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このページは、上記の会合のゲスト・スピーカーとしてスピーチした際の内容等を記載しています。会合は、私のほかに3人のゲスト・スピーカーが招かれ、それぞれスピーチを行った後、全体でのディスカッションが実施されました。ここで記載したのは、私のスピーチ、コメンテーターによるコメントとそれへの回答、私のスピーチに対する質疑応答と、全体でのディスカッションにおける私のスピーチに関連する部分です。会合での議論の全体像をご紹介したものではありませんので、ご注意ください。 このページは、(財)統計研究会様のご好意により公表しております。関係者のみなさまに深く感謝申し上げます。 なお、都合により、当日使用したプレゼンテーション資料は掲載しておりませんので、ご容赦ください。 |
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(報告) 本日は、こういう大変いい機会を与えていただきまして感謝致しております。大変やっかいなコメントを引き受けていただいたコメンテーターの先生、本当にありがとうございました。 では、早速でございますけれども始めさせていただきます。時間が押しておりますので、自己紹介等は抜きにして、早速進めさせていただきたいと思います。 まず、うちの会社の現状でございます。従業員・売上高・利益等はご覧のような数字でございます。かなり手広くビジネスをやらせていただいておりまして、典型的な製造業の大企業ということではなかろうかと思います。 生産・販売でございますが、ご覧いただきますと90年のバブルの絶頂期に生産・販売とも伸びておりまして、そのあとは残念ながら少々少ない状況が続いております。そういった中で、海外生産がどんどん増えておりまして、現地化が進んでいる一方で、国内の生産はその分減ってくるような傾向にあるということをご覧いただければよろしかと思います。 次に、高卒の採用について申し上げます。まず、従業員数でございますが、これも絶頂期の1992年にはごらんのような大変な大人数になっております。今は、残念ながらここまでの水準にまで減っています。その下が採用数の推移ですが、ご覧いただける通り見事に従業員数と採用数の動きが一致しております。日本企業というのは、採用と自然減というかたちで調整するしかないということがご覧いただけるのではないかと思います。 そういった中で、高卒技能職の採用でございますけれども、これもグラフに出しますとバブルのころにはたくさん採っていますけれども、バブルが崩壊して、更に操業が低くなってきた時にはピーク時の3分の1程度という数字になっているわけでございます。 非常にわずかでございますが、女性をなるべくたくさん採りたいということで、女性の採用が増えてきています。特に(平成)10年以降だと思いますが、均等法の関係で男女別の採用をやめて男女一緒に採用して優秀な者から採るということをやっておりますので、11年はかなりいい女性の方を採用することができたということもございます。 選考というのは、全国一斉にやりますので、全国数十カ所に選考会場を設けまして、われわれも含めまして数十人の選考スタッフがやっております。求人校は、全国採用でございまして、ピーク時には現在の7〜8倍くらいの数の学校に求人しておりました。かなり手広く採用を行っているということを申し上げていいと思います。 実際の採用でございますが、高校による紹介というのが唯一の方法でございまして、スケジュールとしては6月20日ぐらいに求人の受付が始まって、7月の1日に高校に求人を申し込みます。すべてこれはいちいち職安を経由せねばなりません。学校推薦と応募書類が出てくるのは9月5日以降、選考が9月16日以降というふうに決められているわけでございます。2カ月半ぐらいの非常に短い期間で学生さんたちは就職先を決めなければいけないという状況でございます。 先ほども少し話が出ておりました、私どもは「単願制」という言葉を使っていたのですが、「1人1社制」という言葉もよく使われているようでございます。基本的には、長期安定的に就職活動をやろうという考え方だろうと思いますが、1人1社制による高卒の採用を行っております。 仕事でございますけれども、一部試作とか生産ラインの整備といった仕事に就く者もございますが、基本的には生産現場でライン作業をやる。ご覧の通りの手足を使った立ち作業というのが仕事になってくるわけでございます。 内容はざっとそのようなことでございまして、マッチングの状況を私どもの会社の例でご覧いただきたいと思います。工場配属をした高校新卒者の初年度、翌年の3月31日までの退職率の推移を見ますと、ご覧のようなかたちで、平成2年・3年ぐらいは非常に高くて、そこからすっと下がってきました。私自身の仕事の経験として、平成3年・4年ぐらいにいかに定着を向上させるかという仕事にかなり精力的に取り組んでいたので、本日はその経験を中心にお話をさせていただきたいと思います。 ご覧の通り、見ますと非常に成果が上がっているように見えるわけでございますが、当然ご指摘があろうかと思いますが、マーケットとの関係というのが当然あるわけでして、有効求人倍率を重ねて書いてみますと、マーケットのいいときには退職も多いし、悪いときには退職が少ないということが言えるわけです。あるいは、先ほどご覧いただいた採用の数字と重ねてみてもこのようになっておりまして、たくさん採ると辞める人が多いということが言えると思います。 就職が厳しくなってまいりました、この(平成)6年辺りから急にぽーんといい人が採れるようになりまして、あとはずっと非常に成績の良い人が採れるようになっているというのがあります。そういったことも現実には定着の改善に効いているのではないかと思います。 それだけではレポートになりませんので、われわれのいろいろ努力したところをご覧いただきたいと思います。高卒技能職の初年度の退職理由、先ほど2,500人ぐらい採ってるうちの、数百人が辞めるわけです。辞める時に、われわれスタッフが一人一人面接をしまして、「どうして辞めるんですか。今後、皆さんの後輩のために教えてください」というようなことを聞いた結果をご紹介したいと思います。 