===================================           *** 労務屋の労働雑感 *** +++++++++++++++++++++++++++++++++++         平成16年04月22日発行 通巻257号 +++++++++++++++++++++++++++++++++++         <<< 上司のみなさん、見られてますよ! >>> ===================================  ビジネス誌の「週刊ダイヤモンド」に、「見られてますよ!OL1000人 会議」というコラムが連載されています。すでに50回以上(ということは1年 以上)続いていますから、それなりに人気があるのでしょう。MiMi生活情報研 究所が運営している女性向け会員制情報サイト(会員が意見や情報を提供する とポイントでキャッシュバックされるというシステムで、収集した情報を分析 して売るというビジネスモデルのようです)が実施した、いわゆる「OL」 (あまりいいことばではありませんが、とりあえずここではこのことばを使う ことにします)の会員1000人を対象としたアンケート結果をもとにしたコラム です。サンプルは偏っているでしょうが、オフィスで働く女性たちの一面の本 音を映したものとして興味深いものがあります。私は一介のスタッフで部下を 持たない身なので、まだしも比較的気楽に読めますが、現実に部下をあずかる 上司のみなさんには、なかなか考えさせられる内容も多いのではないかと推測 します。  まず、記念すべき?連載第1回のテーマは「信頼できる上司はいますか?」 というダイレクトなものです。これに対する回答は、「Yes」が263人、「No」 が737人となっています。OLですから何人かの上司がいるのが普通でしょう が、この設問で「No」という回答になるのは「ひとりもいない」場合でしょう から、これは上司としてはかなり厳しい結果でしょう。世の上司たちに「あな たは部下のOLに信頼されていると思いますか?」と訊ねたら、「Yes」が約 4分の1にとどまるということはおそらくないでしょう。さらに、「上司に相 談にのってもらって助かった!と思ったことはありますか?」という質問に対 しては826人が「No」。まあ、相談したことがないという人もかなり含まれて いるのでしょう。連載49回では「転職や仕事上の悩み、真っ先に誰に相談しま すか」という設問に対し、「友人」「同僚」があわせて490人、「親」「配偶 者」があわせて241人に対し、「上司」は119人にとどまっています。まあ、こ れには「転職」や「真っ先に」といった条件のせいもあると思いたいところで すが・・・。  28回では、「上司のマネジメント能力をどう評価しますか?」がきかれてい ます。これに対しても、「かなり、できる」という評価は残念ながら116人ど まり。「部下の好き嫌いが激しい」が203人、「危ない橋を渡らない、小心」 とリスクテイク能力不足を指摘するのが171人、「プレイヤー気分が抜けてい ない」とマネージャーの自覚不足を指摘するのが167人となっているほか、自 由回答には「仕事をしないどころか、部下の邪魔をする」「定年後の計画に夢 中」などなどの痛烈な意見が並んでいます。なるほど、これでは信頼されない わけです。  「上司の仕事に対する姿勢」を訊ねた第34回でも、「わからない」が302人 で最多という結果です。まあ、これはOLという会社への関与が比較的高くな い立場にいるせいもあるでしょう(本文には「付き合っているわけじゃなし」 というさめたコメントがあります)。それにしても、仕事に対する姿勢がわか らない上司を信頼しろというのも無理な話かもしれません。そのほかでは「仕 事が好き」と「出世が生きがい」があわせて307人、「遊びのために働いてい る」「家庭第一」があわせて271人とけっこう拮抗しています。まあ、これは どちらがいいというものではないでしょう。  そのいっぽうで、第8回では「上司に対し『仕事ができる!』と思った瞬間 は?」という質問が設定されています。「適切なアドバイスがあった」「見事 な決断をした」「部下をうまくやる気にさせた」「仕事が速かった」「経営幹 部にも堂々と意見を言った」が、それぞれ246人〜119人から評価されています。 どれも上司としてはうれしくなる話ですが、「複数回答可」にもかかわらず、 「その他」も含めて全部の回答を足し合わせても1010人にしかなりません。と いうことは、かなりの人がなにも回答しなかった、つまり「そんな瞬間はなか った」ということではないのか、少々気になるところではありますが、いずれ にしてもいいところもしっかり見られているということでしょう。  また、信頼できる上司がいない人が約4分の3というなかでも、第13回の結 果によれば9割以上は「あとちょっとでいい上司」ということなので、いくら かは救われるものもあります(まあ、いい上司と信頼できる上司との間にはま た距離があるのかもしれませんが)。「何がいけない?」という問いには、 「もうちょっと仕事をしてほしい」「部下の仕事に関してひと言多い」「部下 のプライベートについてひと言多い」「上役に対して毅然とした態度を!」