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=================================== *** 労務屋の労働雑感 *** +++++++++++++++++++++++++++++++++++ 平成13年02月26日発行 通巻040号 +++++++++++++++++++++++++++++++++++ <<< マツダは大丈夫か >>> =================================== 2月19日に募集を開始したマツダの希望退職が、実に受付開始後2時間で 予定枠を突破したそうです。いよいよ、従業員もマツダに見切りをつけはじめ たのでしょうか。 マツダが経営不振に陥り、フォードの子会社となってウォレス新社長が就任 したのが平成8年の6月。その後、ウォレス、ミラーの2人の外国人社長のも とで、ピーク時には30,000人を数えた従業員を、24,000人にまで20%スリム 化しました。 さらに、販売店網の大胆な再編、購買単価の引き下げなどにより、業績は好 転、最近では、もう半年以上前の話になりますが、「週刊東洋経済」の、昨年 6月24日号で組まれた「新連結 強い会社 弱い会社」という特集記事では、 連結決算の経常利益伸び率ランキングで堂々の1位に入るという意外な好調ぶ りを示していました。 ウォレス氏が社長に就任した当初は、フォード流・アメリカ流のドライな解 雇や一時帰休が行われるのではないかと噂されましたが、結局は、定年退職と 採用抑制の組み合わせ、いわゆる「自然減」を中心に、希望退職などの方法は とらずにこのスリム化を達成しました。労働組合、従業員も、雇用確保を条件 に合理化に積極的に協力しました。何年か連続で新卒採用がゼロとなったため、 販売の状況によっては生産要員が不足することも多くなり、それをカバーする ための、いわゆるホワイトカラーの生産現場への応援が常態化しました。これ は業績が悪化しはじめた平成5年から平成10年まで、実に5年間も続きまし た。いっぽう、応援を出す立場の技術部門、管理部門などもそのあおりで要員 が不足し、人件費節減のため残業が厳しく制限される中で、いわゆるサービス 残業が蔓延したということで、「どんなに働いても残業手当はゼロが当然」と いわれるような状態になっているそうですが、労組としても黙認の姿勢で事実 上協力してきているとのことです。 このような、日本の雇用慣行に配慮した、雇用確保に重点をおいたスリム化 政策をとったことが、従業員のモラルの維持・向上に貢献し、結果として業績 回復につながったと評価され、それが日産自動車のリストラ計画にも反映され た(自然減を中心に20,000人の人員削減)といわれています。 ところが、一昨年、現社長のフィールズ氏が就任してから、風向きが変わっ てきました。フィールズ氏は前社長のミラー氏が推進した経営合理化に飽き足 らず、工場閉鎖とさらに4000人の人員削減を含む一段のリストラを実行する意 向を示しました。 これがちょうど春季労使交渉の時期だったこともあり、マツダ労組は猛然と 反発しました。森川武志執行委員長は「これ以上雇用を減らすなら今後は一切 サービス残業に協力しない」という、きわめて変則的ながら事実上の部分スト ライキを宣言、さらに「賞与交渉の回答によっては」ということでスト権の確 立に動きました。この時は、経営陣が賞与要求に満額回答したことで、事態は 収拾しましたが、こうした一連の動きが従業員のモラルに相当な悪影響を与え たであろうことは想像にかたくありません。 とはいえ、一層の現地生産化が必要であるというフィールズ氏の経営判断自 体は決して間違ったものではなく、ミラー前社長も言及し、多数の関係者も指 摘していたところでありました。特に、最近のユーロ安は、欧州への輸出への 依存度が大きいマツダを直撃し、昨年9月期中間決算は赤字に転落、通期でも 3年ぶりに赤字に転落すると見込まれています。そのため、昨年末には、今年 9月末に宇品第2工場を閉鎖、早期退職優遇制度を導入し1800人の希望退職の 募集などを柱とする再建策が発表されました。 その希望退職の募集が、冒頭にも書いたように、あっという間に集まってし まったというわけです。この希望退職に関しては、周囲から「事前に管理職が 候補者を選んでいる」「上司面談による事実上の肩叩きが行われている」など の批判が流されていましたが、そんな心配をするまでもないという結果が出た わけです。 この結果がいかに予想外であったかは、当初の受付期間が、19日から3月 5日までの15日間であったことを見てもわかります。実際、これから応募し ようとしていた従業員からは、「人生設計が狂った」という声も出ているとか。 また、この希望退職は原則40歳以上が対象で、30代については350人 を上限に受け付けるとしていましたが、この枠も突破してしまったということ で、これまた本当に予想外の結果だったようです。 通常、希望退職は目標を達成するには非常に困難をともなうものです。しか も、今回の募集は閉鎖する宇品第二工場の作業員を対象にしたものではなく、 より困難の大きい間接部門を対象にしているのですから、なおさらです。マツ ダとしても、今回これほど簡単に達成するとは思わなかったでしょうし、3月 5日までの時間を使って、応募状況を見ながら説得工作などを行う予定だった のではないかと想像します。それが簡単に達成できてしまったのですから、経 営にとっては喜ばしいことでしょう。 とはいえ、私にはこれは、いよいよ従業員がマツダに見切りをつけて、逃げ 出しはじめたようにも見えてしまいます。希望退職の優遇条件は、退職金を最 大で月給の36ヶ月分割増(50歳の場合)するというもので、年収で云えば 2年分くらいでしょうから、これは決してすばらしくいい条件だというわけで もありません。それでも、間接部門12,000人の15%にあたる1800人が、先を 争って希望退職に殺到し、しかもさらに多数の希望者が取り残されたというの ですから、これは相当見限られているな、と思うわけです。 マツダは、今後、人事評価制度の改定にも着手し、現業部門、技術者、管理 部門の賃金体系を別々にして、管理部門を中心に若手の抜擢もさらに意欲的に 進めることで、士気の向上をはかりたいとしていますが、はたして本当に所期 の成果をあげられるのかどうか、ちょっと心配な気もします。 (次回は3月1日に配信する予定です) =================================== ◆メールマガジン「労務屋の労働雑感」 このメールマガジンは、インターネットの本屋さん「まぐまぐ」で配送され ています。(http://www.mag2.com)id=0000049801 ◆このメールマガジンは、発行者が、個人の立場で、管理職、人事労務担当者、 組合役員、学生・研究者などの方々を対象に、人事・労務・労働などに関す る話題を提供するものです。 不定期刊ですが、おおむね毎週1回以上発行しています。 ◆バックナンバーは、次のページからごらんになれます。 http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659/mm/backn.html ◆登録・解除は、次のページからお願いします。 http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659/mm.html ◆労務屋のホームページ:http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659 の「労働掲示板」に、ご意見・ご感想などをおよせいただければ幸いです。 ◆メールアドレス:nagoyakuma@nifty.com ◆転載・引用を歓迎します。その際は、「労務屋の労働雑感」からの転載・引 用であることと、まぐまぐのid(0000049801)の記載をお願いします。 ◆[免責事項]本メールマガジンは、内容の正確性を保証するものではありま せん。本メールマガジンの購読、利用などによって発生したいっさいの損害、 損失、障害などについて、発行者はその責任を負いません。 =================================== |