バブル期の話ですから10年ぐらい前になりますので、データはほとんど残っておりません。残っていた資料と私の記憶で大雑把に申し上げます。 「仕事がきつい」「仕事が詰まらない」「暑い」「汚れる」「夜勤・残業」といったものがあります。基本的には、仕事そのものに対する不満というのは非常に多いということがございます。「家業を継ぐ」「実家に帰りたい」というのもいるのですが、結局これは最後まで本当のことを言わなかった人がこういうことになってくるのではないかというのが、われわれの実感です。 われわれはかなり問い詰めた結果、今ご覧いただいたような結果が出てきているわけです。最初にまず何を言うかというと、まずほとんどの人は「私はこの仕事に向いていません。だから辞めます」ということをおっしゃいます。「こんな仕事だと思っていませんでした」、あるいは「こんな会社だとか、こんな町だと思いませんでした」というようなことを言われる。もう一つ、「実はほかにやりたい仕事があるんんです」というようなことを言われる。ほかにもいろんなことを言われるのです。「人間関係が悪い」とか「親元に帰りたい」とか・・・。ホームシックというのもけっこうあると思いますが、いろんなことです。 向いていないというのは何なのだということを問い詰めると、「私は体力的についていけません」とか、「私はこんな単純な繰り返し作業には耐えられません」とか言うわけです。最初はまずそういうことを言う。ということは、非常にミスマッチの要因があるということをわれわれは感じたわけです。 ご関心があるかもしれませんので参考までに申し上げますと、「人に言われて決めたから駄目なんじゃないか」というような問題意識も当時あったのでそれも聞いたのですが、それはほとんどは「自分で決めた」と言います。本当にそうなのかどうかは知りませんけれども、基本的には自分で決めたというふうに思っているようです。しかも、これで調べてみてもそんなに影響力がなかったというふうに記憶しています。 では、私たちがどのような定着対策を行ったかというのを次にご説明させていただきたいと思います。まず、現場に「定着を向上するためにはどういうふうにすればいいかということを率直に言ってください」ということで、工場のスタッフなどに頼んでヒアリング調査をやったりしました。一番出てくるのは、「とにかくいい人を配属してくれなければ駄目だよ」と。これは本当にわれわれもそう言われると採用の力不足ということは認めざるを得ないですが、まずは、いい人を配属してくれということでした。 要員面での配慮というのは、最初の導入する間、一人前に働ける慣れてくるまでの間というのは非常にきついわけです。当時は非常に人手不足だったものですから、なかなかそういうところに手厚い人を入れることはできないというようなことがありまして、そういった要員面で少し配慮すべきではないか。しょせん人事や本社が何をやっても無駄だから、「現場に力を貸してくれ」というようなことが非常に多かった。 それらに比べるとあまり多くなかったのですが、注目すべきものとしては、「事前にちゃんと仕事がどういう仕事かを分からせてくれ」ということをかなり言われた記憶がございます。現場の監督者からして見ると、「こんなきつい仕事と思っていませんでしたと言われても困ります」というのがありました。あとは職場改善その他いくつかあったと思いますが、主だったところはこんなところを現場は望んでいました。 「では、現場はどんな人が欲しいと思っているのか」というのがこれです。「やる気・根性」というのは、私が聞いた人では100%です。とにかくこれは全員がそう答えたのが非常に印象に残っています。しかも、9割ぐらいの人が最初に言ったと思います。それから、「性格が明るい」。根暗なやつは駄目だ、というのもあります。この辺はなかなかご要望におこたえできないことが多いのですが、性格が明るいということです。「頑健・体力がある」といったフィジカルな能力の問題もあります。大分減ってきますけれども、「性格が素直である」とか「性格がまじめである」ということも少しある。意外に割とぽつぽつと聞いたのが「地元のやつがいい」というようなことがありました。これは一理あるわけで、私ども全国採用しているわけですけれど、18、19で住み慣れた土地であるかないかというのはけっこう違うのではないかというふうにも思いました。こういうのが、少なくとも高卒の生産現場で望まれているということです。 では、どんな定着対策をやったのかということでございますが、労働条件と作業関係の改善というのは、これは当然でございます。このごろ初任給もものすごく上がっておりますし、さまざま設備投資をやりまして環境の改善をやっております。例えば空調です。今では冷房など当たり前ですけれども、当時は冷房のない工場というのもいっぱいありました。そのほか、いろんなこんなことをやっています。周辺的なロッカールームを造るとか、トイレをきれいにする、食堂のメニューを良くする、寮の部屋を個室にするといったようなことを進めてきたわけでございます。 もう一つの柱がミスマッチ対策でございまして、これは一つは仕事へのソフトランディング、少しイメージしにくいかもしれませんが、私どもの業種の生産工場をご見学されたことがある方はお分かりかもしれませんが、非常に重労働です。1日8時間プラス残業時間の立ち作業、しかも息つく暇もなく仕事をしなくてはいけないということで、これをいきなりやらされるということは、「非常にきつい。私には無理だ」というミスマッチ感を増幅しますので、それをなるべく感じさせないようなことをやっていかなくてはいけないのではないかということで、ソフトランディングということです。 もう一つは、これもなかなか難しかったのですが、いろいろと他社の事例とか考えてみて、女性を入れるというのは非常に効果があるらしい。なかなかこれは聞いても本音を言わないのです。「こんな男ばかりの職場は嫌だから私は辞めるんです」とはなかなか言わないですけれども。(笑い)潜在的にはかなりあるのではないかというようなこともありました。女性技能員を入れるということは、当時は深夜業の制約があって私どもの工場のようなシフト勤務の所では非常に難しかった。いろいろと工夫をし、あるいは産別労組なんかとも協調してそこの規制緩和を働き掛けるといったようなことをやりまして、先ほど言ったように女性をかなり増やしている。 