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=================================== *** 労務屋の労働雑感 *** +++++++++++++++++++++++++++++++++++ 平成13年06月25日発行 通巻072号 +++++++++++++++++++++++++++++++++++ <<< やはり使い捨て?シリコンバレーの外国人it技術者 >>> =================================== far eastern economic review 5月10日号は、「colifornia dreams turn to dispair」という記事で、シリコンバレーで働くインド人技術者のレイオ フを紹介しています。昨年春に年俸55,000ドルで迎えられたインド人プログラ マがこの3月にレイオフされたという事例で、渡米直後は自動車を買い、マン ションを借り、家具を揃え、前途洋々に思えたが、レイオフされた今となって は、家族はインドで帰国させ、自身は単身でマンションをルームメイトとシェ アしなければならなくなった、ということです。 以前このホームページのコラムでも書きましたが、雇用主が身元保証する米 国の就労ビザであるh1−bビザの発給数が、一昨年の65,000人から昨年は 115,000人、そして今年は195,000人にまで引き上げられました。ちなみに米国 では425,000人がh1−bビザで就労しており、インド人と中国人でその半数 を占めると言われています。 ところが、その後に襲い掛かったドットコムバブルの崩壊と、深刻なitビ ジネスの停滞により、今年2月の発給申請数は、前月比、前年同月比それぞれ 50%減と大幅な減少になっているとのことです。 特に、itビジネス全盛期には大量のインド人、中国人it技術者が流入し たシリコンバレーでは、今やh1−bビザで就労している外国人技術者のレイ オフが横行しており、統計はないものの、インド人移民支援のnpoの理事に よれば、シリコンバレーだけで、低く見積もっても数千人のインド人技術者が レイオフされただろうということです。 h1−bビザは雇用主が身元保証しますので、失業すると自動的に失効し、 一定期間内に国外退去しなければならないことになっていますので、レイオフ されたh1−bビザによる外国人技術者にとって、再就職できるかどうかは死 活問題です。h1−bビザは失業給付でも不利なことが多いようなのでなおさ らでしょう。実際、レイオフされたh1−b就労者の立場については、あまり 明確な見解があるわけではなく、現場ではかなりの混乱があるようで、その明 確化を求める声も強まっているようです。 現実には、仲介業者が介在し、仲介業者の身元保証でh1−bビザを取得し て、派遣社員として就労しているというケースも多いようで、そのようなケー スは派遣先からレイオフされても即座に国外退去ということにはなりません。 仲介業者が次の派遣先を見つけることができる限り、働き続けることは可能と いうことになります。ところが、ドットコムバブルが崩壊した今となっては、 かつてのように仕事があるというわけにはいかず、仲介業者も外国人技術者を 抱えきれなくなってきています。当然のことながら、技術レベルの低い人ほど 派遣先を見つけるのは困難で、「再教育のために」本国に戻さざるを得なくな っているということですが、これはもちろん事実上の解雇ということで、「再 教育」というのは、ことによると帰国旅費の負担を免れるためかもしれません。 h1−bビザは、事業主都合で解雇する場合は事業主が帰国旅費を負担しなけ ればならないことになっていますが、「再教育のために」本人が自発的に帰国 する場合には、その必要がなくなるからです。 特に事態を困難にしているのは、h1−bビザ就労者は、賃金の切り下げが 禁止されていることで、仮に本人がそれに同意したとしても、賃金を引き下げ ることができません。これは当然のことで、基本的にh1−bビザは外国人に よって米国人の雇用が代替されることのないよう、米国人では確保できないよ うな特殊な技能、ノウハウを持つ人に限って発給されるものなので、賃金を下 げるということはありえないとされているわけです。そういう意味では、ネッ トバブルがはじけた今となっては、外国人より低い賃金で職を探している米国 人技術者も増えているという実態もあるそうですから、h1−bビザの外国人 を帰国させるということは、まことに正論であるとも言えるわけです。現在の 混乱に対処するための方策として、雇用主の身元保証による申請ではなく、本 人の直接申請による方式とし、賃金水準なども柔軟に対処できるようにすべき だとの案も提示されているようですが、h1−bビザのそもそもの趣旨からす ればそれは難しいだろうと思わざるを得ません。そもそも、米国人の雇用情勢 も悪化している中で、外国人の雇用をより容易にするような提案が受け入れら れる余地はあまり大きくはないでしょう。 シリコンバレーでは米国人のレイオフも頻発していますし、必ずしも外国人 に負担がしわよせされているということはなさそうです(というより、統計が ないので評価できないというのが実態のようです)。また、この問題が外交問 題になっているという気配も今のところはありません。むしろ、外国人技術者 の本国側からすれば、技術力のある人の帰国は歓迎という側面もあるでしょう。 しかし、人手が足りない時には鳴り物入りで呼び込んでおいて、景気が悪く なったら帰ってくれというのは、いささかご都合が過ぎるのではないかという 感もあります。建前はともかく現実としては、米国のやったことなら許される が、日本がやったら許せない、ということが起こるのが外交というものでしょ う。わが国でも外国人技術者の導入が議論されていますが、十分慎重な検討を お願いしたいものだと思います。 (次回は6月28日に配信する予定です) =================================== ◆メールマガジン「労務屋の労働雑感」 このメールマガジンは、インターネットの本屋さん「まぐまぐ」で配送され ています。(http://www.mag2.com)id=0000049801 ◆このメールマガジンは、発行者が、個人の資格で、管理職、人事労務担当者、 組合役員、学生・研究者などの方々を対象に、人事・労務・労働などに関す る話題を提供するものです。毎週月・木曜日(祝日休)に発行しています。 ◆バックナンバーは、次のページからごらんになれます。 http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659/mm/backn.html ◆登録・解除は、次のページからお願いします。 http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659/mm.html ◆労務屋のホームページ:http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659 の「労働掲示板」に、ご意見・ご感想などをおよせいただければ幸いです。 ◆メールアドレス:nagoyakuma@nifty.com ◆転載・引用を歓迎します。その際は、「労務屋の労働雑感」からの転載・引 用であることと、まぐまぐのid(0000049801)の記載をお願いします。 ◆[免責事項]本メールマガジンは、内容の正確性を保証するものではありま せん。本メールマガジンの購読、利用などによって発生したいっさいの損害、 損失、障害などについて、発行者はその責任を負いません。 =================================== |