な どといった回答が並びます。上司各位にも、ひとつくらいは身に覚えのある人 は多いのではないでしょうか。ちなみに、「机の上を片付けてほしい」「言葉 づかいが少し乱暴」といった"ささやかなお願い"はほとんどが20代の人からで、 30代からは「仕事内容について理解が浅い」などの厳しい意見が多数という結 果になっているようです。  こうした結果に対して、「いかにもOLらしい」というドライな見方をする 人もいるかもしれません。一般的にOLは基幹的な仕事よりは補助的な仕事に 従事し、勤続や社内でのキャリアアップに意欲的ではないという理解をしてい る上司も多いでしょう。「仕事内容について理解が浅い」人でも「あとちょっ とでいい上司」だというのは、仕事における有能さが「いい上司」の要件とし ては必ずしも重くない、ということを意味しているとみることもできるかもし れません。そういう考え方をする人からみれば、会社や仕事により深くコミッ トしている上司とOLとは価値観が異なるのは当然で、したがって上司がOL に信頼されないのはむしろ自然だ、という考え方です。  とはいえ、「OLに信頼されなくても仕方ないよ」で本当にすませることが できるかどうか。現実には、上司としてぜひとも信頼を得ておきたい職場のキ ーマンをはじめ、基幹的な仕事に携わる人たちも、ほとんどがOLとの共同作 業で仕事を進めているのが実態のはずです。OLの上司に対する不信感は、確 実にこうした人たちにも伝染すると考えるべきでしょう。それは確実に職場の パフォーマンスの低下につながるはずです。  しかも、OLが上司に求めるものも、仕事で楽をさせてくれとか、食事をご ちそうしてくれとかいったものではなく(もっとも、ケチにはかなり厳しい見 方がされるようですが)、「もっと仕事をしてほしい」とか「マネージャーと しての自覚を持ってほしい」といった、職業人としての本質に関わるものがほ とんどです。「部下の好き嫌いが激しい」という意見を「OLらしい」と笑う 上司は、部下には虚心に、公平・公正を旨にあたるべし、という管理職の基本 中の基本ができていないといわれてもしかたないでしょう。  現実をみると、OLとひとことに言っても正社員がどんどん減少し、派遣社 員や有期雇用が増加しています。もっとも多様化が進んでいる分野のひとつと いえるでしょう。それにともなって、職場でのコミュニケーションは難しくな っており、また、正社員であればとくに問題にはならなかったさまざまなリス クも発生しているとみるべきでしょう。OLからも信頼を得られる上司のマネ ジメントは重要性を増している考える必要がありそうです。このコラムの「見 られてますよ!」というタイトルは、「あなたがたは私たちに関心がないかも しれないが、私たちはあなたがたをしっかり見ています」という意味がこめら れたものでしょう。上司の方々には肝に銘じていただく必要があるかもしれま せん。  企業としても、職場コミュニケーションの核としての中間管理職の役割をあ らためて評価しなおすことが必要ではないかと思います。一時期、中間管理職 が妙に悪者視され、管理職ポストを減らすこと流行しました。もちろん、不要 なポストを整理することは必要でしょうが、一部には行き過ぎた実態もあった のではないかと思います。この問題に限らず、職場のコミュニケーション不足 が一因となっている問題はほかにもあるように思います。中間管理職不要論は そろそろ再考の時期にきているのではないでしょうか。                 (次回は4月26日に配信する予定です) =================================== ◆メールマガジン「労務屋の労働雑感」  このメールマガジンは、インターネットの本屋さん「まぐまぐ」で配送され  ています。(http://www.mag2.com)ID=0000049801 ◆このメールマガジンは、発行者が、個人の資格で、管理職、人事労務担当者、  組合役員、学生・研究者などの方々を対象に、人事・労務・労働などに関す  る話題を提供するものです。毎週月・木曜日(祝日休)に発行しています。   ◆バックナンバーは、次のページからごらんになれます。  http://www.roumuya.net/mm/backn.html ◆登録・解除は、次のページからお願いします。  http://www.roumuya.net/mm.html ◆労務屋のホームページ:http://www.roumuya.net の「労働掲示板」に、 ご意見・ご感想などをおよせいただければ幸いです。 ◆メールアドレス:nagoyakuma@nifty.com ◆転載・引用を歓迎します。原則として、ヘッダ・フッタも含めた全文の転載  をお願いします。部分引用についてはご相談いただければ幸いです。 ◆[免責事項]本メールマガジンは、内容の正確性を保証するものではありま  せん。本メールマガジンの購読、利用などによって発生したいっさいの損害、  損失、障害などについて、発行者はその責任を負いません。 ===================================

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