田舎から1人で出てきた人のためには、私生活の面でも、遊びに行くのをフォローしたりということもしていました。 募集採用の時に、きちんと分かって来てもらうということが大事だろう。われわれも非常に反省すべき点がございまして、この時期というのはたくさん採りたいという気持ちが先に走りますので、どうしてもいい話ばかりを聞かせようとする。うそはつかないけれど、言わなくていいことは言わないというふうなところが、全部がそうだとは言いませんが、一部採用の現場ではあったのではないかということがあったので、それは決して最終的には人を増やすことにはならないということで、理解の促進をやろうということです。 それぞれ、具体的には、ソフトランディングで導入教育を延長しよう。平成2年に2週間の導入教育。しかも、これは1週間は本社の集合教育で現場が3日間ぐらいしかなかったのを、平成3年に6週間、平成4年に9週間というふうに二か月ぐらいかけて、ゆっくり仕事に導入するということをやっております。その時に、全社集合教育も思い切って全部やめまして、すぐに職場に渡して各職場で工夫をして納得のいくようないい教育をやってもらおうということをやっています。 特に、要員面でも9週間の教育期間の間は、必ず人をダブらせて配属をするということをやりまして、現場がじゅうぶんに教育のできる体制にしようということです。働く時間・作業量も含めて段階的に増やしていく。夜勤も徐々にやらせるということ、余った時間の中で基本的な要素技能、例えばインパクトレンチの取り扱い方でありますとか、そういったことを習得させる。それから体力作りといったカリキュラムもそれぞれの必要に応じて工夫をするというようなことをやってもらっています。 理解の促進につきましては、学校にご協力をいただくことですが、先ほども申し上げましたように、定着後の人数を確保するために理解活動をやろうという考え方で、先生に「仕事はこんな職場、こんな環境です」ということをじゅうぶんに説明する、しっかり指導してもらうように依頼する。当時はなかなか企業が強いことを言える立場ではなかったのですが、「一応、現場は率直に申し上げて学校の成績よりも元気のいい子を求めています」と。それはよその会社もそうなのでなかなか難しいのですが、そういうことも理解を求める。 われわれとしてできること、先輩の派遣とか会社見学会といったようなことも、学校が「いいよ」と言ってくれないとできませんが、「ぜひやらせてください」ということをやって実態を伝えてきました。 採用のパンフレットなども、ぱっと見ると、現実にはコンマ数%しかいない女性が、まるで半分いるかのようなパンフレットができているわけです。そういうようなものはやめようではないか。「先輩の近況報告」と言って、写真付きで後輩に手紙を出してもらうのですが、これもそれまで「元気で楽しく働いています」というのをやってもらっていたのを、あえて「元気で楽しく」ではなくて、「本当にへばっています」というのを出してもらうということをやってきたわけです。少し古い話で、今はどこかまで適応できているか分からないですが、私どもの経験ではこんなことがあるということです。 今後の課題ということで、私どもの経験から企業の要望をいくつか申し上げますと、一つは職種理解を進めるときに採用活動に対する規制が多くて、就職指導の先生方に大変ご苦労をお掛けしているということがあるのではないかと思っています。例えば学校訪問では、必要な場合に限り、学校の事前了承を得てでなければ企業が学校を訪問できませんとか、あるいは家庭訪問は一切禁止、直接交渉の禁止ということで直接学生とコンタクトすすることは一切まかりならぬとかいう規制があります。 文書募集も3年生の2月以降でなければ、例えばリクルートさんの雑誌に募集を出すというようなこともできないということ。委託募集、例えばわれわれがもうあまりに大変なのでどこか外注で頼もうと思ってもそれもできないという、非常に職種理解を進めにくい、学校の先生に多くを依存するという体制になっているというところがわれわれの問題の一つでございます。 もう一つが、先ほどから言われています1人1社制の問題です。これについてはいろいろと議論があるところだと思いますが、実務サイドからどんなことを考えているか後程申し上げたいと思います。 まず、実務サイドから要望したいのは、学生と企業が直接触する機会を増やしてほしいということであります。もちろん、これは一定のことでありますけれども、相当節度を持ってやらなければいけません。人が足りているときはいいですけれども、足りないときは企業は大体行き過ぎるものです。それにしても、こういったことは強く要望した。 例えばこんなことがございます。今は主に先生を対象にして、学校サイドが「いいよ」と言えば生徒さんを対象にできるんですけれども、基本的には先生方を対象にした説明会しかできていないものを、学生さんや家族の方にもできるようにしていただきたい。あるいは、会社訪問も別に今は絶対にできないというわけではないです。しかし、やりにくいようなかたちになっておりまして、会社訪問や会社見学、そういったおりに先輩といろいろ話をしてもらうというようなことも、われわれはぜひやりたいと思っています。 体験就労は、だんだん実現性も薄くなってくるのですが、ただ学校の先生に現場に来て働いてもらって体験してもらうというのは、実は埼玉県経営者協会が取り組んでおりまして、大変成果を上げているということもございますので、一考に値するのではないかと思っております。 もう一つは、先ほども申しましたが求人から選考の期間があまりにも短すぎて、2カ月ぐらいの間に決めてしまわなければいけないということもあります。これは本当にそれでいいのかどうか。もちろん、学校の勉強との関係というものもございますので、あまり長いのがいいかどうかというのは分からないですが、しかし企業サイドとしてもあまり集中すると大変ということもありまして、これも少し検討の必要があるのではないかと思っております。 単願制について少し申し上げます。メリットはこういうことが挙げられるのではないかと思います。基本的に企業と学校の間で安定的な人材、就職先の確保ができる。就職先というのは、学校の人気にも利いてきますので、比較的学校にある種の会社を念頭に置いた人が入学してきやすいということも特に地方ではあります。