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=================================== *** 労務屋の労働雑感 *** +++++++++++++++++++++++++++++++++++ 平成14年12月26日発行 通巻202号 +++++++++++++++++++++++++++++++++++ <<< がんばれ、労働組合 >>> =================================== この19日に、厚生労働省の「平成14年労働組合基礎調査」の概況が発表 されました。組織率、組織人員とも勢力が後退しており、労組の退潮ぶりを如 実に示す結果となったようです。 それによると、まず組織率は20.2%と、なんとか20%台をキープしたものの、 前年の20.7%に比べ0.5ポイントの低下となりました。昭和40年代までは一 進一退を繰り返しながら徐々に低下してきましたが、50年代に入ってからは 低落する一方で、これで27年連続の低下となります。昨年、一昨年と0.7ポ イントずつ減少していましたので、今年は20%台の確保が危ぶまれていました が、どうにか踏みとどまったという形です。 組合員数は1,080万人となり、前年の1,121万人から41万人、3.7%減となり ました。こちらは、平成6年までは、組織率が低下する中でも雇用者数全体の 増加により増勢を維持してきましたが、平成7年に減少に転じ、以後8年連続 の減少ということになります。 内容を見ていくと、まず企業規模別には、1,000人以上の大企業は、組合員 数が4.8%減だったにもかかわらず、なんと組織率は昨年の53.5%から54.8% と、引き続き高い水準で、かつ1.3ポイントという大幅な改善を示しています。 これはひとえに、雇用者数が7.2%減と大幅に減少したためであり、労組とし ても決して単純に喜べる話ではありません。また、大企業における人員削減が、 管理職クラスまたはパートタイマーなどの非組合員を中心に行われたことを示 すデータでもあるでしょう。そういう意味では、組合員の雇用は相対的に守ら れているともいえ、労組の存在意義がそれなりに示されたと見ることもできそ うです。 中小はどうかというと、従業員数3桁の中規模企業では、組合員数が4.3% 減に対して雇用者は0.7%増えており、組織率は17.7%から16.8%に0.9ポイン ト低下しています。99人以下の小企業では組合員数が4.7%減、雇用者数は0.6 %減で、組織率は1.3%のまま横ばいとなっています。組織率の企業規模間格 差はむしろ拡大しています。 これをみると、今年の組織率低下の主役は、大企業のリストラよりは、従業 員100〜999人の中規模企業の動向にあったといえそうです。推測されるのは、 これらの企業が、組合員(≒正社員)を減らすいっぽうで、雇用者数が増える ほど非正規雇用を大きく増やしている、ということです。 次に産業別を見ると、組合員300万人超の最大勢力である製造業が組合員数 で5.4%減と大きく減らしており、雇用者数は3.3%減で、組織率も0.6ポイン トのダウンとなっています。 そのいっぽう、組合員100万人台の大勢力である建設、運輸・通信、卸小売・ 飲食、サービスといったところは、いずれも組合員を減らしてはいるものの、 その幅は大きくはなく、組織率で見ると、建設は逆に0.7ポイントの上昇、卸 小売・飲食は横ばい、他の2産業も0.3ポイントの減少にとどまっています。 建設は組合員数が2.4%減に対して雇用者数が5.6%減と、非正規が削減されや すい建設業の実情を反映しているようです。逆に、サービスは組合員数が1.6 %減に対して雇用者数が1.1%増と、非正規へのシフトが見受けられます。 その他特徴的なところを見てみると、やはり組合員120万人超の大勢力であ る公務においても、組合員数が1.8%減に対して雇用者数が2.9%増で、組織率 も61.5%から58.7%と、実に2.8ポイントもの下落となっています。もともと 組織率が高いだけに変動幅も大きくなりがちではありますが、それにしても公 務のリストラも進んでいるということでしょうか。あるいは、公務員の労組離 れも反映しているかもしれません。 こうした傾向がさらに強いのは、電気・ガス・熱供給・水道業と金融・保険 業・不動産業で、それぞれ組合員数が1.3%、4.7%減に対し、雇用者数は8.6 %、3.2%増で、組織率が40.2%→37.1%、62.8%→57.1%となっています。 