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*** 労務屋の労働雑感 ***
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平成13年03月15日発行 通巻045号
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3月14日、金属大手に回答が示され、事実上決着したことで、今年の春闘
もヤマ場を越えたようです。 今年の春闘は、昨年以降大手企業の業績が急回復したことを受けて、久々に 労働側に順風が吹いたかに思えました。日経連の奥田会長も、「組合員の協力 によって業績が回復した場合は、その成果を賞与などで組合員に適正に還元す ることが必要」と異例の言及を行ったくらいです。連合の決めた要求基準は結 局昨年と同じものでしたが、その意味も意気込みも昨年とは大いに異なるもの だったと思います。 ところが、昨年末以来、株価の下落、米国経済の失速、さらには電機を中心 に業績見込みの下方修正が相次ぐなど、一気に環境が厳しさを増し、ヤマ場に 至っては日経平均が12,000円を割り、金融不安もささやかれる状況になってし まいました。労働側にとっては、日増しに逆風の強まる中での交渉となりまし た。しかも、こうした中で、ここ数年と同様の低額回答が予想されたことに加 え、今年は昨年の雇用延長のような争点もなく、世間の関心も低いものにとど まったことも、労働側にとってはつらい材料だったかも知れません。 さて、こうした中で出た回答は、具体的な数字はマスコミ等で報道されてい るとおりですが、全体的には昨年を上回り、まだ先は長いので予断を許しませ んが、どうやら4年連続の過去最低更新は免れることができそうで、労働側も とりあえず胸をなでおろしているのではないでしょうか。 賃上げで注目されるのは、自動車産業のベア(換算)が、トヨタ600円、 日産1000円、本田600円となった一方、マツダが200円、三菱自工は 経営側のゼロ回答に労組が抵抗し、これを書いている時点でも回答が示されて いないというように、業績によって賃上げも大きく明暗をわけたことです。自 動車はもともとバラツキは大きいのですが、業績格差の拡大を受けて、一層バ ラツキが大きくなった印象で、日経連会長を擁する業界でもあり、横並びがほ とんど崩壊した感があります。 特に注目されるのが日産のベアで、業界の勝ち組と言われる本田、トヨタを 上回っています。業績不振で低額のベアが続いた結果、日産はもともとの賃金 水準がトヨタや本田をかなり下回っていると言われていますので、賃上げ金額 というよりは、賃金水準そのものの格差是正をはかったものと思われます。賞 与と異なり、ベアは社会保険料や時間外手当などを通じて総額人件費に与える 影響が大きいうえ、将来にわたって継続的な人件費増となるものだけに、リバ イバル・プランによる経営再建の成果と今後の先行きに対して、経営陣が自信 を示したものであると言えるかも知れません。これに対して、トヨタと本田は 5年連続ベアで同額、金額で200円差という結果となり、業績が良ければそ れなりに横並びは守られるらしいということが伺われます。 電機業界は、交渉の期間を通じて「毎日業績が悪化する」とまで言われたほ ど急速に環境悪化したわけですが、それでも主要17社のうち日本コロムビア を除く16社が昨年と同額のベア500円を確保しました。電機は、賞与につ いては一部企業で交渉を行わない業績連動型に移行したりするなど、横並びは 完全に崩れつつありますが、ベアに関しては依然として統一横並びがかなり維 持されており、産別(電機連合)の指導力を感じさせます。もっとも、回答の ベア500円は3年連続の過去最低ですし、1社とは云え17社から脱落が出 たのは9年ぶりのことです。産別執行部主導で進めようとしている複数年協定 化も、単組の多くの反対にあって事実上頓挫しているような状態なので、本当 のところは産別の指導力を問われている場面なのかも知れません。 造船重機は、昨年は軒並みの赤字決算ということもあって、全面的にベアゼ ロとなりましたが、今年は業績回復を受けて主要6社がそろってベア600円 の回答となり、平成8年以降、三菱重工とそれ以外という形で一部崩れていた 横並びが復活しました。昨年の一律ベアゼロを期に横並び復帰した形で、いさ さか時計の針を反対に回した感はありますが、これは労組にとってはベアを奪 還した以上の、思いのほかの収穫かも知れません。 鉄鋼は複数年協定で、今年は交渉のない年でしたが、昨年の回答で「昨年ベ アゼロ・今年ベア1000円」としたnkkと神戸製鋼も、予定どおりベアを 実施する構えのようで、昨年言われていた「来年のベア1000円は実施され るかどうかわからない」という事態には至りませんでした。 賞与についても、マツダ、三菱自工など業績不振企業を除けば、昨年要求を 1ヶ月も上回る要求に満額回答した日産自動車の例をはじめとして、業績回復 を反映して、おおむね昨年を上回る回答が示されています。日経連の奥田会長 は、金属業種の回答を受けた記者会見で、「賃上げが横並びになっているのは ギリギリの水準を回答したということであり、賞与が昨年以上に大幅にばらつ いているのは各社の経営状況をふまえた独自の判断が行われた結果」との認識 を示し、「日産のゴーン社長がリバイバル・プランを断行し、賞与を大幅に増 額したことは高く評価されるべき」と歓迎する姿勢を示しています。 最近、金属産業では国際競争の激化を背景に低額回答が目立ち、相場の牽引 役としては力強さに欠く傾向があることから、労働界の一部では、より高額の 回答を引き出せる業種の回答を前に出すべきだとの「打順変更論」がくすぶっ ています。15日には電力と私鉄の回答が示される予定ですが、私鉄総連の坪 根委員長は「われわれが春闘を引っ張っていく」との意気込みを示していると のことでもあり、例年と異なる展開もありうるかも知れません。ヤマ場は越え ても先が長いのが春闘というものです。 (次回は3月16日に配信する予定です) =================================== ◆メールマガジン「労務屋の労働雑感」 このメールマガジンは、インターネットの本屋さん「まぐまぐ」で配送され ています。(http://www.mag2.com)id=0000049801 ◆このメールマガジンは、発行者が、個人の資格で、管理職、人事労務担当者、 組合役員、学生・研究者などの方々を対象に、人事・労務・労働などに関す る話題を提供するものです。毎週月・木曜日(祝日休)に発行しています。 ◆バックナンバーは、次のページからごらんになれます。 http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659/mm/backn.html ◆登録・解除は、次のページからお願いします。 http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659/mm.html ◆労務屋のホームページ:http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659 の「労働掲示板」に、ご意見・ご感想などをおよせいただければ幸いです。 ◆メールアドレス:nagoyakuma@nifty.com ◆転載・引用を歓迎します。その際は、「労務屋の労働雑感」からの転載・引 用であることと、まぐまぐのid(0000049801)の記載をお願いします。 ◆[免責事項]本メールマガジンは、内容の正確性を保証するものではありま せん。本メールマガジンの購読、利用などによって発生したいっさいの損害、 損失、障害などについて、発行者はその責任を負いません。 =================================== |