そういった意味でもメリットがあるのではないか。 これがマッチングを阻害しているという話がたくさんありますが、基本的には学校の先生に頑張っていただいていますし、適性に応じたマッチングに努めていただいている。やらないのに比べたらやったほうがはるかにマッチングには資しているのではないかというのが、実務サイドとしてはございます。 あとは、当然のことながら効率的にやれるという問題、辞退とか不合格というお互いにとってのリスク回避といった問題。工業高校とか、あるいは大卒でも技術系などはそうですが、どうしても人気のある会社とか大きい会社に集中しやすいものをうまく分散して人材を供給していくのは社会的にも効果があるのではないかと思っています。 次にデメリットのほうですが、極めて選択肢が限定されてきてしまうということは否定できないと思います。特に、求人が足りないときは全く推薦がもらえないような学生さんが出てくるということも話としては聞いております。逆に言いますと、企業にしてみれば求人が足りないときはたくさん選べるわけですから、幅広く学生さんを見て選びたいという企業の都合もございます。 不合格ダメージが大きいというのは、採用試験で8割後半ぐらいの合格率になるようにわれわれ企業サイドは求人を出します。というのは、学校との信頼関係で成り立っているシステムなので、あまりたくさん落とすことはできない。かと言って、ある程度の水準に達していない場合は、落とさないとそれからの推薦の水準にも影響してくる可能性がありますので、多少は落とすようにしています。落とされた人のダメージというのは非常に大きい。特に、今みたいなときは落ちると次は本当になにもないということがあって非常に不合格ダメージが大きいというのがあります。 よく指摘される学校推薦と企業ニーズのミスマッチ。これは確かにございます。それから期間が短いというのは先ほど言った話です。 単願制について、担当者はどう思っているかといいますと、これは業界の経営者団体に頼みまして、加盟53社にアンケートをしてもらって、42人から回答をもらった結果ですから業界バイアスが掛かっていますが、「現状維持」が4分の1ぐらい。半分が「基本的に現状維持で一部自由」。「自由募集」とした人は1割強ということであります。担当者にも、それなりに支持はされている制度であるということも言えると思います。 これは私の個人的な意見ですが、メリットは無視できないし、デメリットとされているものは実際には情報不足によるものが多いのではないかとうふうに個人的な感触ですが持っています。こういったことは依然として問題であるということです。 ということで、ちょうど時間でございますので、以上で終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。 (以下、コメンテーターからのコメントとコメントへの回答) (コメンテーター)ご報告、非常に興味深く拝聴致しました。私は実際のところこういう役が適任かどうか、とにかく企業側に立ったご説明だったわけですが、私は実情をよく存じませんので質問ばかりになるかと思いますが、どうかお許しいただきたいと思います。 まず、私は入社までと入社後に少し分けてご質問申し上げたい部分がかなりございます。さらりと流された部分ですが、求人の出し方の問題というのがあると思います。先ほどのご報告にありましたように、多くの学校に1校につき何人か求人を出す。学校推薦で応募してもらう。更に、筆記と面接によって80%後半の合格率にしていくという入社までのプロセスをご説明いただいたわけです。 私がまずご質問申し上げたいのは、そもそもある学校にどうれだけの求人を出すかという点は何によって規定されているのかということです。各学校への求人数はかなりの差になりますので、私の勝手な想像ではありますが、例えば学校のレベルの問題、学校のレベルの比較的高い所からたくさん採用しようというふうにしておられるのかどうか。 それに関係することですが、求人数を決定付けるものとして、ほかには例えば実際にある学校から採ってきて配属してみて、恐らく人事に評判が入ってくるだろうと思います。「この学校の生徒は非常に素晴らしい」とか、「この学校はいまいちである」とか、「この学校はじゅうぶんに満足のいくレベルの生徒を送ってこなかった」とか、「すぐに辞めてしまった」というのがいろいろ入ってくると思います。そういうのがあった場合に、求人数というのを柔軟に変えていくようなシステムをそもそも採っておられるのかどうかという点をお尋ねしたい。 3点目になりますが、学校の推薦基準、企業の採用のポイントの食い違いという点は非常に大事なご指摘だろうと思います。学校のほうは成績がトップに来る。企業は、現場だったらとにかく根性だ、あとは性格が明るいとか協調性があるという点を重視されている。実は、これでミスマッチが発生しているのではないかというご指摘だったと思います。欠席日数に関しては、双方とも重視されているということだったと思います。 なぜ学校が成績を重視するかというのは、高校側としても、成績というのは非常に客観的である。成績をだしに生徒をコントロールすることは可能だということが背後にあると思います。それが非常に問題である。ミスマッチの発生理由になっているとするならば、これも別紙に書いてあるのですが、なぜわざわざ筆記試験を課すのかというのが、私はやや疑問に思っています。 すなわち、80%後半の合格率にするために筆記と面接を課すわけです。筆記試験が課されてしまうと、どうしても高校側というのは成績というのをある程度考えざるを得ないという面があるのではないか。もしも人物本意であるならば筆記などは要らないです。直接面接をして感触を探ればそれで済む話ではなかろうかと私は思います。ひょっとして、これは非常に間違った考え方かもしれませんが、ひょっとして成績あっての性格ということもあるのではなかろうかと。 いったい、筆記試験で何をやっておられるのか。例えば数学を重視してロジカルな思考で対処しやすい人を選ぼうとか、そういうことが入っているのかどうかとういのを教えていただければと思います。 