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=================================== *** 労務屋の労働雑感 *** +++++++++++++++++++++++++++++++++++ 平成14年04月01日発行 通巻149号 +++++++++++++++++++++++++++++++++++ <<< 株主重視は支持されているのか >>> =================================== 経済広報センターという財団法人があります。経団連の外郭団体で、主に経 済界の意見を広告などの形で世間にprすることが主な役割ですが、広報の基 本は受信と発信ですから、さまざまな世論調査などを通じて社会のメッセージ を受信する活動にも取り組まれているようです。その一貫として、三千人を超 えるモニター(社会広聴会員)や千人弱のeネット会員を通じた意識調査が行 なわれています。今回はその中から、昨年11月に実施された第五回「企業観 アンケート」をご紹介したいと思います。 さて、この調査ですが、基本的には「生活者」の企業に対する信頼感や企業 の社会的責任に対する意識を把握し、企業広報やコーポレート・ガバナンスに 関連する施策、提言に生かしていこうというもので、人事・労務担当者にとっ ても興味深い内容を含んでいます。 調査ではまず、企業の社会的な役割、責任といわれるものについて、それぞ れの重要度を聞いています。いずれも「重要」とする回答が多いのですが、も っとも重要度が高かったのは「事業」で、「非常に重要」+「重要」で95% 以上を占めています。当然の結果といえるでしょう。続いて「環境保護や省資 源・省エネルギー」が94%、「雇用の維持と創出」が91%で続いています。 「非常に重要」だけを見ると「事業」が72%で突出して高く、「環境保護や 省資源・省エネルギー」が54%、あとは企業倫理、危機管理、情報公開、雇 用40%台で続きます。その他の選択肢は20%台にとどまっていますので、 ここまでが企業の役割、責任として重視されているといえるでしょう。ちなみ に「株価の向上と安定配当」は「非常に重要」+「重要」で79%、「非常に 重要」だけだと19%にとどまっており、いずれも「メセナやフィランソロピ ー」を上回るだけのブービーとなっています。 次に、これら企業の社会的責任が果たされているかどうかの評価を訊ねてい ますが、「全く果たしていない」こそ2%と少ないものの、56%が「あまり 果たしていない」と回答しています。「十分果たしている」は1%、「概ね果 たしている」は38%なので、かなり辛い評価といえます。しかも、「十分」 +「概ね」果たしているの割合は、97年以降56%→53%→50%→44 %→38%とどんどん低下しています。 その一方で、「企業に対する信頼感」が「この1年間で」どう変化したか、 を訊ねた設問では、「特に変化していない」が65%と最も多く、「低くなっ た」は29%、高くなったは5%となっています。昨年の調査では「低くなっ た」が42%でしたので、かなり改善しているという結果になっています。こ れは、この調査が行なわれたのが昨年の11月で、雪印乳業の食中毒事件や三 菱自工のリコール隠しなど相次いだ一連の不祥事からは1年以上経過している 一方、まだ雪印食品による産地偽装などの不祥事は発覚していないという、不 祥事の谷間であったことによるものでしょう。そういう意味では、同じ調査を 産地偽装事件発覚後にもう一度実施すれば、その影響を測定できたわけです。 まあ、費用もかかりますしなかなか難しいでしょうが・・・。 次の設問「企業の信頼感の維持・向上に何が重要か」に対する回答で、「企 業倫理の確立と順守」が昨年までの1位から5位に後退したのも、おそらくは 同様の時期的な要素が大きかったのでしょう。いま調査を行なえば違った結果 がでるものと思われます。ちなみに1位は「事業」で6割程度、次いで情報公 開、環境保護、雇用が4割前後で並んでいます。 注目すべき結果が出ているのは、「企業経営において今後さらに重視すべき ステークホルダーは何か」を聞いた設問です。これに対しては、最も多かった のは「顧客」で78%となっています。もちろん、顧客は現在も大いに重視さ れているはずですが、今後はさらに重視すべきだということで、企業の顧客指 向を求める意見が多いようです。これと並んで高い支持を集めたのが実は「従 業員」で、72%の人が「現在以上に重視すべき」としています。世間ではむ しろ「日本企業は従業員を重視しすぎ」との見解が横行していますが、それと は正反対の結果が出た(しかも経団連外郭団体の調査で)ことは大いに注目さ れるところです。「就業者」と「就業者以外」にわけた集計結果も公表されて いますが、前者が72.3%、後者が71.2%とほとんど違いはありません。3位は 「生活者全般」の56%、4位は「地域社会」の42%が続きますが、上位2 つとはかなり差があります。ちなみに、「株主」という回答は、「個人株主」 が16%弱、「機関投資家」が4%で、合計しても2割に達しません。株主で あることも多い「金融機関」をあわせても25%ですから、わが国の世論とし ては、株主重視より従業員重視の企業経営が圧倒的に支持を集めているのが現 実であるということになりそうです。 ほかにも興味深い設問がありますが、人事・労務とは直接関係ないので割愛 させていただきます。もちろん、世論に従うことがすべて正しい経営、正しい 政策運営であるとばかりは言えないことも当然でしょう。とはいえ、世論を軽 々に無視することができないこともまた当然です。世間には依然として株主至 上主義の経営や投資家優遇政策を説く論調もありますが、国民の意識を無視し た経営や政策が成功するとはあまり考えられないのではないでしょうか。 (次回は4月4日に配信する予定です) =================================== ◆メールマガジン「労務屋の労働雑感」 このメールマガジンは、インターネットの本屋さん「まぐまぐ」で配送され ています。(http://www.mag2.com)id=0000049801 ◆このメールマガジンは、発行者が、個人の資格で、管理職、人事労務担当者、 組合役員、学生・研究者などの方々を対象に、人事・労務・労働などに関す る話題を提供するものです。毎週月・木曜日(祝日休)に発行しています。 ◆バックナンバーは、次のページからごらんになれます。 http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659/mm/backn.html ◆登録・解除は、次のページからお願いします。 http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659/mm.html ◆労務屋のホームページ:http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659/ の「労働掲示板」に、ご意見・ご感想などをおよせいただければ幸いです。 ◆メールアドレス:nagoyakuma@nifty.com ◆転載・引用を歓迎します。原則として、ヘッダ・フッタも含めた全文の転載 をお願いします。部分引用についてはご相談いただければ幸いです。 ◆[免責事項]本メールマガジンは、内容の正確性を保証するものではありま せん。本メールマガジンの購読、利用などによって発生したいっさいの損害、 損失、障害などについて、発行者はその責任を負いません。 =================================== |