■2003/04/30 (水) 「年俸制」とはいうものの

 今月は月初と月末だけになってしまった。28日の朝刊に、電通グループの広告・CM制作会社である電通テックが業績連動型の年俸制を全社員に導入したのとニュースが出ていた。見出しでは「利益に応じ賃金総額固定」となっている。
 内容を見ると、まず、年齢によって決まる「本人給」と事実上勤続で決まる「職能給」は廃止する、とある。これは格別珍しい話ではない。
 次に新しい制度だが、業務成果を月次給与に反映させる「成果年俸」、十段階の職能に応じた報酬を月次給与の一部として支払う「ステージ年俸」、職能に応じ一時金として支払う「基本賞与」、個人業績を一時金に反映させる「個人業績賞与」の四種類で構成する、ということらしい。
 「年俸」ということばが踊っているが、これをみると実態としては基本的に職能給のようで、月給が成果給+職能給、賞与も職能給比例部分と業績反映部分の組み合わせで、制度設計自体はやはり特段目新しい話ではなさそうだし、職能給が入っている以上それなりに年功的な部分もあるはずだ。
 というわけで、この新制度が新しいのは唯一「賃金総額を利益の一定割合に固定」という一点にあるようだ。本当に「利益の一定割合に固定」するのなら、仮に赤字になれば年俸もマイナス(!)ということになるから、これはまことに画期的に違いない。
 しかし、実際には「割合については労働組合との協議で三年ごとに見直す」となっている。労組が関与するとなると、月給が下がるとか、年収が大幅にダウンするようなことはよほどのことがないかぎり起こらないだろう。また、「利益」も粗利益を使うということだから、社員が関与しがたい評価損などは織り込まれず、経営ニーズよりは社員の意欲に整合的なしくみになっている。
 こうしてみると、全体としてみれば、労組との間で経営における人件費負担を確認しあいながら、業績をふまえて年間賃金、特に賞与をある程度変動させていこう、ということなのだろう。それを思い切り派手に脚色するとこういう表現になるわけだが、内容的には電機各社が導入している業績連動賞与に較べてもむしろ穏健なものと思える。
 「全社員を対象とした年俸制を導入する企業はまだ少ない」というのはそのとおりだろうが、宣伝業界ならば格別過激な話とも思えない。ずいぶん派手な報道になっているが、いささかことばに踊らされている感は否めないように思う。

■2003/04/01 (火) 運用?

 雇用福祉事業の施設(スパウザ小田原など)の投げ売りが叩かれているが、今朝の日経5面の「どうする社会保障 現場は悩む1」との特集記事では、今度は年金の施設(グリーンピア)の投げ売りを叩いている。
 まあ、叩かれても致し方のない話ではあるが、ひとつ気になるのはグリーンピア岩沼の写真に「年金運用の目的を果たせず」と書いている点だ。
 たしかに、グリーンピアを運営する年金資金運用基金(以前は年金福祉事業団)は、年金資金の運用も行なっている。しかし、グリーンピアはあくまで被保険者の福祉の増進、保養のために作られたもので、運用(グリーンピアの事業で利益を上げて資金をふやす)ためのものではないはずだ。事業団の中でも、運用事業と施設事業はきちんと区別されており、グリーンピアはもちろん後者にふくまれる。
 ずさんな運営を批判するのは大切だが、目的をすりかえるのはいささか勇み足ではなかろうか。

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