実際に、求人数を増減させることによって、もしも高校側が自分の望んでいない生徒を送り込んできた場合には、「こんな人ばかりを送るようでは、今後はあまりあなたの所からは採りませんよ」というふうに求人の出し方を調節することが可能なわけです。しかしながら、ショートペーパーでは、人為的な調整には限度があるというふうにおっしゃっているのはどういうことなのか、少しご説明いただきたいと思います。 これは入社までのあれです。入社後については、どういうかたちで定着化を図っていくかということを中心にご説明があったかと思います。特に、ミスマッチ要因に関しては、一つは新入社員教育というのを拡充する。もう一つは、募集や採用の段階での職種理解というのを促進させるという二つがミスマッチ対策として非常に重要だというご指摘だったと思います。 まず1点目の新入社員教育の拡充に関しては、集合教育は早めに切り上げて早期の段階で現場に渡して現場で長い期間段階的な習得というのをやってもらうというご指摘だと思います。これは非常に大事なことだろうと思います。それと同時に、辞めてしまう一つの理由として、ほかにもきついとかいろいろあると思いますが、私が思いますのはものを作ること自体の楽しみといいますかうれしさというのをじゅうぶん認識されていないままにきつい労働に入っていくというのがあるのではなかろうかという気がします。 実際に、普通科の高校などではなかなか大した工作も恐らくやっているわけではないでしょう。私自身の経験はあれですけれども言わせていただくとそういう感じだったものですから。例えば、何か自分でものを作らせてみて楽しみを教える部分も必要ではないかという気がしていますが、その辺りはどのようにお考えかお聞きしたいと思います。 職種理解の促進については、私はよく理解していないところでして、そもそも配属というのはどのようにして決まっているのかというのをまずご質問したいと思います。すなわち、本人は「保全で頑張りたい」とか「機械加工をやりたい」といういろんな希望があるかと思います。恐らく、それは本人の希望通りにはいかないと思います。本人の希望というのはいったいどの程度通るのだろうかというのが、私が知りたい点です。例えば、「機械加工をやりたいのに鋳造に回された、暑いし、つらい」とかとなってしまうせいも実際あるだろうと思っています。 人を振り分ける際に、どういう振り分けをするのか。人気職種と不人気職種があった場合に、例えば成績を使うのか、面接試験の結果を使うのか。いったい何を見て振り分けをしていくのだろうかという点をご質問申し上げたいと思います。 自分が希望していたのと違う所に入ってしまうとどうしても納得できないということで、これだったら嫌だということで辞めてしまう可能性があると思います。その辺のフォローアップといいますか、納得性を高めるための取り組みというのは、意に染まぬ配属に関して納得性を高めるための取り組みというのはどういうかたちで行われているのかをご説明いただきたいと感じています。 質問ばかりで大変恐縮でございますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。以上です。 報告の不備な点をいろいろとご質問をいただきましてありがとうございました。ご指摘いただいた点でございますが、求人の出し方で、学校によって人数を何によって規定をされているのかということです。これは長期にわたる学校との関係というのが一言で言えばお答えになるかと思います。特に、バブル期の人手の足りない時にたくさん出してくれた学校からは、今苦しい時にもたくさん採るとか、こういう非常に極めて封建的な義理人情の世界というのがまだまだございまして、ただそれが、まさに安定的な信頼関係によるものだということでやってきております。 何で学科試験をやるのだというようなご質問もあったかと思います。いわゆる先ほどから現業部門を中心にといいますか、特にライン作業を中心にお話しして参りましたが、中には試作ですとかあるいは内製造機の製作ですとか、そういったものに配属する人間も欲しいわけでして、やはりそういう適性を見るためにはある程度学科試験を課すということはどうしても必要となって参ります。あまりに学力の低い者は不採用にしたいというのもございますので、そういう意味で学科試験は必要ではあろうかというふうに考えております。ただ、たくさん採りたいときは甘くなることは事実です。 学校のレベルがどうかということです。まず申し上げられるのは、工業高校からできるだけいただきたいと思っております。ですから、求人が少ないときには工業高校の比率が上がるということはございます。 現場の評判が採用にフィードバックされるということは、もちろんございます。ただ、先ほど言いましたようにかなり長期的な、われわれの先輩が営々として築いてこられた学校あるいは職安との信頼関係に基づいて採用実務をやっておりますので、それだけでは簡単には調整できるものではない。増減は柔軟にやっているつもりではございますが、あまりドラスティックなこともできにくいというのがその辺の実情でございます。 学校の推薦基準と現場の要望とのミスマッチがあるという話については、それはその通りです。確かに、学校サイドにお伺いをすると、学生さんや保護者の方が一番納得するのは成績であるとか出席日数であるというようなことはあるようです。先ほども申しましたように、現場から「成績など良くなくても、元気のいいやつが欲しい」ということを言われるわけですけど、こればかりはなかなか需給バランスの関係もありますし、元気のいい人はどこの会社も欲しいというのもありますので、なかなか難しいところだろうと思っております。 次は、例えばいろいろと数学を重視してロジカルな思考をする方を重視するというようなことがやられているのではないかというようなことです。現業部門の採用では、そこまでハイレベルなことはやっておりません。 進路教育をやられて現場に渡したということについて、物作りそのものの楽しさ、うれしさというのを認識できないというときに問題があるのではないかというご質問だったとかと思います。これは現場の中には実際にいろんなものを作る、ちょっとした工作みたいなことをやるというカリキュラムも取り入れる現場もございます。実は、われわれのような事務職や技術職なんかにも、教育カリキュラムにそういうものを取り入れていた時期もございます。