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          *** 労務屋の労働雑感 ***

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        平成13年02月08日発行 通巻035号
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           <<< 外国人労働にも逆風 >>>

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 内閣府の実施した外国人労働者問題に関する世論調査の結果が発表され、前
回調査時(平成2年)に比べて、国民の外国人労働者に対する意識が否定的に
なっていることが明らかになりました。
 代表的なところを拾ってみると、単純労働への外国人労働の受け入れについ
ては、「認めない」が14.1%→21.2%と増加したのに対し、「一定の条件や制
限をつけて認める」が56.5%→51.4%と減少しています。さらに、不法労働者
に関してはさらに厳しく、「良くない」が32.1%→49.2%と大幅に増加したの
に対し、「良くないがやむを得ない」は55.0%→40.4%と減少しています。そ
して、不法労働者への対処についても、「強制送還」という強硬論が33.6%→
49.6%と増えています。
 前回調査時の平成2年といえば、バブル絶頂で超人手不足といわれた時期で
すから、それに比べれば雇用失業情勢が史上最悪の現在において、外国人労働
に対して冷淡になるのは致し方ない、というのは当然だろうと思います。
 ところが、調査結果を見ると、不法労働が良くないと考える理由は、法違反
だから良くないという理由を除くと、「治安・風紀の悪化」が52.4%と最も多
く、「日本人の失業者が増えるから」は21.7%に過ぎません。単純労働を認め
ない理由も、「治安悪化」が62.9%で最も多く、「日本人の失業」は59.0%に
とどまっています。平成2年と比較しても、「治安悪化」が54.0%→62.9%、
「地域でトラブル増」が38.7%→45.1%となっており、現実には、雇用失業情
勢より、最近多発している外国人犯罪や外国人がらみのトラブルが、マスコミ
などで伝えられていることが、不法就労や単純労働受け入れに否定的な意見を
増やしているという要因の方が大きいようです。
 年代別に見ると、若年層ほど外国人労働に寛容で、高齢層ほど否定的という
傾向が明らかに見られます。たとえば、単純労働を「認めない」とするのは、
20代・30代では10%台ですが、40代・50代では約20%、60代以
上になると3割くらいになります。その逆に、単純労働を「制約なく認める」
とするのは、20代・30代では20%を超えていますが、40代・50代で
は約15%、60代以上になると1割くらいになります。不法就労についても
同様に、「良くない」は20代では40%ですが、30代以上は5割前後、
「やむを得ない」は20代では55%に達していますが、30代から50代は
40%程度、60代以上は30%台と、いずれも若年層が寛大、高齢層が厳格
という結果になっています。
 これも、一見すると「若い人ほど外国人に抵抗感がない」ということになり
そうですが、注意しなければならないのは、これは「良くわかって言っている
わけではない」ということです。
 つまり、基本的な部分で、外国人とどれだけ交流があるか、ということを見
てみると、交流のある人の割合は、「たまにあいさつをする」程度まで含めて
も、9.7%と、1割弱にとどまっています。さらにこれを年代別に見ると、
最も高いのは実は50歳代で12.9%、20代は7.6%で60代の7.7%より低い
レベルにとどまっています。すなわち、全体的に、具体的な外国人との交流を
通じて意見を持っているわけではなく、特に若年層については、なんとなく、
「まあ、いいんじゃないか」という意識を持っているというだけのことで、世
間で思われがちな「若い人ほど国際交流が進んでいるから抵抗感がないのだろ
う」という発想は、必ずしもそのとおりとは言えないようです。
 私が意外に思ったのは、昨今の就職超氷河期の中で、就職難の影響をまとも
にかぶった若年層、特に20代の人が、むしろ外国人労働者に対して寛容であ
る、という点でした。自分たちが就職できなくて苦労したのに、どうして自分
たちの職を奪う外国人労働者を認めるのだろう?という疑問を持ったわけです。
 これは実は簡単なことで、「日本人が就きたがらない職業には外国人が就け
ばいいという考え方をどう思うか」という質問に対する回答を見ると一目瞭然
でした。
 全体を見ると、「良くない」「良くないがやむを得ない」「外国人本人がや
りたいのだから良い」という回答がほぼ3分の1ずつなのですが、年代別に見
ると、40代以上は全体とほぼ同じ傾向を示しているのに対して、20代と
30代は、「良い」が40%を超えています。20代は「良い」が43%なの
に対して「良くない」は26%にとどまっています。
 要するに、20代の意識としては、「外国人の仕事と自分たちの仕事は別」
ということであり、したがって「自分の仕事を奪われる」という危機感もない、
ということになりそうです。だから、単純労働も「制約なく認める」というこ
とになっているわけで、これは「単純労働を認める」ではなく、むしろ「単純
労働なら認める」ということなのかも知れません。
 しかし、外国人にしても、単純労働よりはそうでない労働の方がいいと考え
る人の方がおそらく多いでしょうから、いずれ、20代の人が「自分たちの仕
事」だと思っている仕事に外国人がどんどん入ってきて、その仕事を奪われる
という事態が発生しはじめるかも知れません。そうなると、20代も外国人労
働力に否定的になるだろうことは想像にかたくありません。
 今、産業界や、一部の学者・評論家が、日本はいずれ労働力が減少するので、
外国人をどんどん入れるべきだ、という主張を繰り広げていますが、国民の意
識のこうした実態を見ると、なかなか肯定的なコンセンサスを得ることは難し
いように思われますし、また、受け入れの大幅な拡大に踏み切った場合、さま
ざまなフリクションやトラブルが発生することも、また避け難いことは否定し
難いという印象を持ちました。

           (2月12日は、祝日(振替休日)のため休刊します。
                  次回は2月15日に配信する予定です)
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