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          *** 労務屋の労働雑感 ***

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        平成13年04月19日発行 通巻055号
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            <<< 韓国の労働争議 >>>

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 韓国の春闘がヤマ場に近づいているようです。
 もともと韓国の労使関係は日本によく似ており、労組は企業別が基本で産別、
ナショナルセンター(韓国労総=穏健、民主労総=活動的の2つが並立)とい
う構成になっており、経営も、全経連(日本の経団連に相当)とは別に、韓国
経総(日本の日経連に相当)という労務専門の団体を結成しています。例年こ
の時期に、全国一斉に賃金引き上げを中心とした団体交渉が共闘で行われるの
も日本と同じです。
 韓国の労組は日本に比べるとはるかに争議が多く、穏健といわれる韓国労総
傘下の労組でもストライキは日常茶飯事です。活動的な民主労総傘下の労組で
は、投石や火炎瓶などの破壊行為もざらで、先日の大宇自動車労組の整理解雇
をめぐるストライキでは、警察との間で大規模な衝突が起こりました(この様
子は、民主労総が自らのホームページで公開しており、「労働者の血にまみれ
たノーベル平和賞」という見出しがつけられています」)。
 今春闘における労組の賃上げ要求は12〜13%となっており、2000年の韓
国のgdp成長率が8.8%であり、物価も安定していることも考えるとかな
り高いものですが、労組としては、一昨年の賃上げが経済危機の影響でマイナ
スとなったことや、昨年も99年のgdp成長率が12%という急回復をとげた
のに対し、賃上げは8%に抑制されたことなどをふまえて、二桁賃上げはゆず
らないという強硬な姿勢を取っているとのことです。
 一方、経営サイドとしては、最近の米国経済の減速のあおりで韓国経済もス
ローダウンしており、2001年度は成長率も大幅にダウンする見通しであること、
労働生産性が伸び悩んでいることなどを理由に、3%台が適正と主張している
ようで、労使の対立は激しく、すでにデモ行進などの行動は過熱しており、大
規模な労働争議に発展する可能性もあるといわれているようです(ちなみに、
韓国のデモ行進は鳴り物入りで道路を大幅にふさいで進むため、ただでさえひ
どいソウル市の交通渋滞を一層耐え難いものにしているとの批判もあるという
ことです)。
 韓国政府は、外資の導入を進める上で労使関係の安定は不可欠という認識を
示しており、労働運動の鎮静化に努力する姿勢を示していますし、また、従来
は事実上禁止(非現実的な高額の割増退職金が必要)されていた整理解雇につ
いても、依然としてかなり厳しいものの、一定の要件のもとに可能とするなど
の弾力化も進めていますが、なお、「人件費の高さが経済全体の高コスト体質
の元凶」と市場関係者は指摘しているようです。
 しかしながら、低人件費を売り物に外資を導入することはもはや困難である
というのが実態となりつつあるようです。かつて、日本の数%といわれた低賃
金を武器に韓国製品が世界市場を席捲したことがありましたが、今ではそれも
日本の60〜70%程度にまで上がってきており、労働時間の短縮も進んでい
ます。わが国で消費される繊維製品も、かつては韓国製が多かったわけですが、
それがインドネシア製にかわり、今では中国製が猛威をふるっているわけで、
これも各国における賃金水準の上昇を反映したものであると云えます。こうし
た賃金の上昇には、合法非合法を問わず労働運動が一定の役割を果たしてきた
ことは事実として認めなければならないでしょう。
 こう考えると、現在の韓国の労働運動は、意図されているかどうかは別とし
ても、市場関係者が望むような「低賃金を売り物にした外資の導入」による賃
金水準の低レベルでの固定と格差の拡大を回避するという意味もありそうです。
それは、韓国の経済・産業が、賃金水準に見合った競争力を持つ高付加価値な
構造に転換していく一過程であるのかも知れません。
 そのためには、将来的にはやはり労使関係の安定は必要不可欠であり、労使
間の信頼関係の構築が課題になりそうです。すでに経済危機下において、企業
再建のためにみずから賃金カットを申し出る労組も続出したように、その萌芽
はすでに見え始めています。韓国経総も、「長期的視野に立った労使の信頼関
係を醸成することについては、労組だけではなく、経営にも努力不足があるこ
とを認めなければならない」と述べているようです。
 わが国では、労使とも国際活動には注力していますが、こうした中で、韓国
の労使関係改善のためにできることはまだまだ多くあるのではないでしょうか。

                (次回は4月23日に配信する予定です)
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