ただ、職場の性格上、なかなか一つのものを作り上げるような作業にはならないという実態がありますので、必ずしも効果があったかどうかというのは検証できておりません。 むしろ、いわゆる「完結工程」と言うある程度1人の作業者が一つの作業を完結するような、まとまりのあるような単位で仕事を与えるというようなことを模索してやっておりました。ただ、これが果たしてどこまで良かったかどうかというのは検証できておりません。申し訳ありません。 配属の決め方ですけれども、ご指摘がありましたように、基本的に試作とかそういったような特殊な間接部門につきましては、ある程度そういった適性といいますか、能力のある人間を重点的に配属するというようなことをやりたいとは思っております。ただ、バブルの時期というのは率直に申し上げまして、そんな優秀な人はなかなか採れなかったものですから、かなり機械的に配属していたというのが実態でございます。 その機械的というのはどういうことかといいますと、作業工程によってフィジカルな制約がいろいろ掛かって参ります。例えば、ある程度細かいものを扱う工程は目が悪い人はできないとか、あるいは作業スペースの狭い仕事はある程度身長の高い人間はできないとか、逆に天井に吊り下げたものに対して組み付けをやるような所はある程度身長がある人間でなければできないとか、あるいは腰痛のある人間は重いものは扱えないとか、握力の低い人間には回転工具や振動工具は使わせられないとかいったような制約がございまして、まずそういった制約でほとんど決まってきてしまうという部分がございます。かなり機械的に決まります。 実際の配属作業の一切は各工場で最終的に決めるのですけども、基本的には現場の製造部のニーズとそういった条件とを組み合わせて配属をする。どうしてもそこでマッチングしないと、新人以外のところで異動を掛けて調整するとかいうことをやっております。 本人発意をいかにやっているかということです。これは、実は問題意識自体はかなり以前からありまして、少なくとも私が知っている限りでは、もう平成元年ぐらいには本人の希望は聞いてはおります。ただ、そういったような諸般の条件がありますので、なかなか本人の希望通りにはならない。ただ、なるべく重視して配属するようには致しております。 (以下、発表に対する参加者からの質疑と回答) −−−−−辞める理由としてきついとかしんどいという理由が非常に多かったのですが、その一方女性の採用の割合をかなり増やしておられるのです。これは不思議に思ったのですが、きつい・しんどいというのが、体力的というよりもむしろ単調な作業で精神的にきついとかしんどいという人が多いのでしょうか。それとも、配属のときに、できるだけ女性には体力の必要のないような部署に配属するというような配慮をされているのでしょうか。その辺を教えていただきたいです。 きついしんどい作業が多いのに女性を増やしているのは不思議だというふうにおっしゃられて、メンタルな面かフィジカルな面かというようなご質問と思います。これは、多分両面でしんどい仕事ではないかと思います。もちろん、非常に熟練して参りますと、「何も考えず、ただひたすら仕事をこなして、その間、自分の好きなことをいろいろ考えていればいいのだからこんな楽な仕事はないよ」というようなことを言う熟練工もおりますけれども、特にコンベアーが付いている作業なんかは、メンタル的に非常に厳しいと思います。ただ、作業負荷自体も厳しいことは事実です。 女性を増やしていくに当たって、女性を入れるということを前提にして女性のためにいろんな作業重量物の取り扱いを少し軽減したりとか、作業量そのものは男女で差をつけていないのですけれども、若干女性の特性といいますか、もっと申し上げれば男性でも同じでして、例えばさっきも言いましたが、握力の弱い人には振動工具を使わせないとかといったようなことをやっていきますと、どうしても女性には、人によりますがそういう体力的に劣る傾向がある分だけそういう仕事にいかざるを得ないというところがございまして、そういった配慮をしつつやっております。 ただ、基本的にやはり作業のきついものはなるべく自動化とか、あるいは補助工具等を使って改善していくというのは当然のことで、これは男性女性関係ないわけでございますから、そういったことには日常的に取り組んでいるところです。 −−−−−今の質問に関連するのですが、きつい仕事ということで、1990年代の初頭からきつい仕事をターゲットにした生産ライン改革を行われているのですが、そういう改革は若年層の定着に何か効果があるかどうかということをお尋ねしたいと思います。 おっしゃる通り、基本的に長いコンベアーを短くして、間にバッファー在庫を持つ。なるべく短いライン単位で仕事を完結させていって、現場の自立性を高めるというような試みをやっております。 これについては現場の裁量度が上がる関係で、ラインストップしたときの申し訳なさ感が低いとかいったような意味で、非常に好評であることは間違いございません。定着につきましても、一番定着の良好な工場になっております。ただ、それの要因が一番効いているのか、それとも、他の要因が効いているのかという検証は、残念ながら致しておりません。 −−−−−不人気職種と人気職種があるときに、多分私の想像ではこれまでは長期雇用を前提として、今は不人気だけれども少し我慢すればいずれ人気職種に回してあげようというリードが行われていたのではないか。かつてはそれを受けられたけれども、今は短期志向型というか将来のことは分からないから直ちに人気のある所に行きたい。そうなると、不人気職種の賃金を上げることでそういう不満足を解消する必要があると思います。そういう点について、相変わらず長期雇用を前提で考えておられるのかという点が一つです。 私は、今、まさに規制改革委員会で単願制の問題を取り上げていますが、非常に意外だったのは企業担当者がむしろ満足しているということで、私は理解できない。経団連からもいつも強く要望されていて、われわれも「こんな社会主義的なシステムは、まさに教員による学生の管理であって、こういうことは絶対にやめるべきだ」と文部省に言っていたのに、逆に足元をすくわれた感じです。(笑い)むしろ、それがいい悪いではなくて、なぜそういうふうに人事担当者が今ので満足しているのかというのをもう少し補足していただけないでしょう。