35年ぐらい働いたら、老後の生活を営め
るだけの年金などがもらえるような労働のことです」。これが、「権利が保護
され、十分な収入を生み、適切な社会的保護が供与される生産的な仕事」とい
うわけです。労働基本権が確立された後に来る、第二の地平−ということにな
るのでしょうか。
 その背後には、「経済自由化政策は国、労働、企業の関係を変え、雇用形態、
労働市場、労使関係の変化は政労使に大きく影響し、グローバル化がもたらし
た繁栄と不平等は集団的社会責任の限界を露呈した。技術と生産システムの変
化は社会意識を変化させ、政治を監視する市場と世論の目が厳しくなり、人間
の安全保障と失業問題が政治課題のトップに復帰し、人間の顔をしたグローバ
リゼーションを求める声が方々から聞こえてくるようになった」という情勢認
識があります。冷戦の終焉とグローバルな市場の登場は、人類の社会を「人間
の安全保障が政治課題のトップ」であった時代に先祖帰りさせた、というわけ
です。ちょうど、ソマヴィア氏がこれを打ち出した1999年3月は、アジア
諸国が通貨危機とそれに続く経済混乱に見舞われていた時期でもあります。
 そして、ディーセント・ワークをあまねく普及させるための戦略として、i
loは、「労働の基本的原則と権利=人権と労働」「雇用(と収入)」「社会
的保護(と社会保障の強化)」「社会対話の強化」の4つを掲げています。
 「労働は商品ではない」というiloのスローガンは、新古典派全盛の昨今、
たいへん評判が悪いようですが、ソマヴィア氏はこれをこんなふうに言い換え
ています。「労働は単なる経済活動ではない」。そして、「開発の目的をディ
ーセント・ワークの推進とするならば、開発は社会的な進歩を統合したものと
理解される必要が生じる」とも言います。
 はたして、戦後の日本は、あるいは現在の日本は、この「開発の目的」をど
れほど達成しているのでしょうか。私には、日本は国際的に見て例外的に成功
しているように思えます。新しい世紀も、この成功を維持し続けたいものだと
思います。

                 (次回は1月10日に配信の予定です) ===================================

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