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=================================== *** 労務屋の労働雑感 *** +++++++++++++++++++++++++++++++++++ 平成14年01月28日発行 通巻133号 +++++++++++++++++++++++++++++++++++ <<< 「ノー残業デー」の実態は? >>> =================================== 「毎日コミュニケーション」といえば学生さんの就活には欠かせない定番で すが、そのサイト「mycom web」には、内定後の学生さんをフォロー する「社会人準備サイト freshers」というページもあります。毎日コミュニ ケーションズは社会人向けの自己啓発や転職情報のビジネスも展開しているだ けに、就活で取り込んだ学生さんを継続的に囲い込んでいこうというねらいで しょう。内容を見ますと、「スーツの選び方」「オフィスメイクの基本」とい った身だしなみの基本や、「成功する部屋探し」といった生活支援をはじめと して、「先輩87人に聞きました。新人研修の内容は?」「支出から見る社会人 の1週間−新入社員編−」「入社前に読む会社用語」といった特集、さらには 「会社の規則&マナー」という労務屋には見過ごせない?記事などもあり、た しかに内定して入社を待つ学生さんには興味あるコンテンツが揃っています。 さて、その中に、「no残業dayの実態」という記事がありました。行政 や労組はもっぱら労働時間短縮運動のため、企業サイドは時短はたまた経費削 減の一環として、「ノー残業デー」が奨励されているわけですが、その実態を 概観したミニ調査です。調査対象は83社といたって少ないのですが、それな りに職種・規模などが網羅されるように選ばれているようなので、一定の傾向 を読み取ることはできるでしょう。 その結果を見てみますと、ノー残業デーが「ある」というのは全体の36% で、思ったより少ない印象です。 内訳としては、まず企業規模では大企業での普及が進んでおり、ノー残業デ ーの設定がある企業の55%が従業員1000人以上です。逆に設定のない企 業の78%が従業員1000人以下で、やはり企業の規模が小さくなるほどノ ー残業デーのような柔軟性を損なう施策は取りにくいようです。 業種に関しては、やはり小売、サービスといった「客商売」はその導入が難 しく(19%)、製造業は比較的導入しやすい(40%)ようです。 それでは、いつがノー残業デーなのか、ということになると、「毎週水曜日」 が圧倒的に多く61%を占めています。たしかに、周囲で「定時の日」をやっ ている企業を見ても、水曜日というのが多い気がします。理由があるのかどう かはわかりませんが、記事にもあるように「週のちょうど中日」というくらい の理由で決まっているのでしょう。ちなみに、面白かったのは「給料日」とい うのが1割弱あることで、みんなで呑みに行きましょう、という感じがあから さまにしますが、職場・社員の親睦、「ノミュニケーション」促進という労務 的意図もあるのでしょうか。最近ではノミュニケーションも流行らないようで すが・・・。 さて、問題は「ノー残業デー」がどれだけ実行、徹底されているか?という 点です。これについては、「守られている」5%、「だいたい守られている」 36%、「あまり守られていない」9%、「守られていない」41%という結 果が出ています。「だいたい」「あまり」を含めると、「守られている」「い ない」はほぼ同じくらいですが、きちんと守られているところが少ない一方、 まったく守られていないところが多いわけで、かなり有名無実化しているとい うのが実態のようです。「サラリーマン川柳」の企画にも、「水曜日 ノー残 業デー 形だけ」というのがあるとか。 他にも調査はないかと見てみますと、大阪府職(労組)が一昨年の10月2 5日と昨年の2月21日に「ノー残業デー」の定点観測を実施しているとのこ とで、午後8時時点でそれぞれ509人、506人の残業者がおり、残業率は 11%という結果だったとのことです。また、京都自治労連が昨年9月に実施 した調査でも、対象28労組の中で効果が確認できたのは2労組のみという報 告がなされています。まあ、どれほど意味のある調査結果かはわかりませんが、 やはり「ノー残業デー」は形骸化しやすいということはできるのではないでし ょうか。 そもそも、「ノー残業デー」という取り組みは、「忙しいけれど、たまには 早く帰りたい」けれど、「まわりが残業していると、自分だけ早くは帰りにく い」という心理的な要因に配慮して、「それでは、この日は『残業せずに帰る べき日』であると決めて、みんなで残業しないようにすれば、気兼ねなく帰れ るでしょう」という趣旨ですから、本当に忙しいとか、急ぎの仕事があるとか いう人まで残業してはいけないというわけではないでしょう(もっとも、中に は所定終業時刻で空調を切ってしまうとか、もっと過激に照明まで落としてし まうという例もあるようですが。経費節減という目的が強いほど、こうした強 硬な手段が採られるのでしょう)。ただ、そういう人が多数派になってしまう と、「気兼ねなく」という趣旨が達成できなくなりますので、形骸化への道を 歩むことになります。極端なことをいえば、たとえば毎日1時間、2時間の残 業をしているのであれば、週1日のノー残業デーに残業をしないかわりに、他 の4日は15分、30分ずつ多く残業をする、ということでも、「たまには早 く帰る」「メリハリをつけて働く」ということは可能です。ただし、これでは 労働時間の短縮にはならないわけですが、そこは「週に1日、残業なしで帰れ るように能率を上げよう」ということだけでも、それなりの効果はあるはずで す(もっとも、これが、全員毎日4時間、5時間の残業をしているとなるとそ れも困難ですが、そういう職場ではそもそも「ノー残業デー」の導入自体がナ ンセンスでしょう)。結局のところ、「忙しい」「仕事が多すぎる」といった 理由でノー残業デーが形骸化しているとしたら、そもそもノー残業デーへのニ ーズがないということかも知れないわけで、結局は意識の問題が大きいという ことになりそうです。 ちなみに、この「ノー残業デー」という言葉はもともとは組合用語のようで、 特に自治労が精力的に展開したこともあってか、県庁や市役所・町村役場など で普及が進んでいるようです。民間企業ではどちらかというと「定時の日」 「定時退場日」という名称の方が好まれているようです。また、ある時期から は、「ノー残業デー」が省エネルギー対策としても採用されるようになってき ました。こちらは、ばらばらに残業するよりは、やるときはまとまってやるこ とで稼働時間を減らそうということですから、本当に全員が定時退場しなけれ ば効果は薄いということになります。しかし、経費節減効果としても大きいと いうことで、最近ではこちらの取り組みが拡大しているようです。 (次回は1月31日に配信する予定です) =================================== ◆メールマガジン「労務屋の労働雑感」 このメールマガジンは、インターネットの本屋さん「まぐまぐ」で配送され ています。(http://www.mag2.com)id=0000049801 ◆このメールマガジンは、発行者が、個人の資格で、管理職、人事労務担当者、 組合役員、学生・研究者などの方々を対象に、人事・労務・労働などに関す る話題を提供するものです。毎週月・木曜日(祝日休)に発行しています。 ◆バックナンバーは、次のページからごらんになれます。 http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659/mm/backn.html ◆登録・解除は、次のページからお願いします。 http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659/mm.html ◆労務屋のホームページ:http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2659/ の「労働掲示板」に、ご意見・ご感想などをおよせいただければ幸いです。 ◆メールアドレス:nagoyakuma@nifty.com ◆転載・引用を歓迎します。原則として、ヘッダ・フッタも含めた全文の転載 をお願いします。部分引用についてはご相談いただければ幸いです。 ◆[免責事項]本メールマガジンは、内容の正確性を保証するものではありま せん。本メールマガジンの購読、利用などによって発生したいっさいの損害、 損失、障害などについて、発行者はその責任を負いません。 =================================== |