社会的にもリストラが強く求められているこれらの産業で、まさに正社員から 非正規雇用へのシフトが進んでいることをうかがわせる数字ですが、それでも 雇用者数が増えているというのは、まだまだリストラが手ぬるいと見ることも できるかもしれません。 ちなみに、ナショナルセンター別では、連合が昨年の712万人から695万人に 減らし、ついに700万人を割ってしまいました。連合は発足以来「800万連合」 を自称しており、平成11年に750万人を下回ってからも、随所で「800万組合 員」と述べてきました。最近では、たとえば今年6月の「2002沖縄平和アピー ル」や、それを報じた「Weeklyれんごう7月5日号」に「連合800万人」との 語が出てきていますが、さすがに今後は「800万」ともいいにくいのではない でしょうか。 この結果を連合はどう受け止めているのでしょうか。連合はこの結果に対す る事務局長談話を発表し、「組織拡大が喫緊の課題」としたうえで、組織率低 下の理由を「リストラなどによる企業の人員削減がある一方、非典型労働者の 組織化が不充分であった」と総括しています。そのうえで、「さらなる雇用対 策と、関連・子会社、パートなど非典型労働者の組織化、…100人以下の中小・ 地場の組織化が大きな課題」と述べています。妥当な問題意識といえましょう。 次いで談話では、「この1年間、組織の強化・拡大を最優先課題として取り 組みを進め」、「昨年までの年間平均の拡大数7万人」を大きく上回る「15万 人の拡大実績を上げた」ものの、「減少人員を上回る組織拡大を実現するには 至っておらず、その点、組織拡大体制は未だ不十分」であり、「組合員の期待 に応えられる足腰の強い組織づくりをめざす」と、なかなか謙虚な反省を示し ています。 組織力はなにより労組の生命線ですから、連合の危機感は深刻なものがある ようですが、組織率の低下に加えて、現状の組織率自体がユニオン・ショップ 制や組合費のチェック・オフに支えられていて、組合員の組合参加という面で 必ずしも実質的なものではない、というところに根本的な問題があるようにも 思われます。もちろん、表面的にはリストラによる雇用者の減少、あるいは非 典型労働の拡大によって組織率が低下しているでしょう。しかし、そのいっぽ うで、組織拡大が進みにくいことの根本的な理由として、組合活動が活性化し ていないということがあるのではないでしょうか。 連合が制度・政策課題に舵を切ったことは理解できるものだと思います。し かし、「労働時間の短縮」のような労働条件の課題まで、団体交渉を通じた協 約化ではなく、国会や審議会の場での「法制化」の運動に走ってしまったこと が、組合員の参画意識を大きく低下させてしまったのではないか、という気が しているのは私だけでしょうか。あるいは、あたかも過去からのいきさつでず るずると続けているかのように見える平和運動など、組合員の共感を得にくい 活動に労力を割きすぎてはいないでしょうか。 余計なお世話でしょうが、内を固めなければ外への拡大も難しいのではない か、というのが私の率直な感想です。組織拡大が重要であればこそ、内部の組 織固めも重要で、両者は不可分ではないかと思います。 (次回は1月9日に配信する予定です) =================================== ◆メールマガジン「労務屋の労働雑感」 このメールマガジンは、インターネットの本屋さん「まぐまぐ」で配送され ています。(http://www.mag2.com)ID=0000049801 ◆このメールマガジンは、発行者が、個人の資格で、管理職、人事労務担当者、 組合役員、学生・研究者などの方々を対象に、人事・労務・労働などに関す る話題を提供するものです。なるべく毎週月・木(祝日休)発行しています。 ◆バックナンバーは、次のページからごらんになれます。 http://www.roumuya.net/mm/backn.html ◆登録・解除は、次のページからお願いします。 http://www.roumuya.net/mm.html ◆労務屋のホームページ:http://www.roumuya.net の「労働掲示板」に、 ご意見・ご感想などをおよせいただければ幸いです。 ◆メールアドレス:nagoyakuma@nifty.com ◆転載・引用を歓迎します。原則として、ヘッダ・フッタも含めた全文の転載 をお願いします。部分引用についてはご相談いただければ幸いです。 ◆[免責事項]本メールマガジンは、内容の正確性を保証するものではありま せん。本メールマガジンの購読、利用などによって発生したいっさいの損害、 損失、障害などについて、発行者はその責任を負いません。 =================================== |