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          *** 労務屋の労働雑感 ***

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        平成13年04月05日発行 通巻052号
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 新入社員を迎える季節になり、リクルートスーツ姿も目立つようになってき
ました。若者の意識についてはいつの時代もあれこれ議論があるものですが、
はたして今の実情はどうなのか、いくつかの調査から見てみたいと思います。
 まず、電通総研が昨年実施した世界価値観調査から、29歳以下のデータを
拾ってみると、職業を選択する上で重視する事項は、日米の違いが際立ってい
ます。「給料の良さ」は日本17%・米国39%、「達成感」は日本29%・
米国33%なのに対し、「雇用の安定」は日本28%・米国16%、「人間関
係の良さ」は日本29%、米国12%で、日本人の安定志向が明らかです。仕
事と余暇の関係を見ると、「仕事より余暇に生きがい」が日13%・米17%、
「仕事に生きがい」は日1%(!)・米13%となっています。しかも、「仕
事も余暇も力を入れる」も日36%・米46%で、日本人は「どちらかと言え
ば余暇」「どちらかと言えば仕事」など、「どちらかと言えば」というあいま
いな回答が多くなる傾向があるようです。
 また、「自分の力で自分の人生をコントロールできるか」という意識を見る
と、10段階評価で、米国は8.2に達しているのに対して日本は6.5にとどまっ
ており、米国の青年の自信のほどが伺われます。
 能力主義に対する意識は、10段階評価で日本は5.9、米国は5.6で大きな違
いはありません。5年前の調査では5.4、5.6だったので、日本での能力主義の
容認度が上がったのに対して米国は横ばいで、すでに逆転してしまっているの
が目をひきます。競争志向に対する意識も似たような傾向があり、やはり10
段階評価で、日本が5年前の6.3から6.8に上昇しているのに対し、米国は5年
前の7.8から7.6に低下しています。依然として米国の方が高いとは言え、日本
で競争志向が高まるのと対照的に、米国では競争志向に対する躊躇が見られる
ようです。
 こうした傾向を総括して、日常生活における「幸福感」を見てみると、意外
にも、日本は5年前も今も4段階評価の3.1で変わっていませんが、米国は5
年前の3.4から3.3に低下しています。
 電通総研の調査は29歳以下ということでこんな結果ですが、一昨年に行わ
れた日本青少年研究所の「21世紀の夢に関する調査」で、中学生・高校生に
限った結果を見ると、さらに深刻な内容が目につきます。
 まず、なりたい職業から見て行きますと、米国では経営者、管理者、医師、
法律家、マスコミ、先端技術者と幅広く30%以上をマークしているのに対し、
日本ではほとんどの職業で「なりたい」という回答は一桁%で、30%を超え
たのは唯一公務員だけという状況です。米国は「この仕事もやりたい、この仕
事も面白そう、この仕事も興味がある」と、やりたい仕事がたくさんあるのに
対し、日本は「この仕事とこの仕事は嫌い、この仕事はここがダメ」という調
子で、消去法で残ったのが公務員、という感じになっています。
 「人生の目標」について見ると、米国は「素敵な異性を見つける」が高校生
で82%(!)でトップ、中学生でも79%(!)で「勉強がよくできるよう
になる」の81%に次いで2位というのが特徴的です(日本は47、36%)。
その他、高校生で見ると、米国は「趣味をエンジョイ」「その日その日を楽し
く」「勉強ができる」「高い地位につく」「円満な家庭を持つ」が3分の2以
上の回答を、さらに「金持ちになる」「他人のまねできない特技を持つ」「社
会に貢献する」が過半数の回答を集めましたが、日本は「趣味をエンジョイ」
「その日その日を楽しく」が3分の2以上、「円満な家庭を持つ」「自立した
人間になる」が過半数を占めているに過ぎず、日本人の人生に対する消極的な
姿勢が目立ちます。
 さらに、「21世紀の夢」について、これは日米中韓4ヶ国で比較してみる
と、「21世紀は希望のある社会になる」と思う人は中国で中学生93.7%、高
校生89.0%と最も多く、米国と韓国で中学生も高校生も6割以上の高い支持率
となっているのに対し、日本は4カ国の中で支持率が最も低く、中学生44.0%、
高校生35.3%にとどまっています。「国民生活は今より豊かになる」について
は、中国は中学生も高校生も8割以上、米国が8割近く、韓国が6割強が支持
していますが、日本は中学生34.2%、高校生29.0%に過ぎません。
 21世紀の社会問題に関しては、「犯罪や非行は今より少なくなる」と思う
人は、日本は中学生11.4%、高校生7.0%と、極めて低いのに対し、米国では
中学生38.9%、高校生30.2%、韓国では中学生31.4%、高校生21.4%と、中国
では中学生で63.1%、高校生で48.1%にも達しています。「不正や腐敗は少な
くなる」についても、中国は中学生63.1%、高校生46.7%、米国と韓国も中学
生と高校生で3割台と2割台が支持しているのに対し、日本は中学生と高校生
がそれぞれ21.7%と10.2%と低くなっています。
 職業に関連する項目としては、「自分の能力を今より発揮できるようになる
だろう」というのがあり、中国と韓国では8割以上、米国が7割が肯定してい
るのに対し、日本が5割台と最も低くなっています。
 この結果は、社会の発展段階や到達水準にもよるでしょうから、一概には判
断できませんが、それにしてもかなり考えさせられる結果ではないでしょうか。
 都市部の現状はさらに衝撃的です。東京都の第8回東京都青少年基本調査は
平成9年に行われたもので少し古いのですが、15歳から29歳を対象に実施
されています。その結果を見ると、生き方の具体的な展望に「ない」と答えた
青少年が43.3%で増加傾向にあるほか、「世の中は自分の力だけではどう
しようもない」に9割近く、「社会がだんだん悪くなると感じている」に8割
超、「まじめに努力しても報われない」に7割超が肯定的な回答をしており、
無力感、先行き不安感、徒労感にさいなまれる実情が示されています。さらに、
「上司(又はクラスの先生)に『期待している』と声をかけられても本気で受
け取らない」が32%→42%(昭和51→平9)と増加している、「街で学
校(時代)の担任教師を見かけたら隠れる」が23%→38%に増加している
など、周囲の期待に反発し、教師・上司から離反する傾向が高まっています。
 もちろん、これらの調査結果の中には、明るい希望を感じさせる内容も含ま
れてはいます。しかし、この手の調査は他にもありますが、どれを見ても深刻
な気持ちにならざるを得ないような結果が示されています。次代を担う若者た
ちに活力を自信を取り戻すために、もはや猶予は許されないところまで来てい
るのではないでしょうか。

  (4月9日は、都合により休刊させていただきます。申し訳ありません。
                 次回は4月12日に配信する予定です)
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