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          *** 労務屋の労働雑感 ***

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        平成14年09月26日発行 通巻185号
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 この17日に厚生労働省から発表された「2001年パートタイム労働者総合実
態調査」の結果(速報)によると、いわゆる「パート」等労働者は全労働者の
26.1%と、4人に1人を上回っていることが明らかになったそうです。これは
前回(1995年)調査に較べて8.3ポイント増という大幅増加で、実数でも320万
人増の1,118万人となっているとのことです。
 この「パート『等』労働者」というのが曲者で、周知のとおり、「パート」
と一口に言っても、「一日の労働時間が短い、あるいは労働日数が少ない」と
いう、パート労働法の定義にあるようなパート労働者と、労働時間や労働日数
はいわゆる正社員とは変わりないものの、「賃金が時間給で、仕事は比較的定
型的・非熟練、昇給・昇進なども限定的」(まあ、現実はさまざまでしょうが、
ひとつの類型として)といった、一種の「雇用管理区分」としてのパート労働
者とが渾然となって混在しているのが実態です。今後、働き方の多様化が進む
であろう趨勢の中で、企業はこの部分の整理を迫られるものと思われます。ち
なみに、今回調査によれば、労働時間等が短い「パート」は949万人、労働時
間等が同じか長い「パート」は169万人となっているそうで、伸び率はどちら
も同等程度となっているようです。
 なにかと問題視される「擬似パート」、この調査で言えば「職務・責任が正
社員と同じ」パート、ということになるようですが、それが存在すると回答し
た事業所は40.7%にのぼったそうです。これを高いと見るか低いと見るかはい
ろいろでしょうが、わが国では正社員であっても最初は(パートが担当するよ
うな)定型的な実務からスタートさせることが一般的なので、フルタイム勤務
の「雇用管理区分パート」がいる事業所はかなりの割合でこれに該当してしま
うことになります。そういう意味では格別驚くような高率ではないと受け止め
ておくべきでしょう。
 なぜパートという働き方を選んだのか、という質問に対しては、「自分の都
合のよい時間に働きたいから」という回答を男女とも約半数があげています。
「勤務日数・時間が短いから」というのも3割前後の回答を集めていますが、
これも「都合のよい」に近いと見ることができそうですから、これを見る限り
では男女ともに仕事と生活のバランスをとりつつ働こうとの意識が高まってい
ることを示唆する結果にはなっています。今後の就業希望についても、約3分
の2は「パートを継続したい」と回答しています。
 その一方で、男性の22%が「正社員として働ける会社がない」という理由を
あげており、これは1995年調査に較べてほぼ倍増していますので、経済不振が
続く中で、いわゆる「不本意パート」も増加しているのが実態でしょう。今後
の就業希望も、男性に限れば「正社員になりたい」が23%を占め、1995年調査
より10ポイント増加しています。まだ多いとはいえない数字ではありますが、
無視できない動向だろうと思います。
 さて、企業サイドがパート等労働者を増やしている理由はといえば、「人件
費が割安だから」との回答を65%があげており、1995年調査に較べて28ポイン
ト増と大きく増加しています。その他に多い回答としては「忙しい時間帯に対
処するため」「簡単な仕事内容だから」がそれぞれ3〜4割にのぼっています
が、これは1995年調査と大きな変化はありません。実務的に考えると、複雑な
仕事内容を割安な人件費で手当できることは期待できないわけですから、「人
件費が割安だから」というのと「簡単な仕事内容だから」は現実の意味として
はそれほど違いがあるわけではないでしょう。人手不足(1995年時点では、ま
だ気持ちの上ではバブルの余韻が残っていたはずです)のときには簡単な仕事
でも比較的高い人件費を払わないと調達できないのに対して、経済の不振が続
く中では、簡単な仕事は割安な人件費で手当しようとする(また、実際にでき
る)というのは実務感覚に大いに一致していないでしょうか。実際、パート等
労働者の賃金については「世間相場で決める」を3分の2以上があげています
ので、長引く景気低迷の中、割安な労働力で対応できる仕事は割安な労働力に
シフトしていくという企業としては当然の行動が進んでいるということでしょ
う。その中で目立つのは、パート等労働者を雇用する理由として「一時的な繁
忙に対処するため」を27%があげて、1995年調査の約3倍に達していることで
す。雇用を最大限安定させつつ、負荷の変動に対応していこうとする、日経連
の「自社型雇用ポートフォリオ」の考え方が浸透しつつあることを伺わせる結
果であるといえそうです。
 その他、パート等労働者をめぐるさまざまな論点にも行き届いた調査が行わ
れており、たとえば「正社員と較べた賃金の納得度」については、「低くて納
得できない」は16%となっています。どう評価するかは難しいでしょうが、こ
と賃金に関しては「低い」との意識が根強い傾向があり、納得度はなかなか高
まらないというのが実務家の一般的な感覚でしょうから、16%という数字は思
いのほか低いとも言えそうな気がします。「103万円の壁」などを理由とする
就労調整を行っているとしたのは23%で、これはやはり問題とする必要のある
数字だろうと思います。社会保険については、雇用保険に加入している割合が
45%となっています。雇用保険料は、この10月から上がるとはいえ、それでも
それほど高いものではないのですから、事業主としてももっと加入を促進して
はどうかなというのが率直な感想ですが、1995年調査に較べれば10ポイント近
く向上しているというのですから、この経済不振の中よくがんばっているとい
うべきなのかも知れません。
 もう一つ、労組への加入については、「会社にパートが加入できる組合があ
る」が3割近くに上っており、労組もそれなりに努力していると評価できるの
ではないかと思います。ちなみに「加入している」は18%となっており、傾向
として所得が多くないパートにとって、組合費を負担してまで労組に加入する
ことはまだまだ当たり前とは言えない実情が伺われます。
 全体を通じた印象としては、たしかにパート等労働をめぐる問題点として指
摘されている事項を裏付ける結果である一方、世の中で言われているほどには、
虐げられているパートが増えている、というわけでもないことが伺えると思い
ます。パート=不安定・低賃金労働=けしからん、という思考ではなく、先般
のパート研報告にも一部見られるような、働き方の多様化の進展として前向き
に考えていく必要がありそうに思われます。

                (次回は10月3日に配信する予定です)
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