逆に言うと、市場に対する不信であって、もしそうであるとしたらわれわれの考え方も変えなければいけない。 やや失礼なことを言うと、私はこれは人事担当者のモラルハザードではないだろうか。つまり、現場採用と人事担当者の間でこうしたほうが人事担当者は楽なのは分かり切っているわけです。だけど、そこで本当に必要な人を採うとすれば、現場がもし採用とするとしたらこんなやり方に満足しているだろうか。ですから、企業内のミスマッチの問題がないかどうかということをぜひお聞きしたいと思います。 まず、基本的に配属された職種を長期のキャリアの間で変わるというのは、かなり例外的でございます。ですから、例えばある職場が不人気であるとして、その職場から他の職場に変わるということは、かなり例外的でありまして、基本的には前提にしておりません。ただ、ご指摘が当たっておりますのは、監督者とかあるいはライン作業から、いわゆるライン外でリリーフとかいった作業をするふうに移っていくというところはございまして、そういう意味では、いずれはそういった監督者になれるのだからというインセンティブの働いている可能性はございます。 そういうきつい仕事について、賃金を上げるべきではないかという議論は、非常に古くからある議論でございますけれども、今のところ、そこには踏み切っておりません。 もうちょっと敷衍致しますと、米国では、職種別賃金というのは当たり前になっているのですが、私どもの米国の工場では同一賃金にしております。従いまして、ある職場で欠員が出ますと、セニオリティーシステムで、そこに希望者がセニオリティー順に入れるのです。大体、きつい職場のセニオリティーの高い人は手を挙げて、楽なほうに行ってしまうというようなことは起こっております。 単願制について、人事担当者のモラルハザードであるというご指摘がありましたが、まことにその通りであると思います。単願制という制度は、短大卒の一般職なんかも非常に典型的な単願制でやっているのですけれども、あまり力んで採用する必要のない採用には非常にいい制度だと思います。というのは、非常に効率的で実務的にも楽ですし、そこそこの人がそこそこ採れればいいというのであれば、こんないい制度はないということで、短大の一般職なんかで非常にいい制度だと思いますが、本気でいい人をたくさん採りたいと、あるいは厳選してこういう人が欲しいということになると、今、大卒の文系で行われているような、全くの自由競争ということで、多大なコストをかけてやっているということが合理的になってくるのではなかろうかというふうに思っております。 そういう意味で、経団連なんかが単願制を支持しているのは、かなり大企業の論理だなという感じは致しております。多分、単願制をやめると大企業に人気が殺到する一方で、今何とか計画的にリーダーが供給されている中小企業なんかに供給が途絶えるといったようなことが恐らく起こってくるのではないかなということを、これは山勘ですけれども想像致しております。 −−−−−先ほど辞めていく理由につては教えていただいたのですが、定着していく人の理由というのは、例えば根性があるからとか体力があるからという個人の性格とか性質の問題なのか、それとも職場の環境で相談する人がいるからとか、どちらの要因が強いのかというのを教えてください。 これはちょっと申し訳ないのですが、リポートの中に入っておりませんでしたが、定着対策の一環としてかなりコミュニケーションを重点的にやっております。端的に言えば、例えば部長と一緒に飯を食いながらいろんな話をするとか、あるいはラインの職制にお金を渡して、「喫茶店に行ってお茶でも飲みながら、話でも聞いてやれよ」というようなこともやっております。 残った人に話を聞きますと、これも優等生的な答えですけれども、「職制によくしてもらったから」というようなことを言う人は非常に多いです。また、非常にリーダーシップとか人間性の優れた職制の職場は定着がいいことも事実です。ですから、そういった問題もあるのではないかなということはございます。 そのほかにも将来像が見えないからということで、例えばもうちょっと先輩たちを見せて、「将来的にはこんなキャリアコースになるのだよ」というようなことを見せてあげます。そういった対策もやっておりまして、そういったものが定着に影響しているのではないかというふうに考えております。 −−−−−もし答えていただければお願いしたいのですが、今の生産の現場の中で新規高卒の標準労働者が占める割合というのは、実際どのくらいなのか。あるいはこちらが今後どうなるか。今、もちろん請け負いというかたちでかなり人材さんみたいな人が入っていたり、あるいはアルバイトの登録会社が生産工程の現場にアルバイトを派遣するとか、いろんな形態が進んでいるのですけども、どのくらい新規学卒にこれから頼るつもりがあるのかということを聞きたいと思います。 今新しく調達する人材という意味では、これはちょっと難しいのですけど、臨時的に期間従業員というのを数千人オーダーで持っておりまして、これを入れるかどうかでかなり違ってきますが、今現在のそういった短期的なものを除いて申し上げれば、ほとんど新規採用になっております。中途採用というのは非常に少なくなっています。 というのは、ニーズが少ないということもありまして、新規採用でじゅうぶんいい人は賄えるので、新規採用を採っているというようなことであります。中途採用のほうが、いろいろと初期の育成コストみたいなものが節約できるという面は確かにあるのですけれども、今のところは新規採用を重視してやっております。昔はかなり中途があったのですけれども、今現在はそんな感じです。 請け負いとか「人材さん」という労務用語が出てきているのですけれども、私どもの会社の中にはまだあまり入っておりません。ただ、これは本当に企業によってものすごく違いまして、かなり大きなシャシーメーカーなんかでも2割、3割といった割合で請け負いとか、あるいは人材さんが入っている所もございますので、基本的には、これは日経連の自社型雇用ポートフォリオ路線で増えていく傾向であることは間違いないと思います。ただ、弊社の場合はまだ残念ながら、正規社員の減り方が少ないから増やさないという部分もかなりあるのではないかなと想像しております。 −−−−−離職率を下げるために金銭的なインセンティブを、ほんの少し上げたら離職率が減少するだろうという感触がありますか、お聞きしたいと思います。 先ほど退職者の理由でまず真っ先に言う理由がいろいろあると言ったのですけれども、給料が安いというのも言うわけです。「こんな給料でやっていられるか」というのもあるわけでして、ではお金をたくさん与えれば定着が向上するのかということですけれども、私は直感的にはなかなか難しいのではないかなと感じが致します。ものすごくたくさん与えれば全然違うのだろうと思うのですけれども、限界的なものはそう大したことはないのではないかなというような、全く根拠はないですけれども。ただ、確かにバブルの時期というのはものすごい勢いで賃金も上がりましたし、そのほかの付帯的な労働条件も上がっていますので、それが本当にすごく定着に効いたのかというと、どうもそうではないのではないかなというのが、これも私の山勘です。 −−−−−二つ質問があるのです。一つは、実際に辞める人はその中で成績のいい人なのでしょうか、それとも悪い人なのでしょうか。つまり、もし大量採用した場合に、成績の悪い人から辞めていってくれればそれは企業にとってむしろそんなに悪いことではないので、そういう関係があるとして、特にそのときにいい人が辞めてしまうとちょっとロスがあるかもしれないですけども、それをちょっとお聞きしたい。 もう一つ、先ほど来いろいろ定着性向を高めるために、採用のためにもっといろんな活動をやったりコストをかけるというお話があったわけですが、恐らく採用のためにものすごいコストをかけるのは、定着率を高めるためと、もう一つ、いったん雇ったらなかなか首にできないので良くない人を雇わないようにするという目的もあると思うのです。もし仮に、もっと労働者の解雇とかが自由になれば、理論的にはそんなに企業は採用にコストをかけなくなるのではないかと思うのですが、そういうことはあり得るかどうか。つまり、今、非常に高い採用コストをかけているのは、もちろん定着性向を高めるという意味もあるでしょうが、解雇する、一度雇うとなかなか辞めさせられないということがどのぐらい影響しているのか、それをちょっと伺いと思います。 成績で実際に辞める人はどうかというのはすみません、これはフォロー致しておりません。これはちょっと分からないです。 採用にコストをかけるのは、解雇が簡単にできるようになれば採用にコストはかからないのではないだろうかということでございますが、これもちょっと私にはよく分かりません。かなり、いろいろな要素があると思います。解雇がイージーになることで、多分かえって優秀な人にはたくさん金を払わなくてはいけないとか、そういう採用コストが逆に高くなってくるのではないかなというような直感も私にはございまして、ちょっと何ともお答えできないところです。 −−−−−少し長い期間で見たときに、本当に採用された高卒の能力がトレンドとして低くなっているのか高くなっているのか。恐らく長期的には低くなっているのではないかという気がするのですが、その辺のご感触はどうなのでしょうかということです。 もう一つ、長期的にトレンド、高卒技能職の能力が変わっているならば、それに対応して、高卒に必要とされる能力・技能というものが会社の中で変わっているのか変わっていないのかということを教えていただきたいということです。 40年くらいのレンジで言いますと、明らかに低下しております。やはり40年前に養成工とか、あるいは臨時工から本工になった人なんかもそうですけど、相当優秀な人がいて、例えば今の組合の執行委員長ですとか、グループ労連の会長ですとか、そういった人はみんな現場からたたき上げてきているわけですけれども、例えば労担の重役と比較しても、人材的にも全く遜色がない、むしろ修行の具合が違うよというくらいの素晴らしい人材をはじめとして、非常に優れた人材が揃っていたというふうに思います。そのころと比べると、今入ってくる人のレベルは下がっていると申し上げられるかと思います。 ここ10年くらいのスパンでどうか、アベレージはどうかというのは、ちょっと私には分かりません。 必要とされる能力ですけれども、これは工程によってだいぶ違っております。ですから、もちろん、今いろいろncマシーンみたいなものがたくさん入ってきていますし、ロボットもいっぱい入っていますので、そういったものを取り扱ったりメンテナンスしたりする能力とかいうのは、全く新しいものとして必要になっております。その一方で、ほとんど旧態依然たる職場もありますので、そういう意味では変わっていない所もございます。ですから、そういう意味で将来的に、例えばそういったものが非常に二極分化していって、ある一極のほうは、例えば日本人では賄えなくなるといったようなことが起こる可能性だってあるのではないかと思います。 −−−−−高卒の中で、ライン作業者の話しかされていませんけれど、基本的には企業内学園から来る人、それから入った人で保全に行く人とそうでない人たちというのがいると思うのです。そうしますと、少なくとも保全の所には普通高校の人は、私がお伺いする限りだれも配属されてないわけでして、そうしますと、かなりその辺りで、学科によってある程度絞っていらっしゃる部分があるのではないかと思うのですけど、その辺りどうでしょうか。特に企業内学園の所は、入試の時にかなり数学の比率が高いようなかたちで採っていらっしゃいますし、根性だけではないのではないかという辺りをもうちょっと詳しく教えていただきたいところです。 それからもう一つは、多分退職者の追跡調査というのを、かなり何年も追跡調査されていて、ある程度分析されているのではないかというように思うのですけど、それが分析されているのかいないのかというのをちょっと教えていただければというふうに思います。 ライン作業者以外の、例えば保全とかあるいは試作、あるいは生産技術、内製造機の製作等には、また別の要素を重視していたりするのではないかということについては、誠にその通りでございます。そういう意味では高卒の一年コースですね、技能専修、企業内学園というのは中卒を集めてやっている学校もあるのですけれども、それとは別に専門部という位置付けで、高卒の一年コースを設けて、特にそういった技能者を養成しているといったような取り組みもやっておりまして、それはそれでまたやっていくということであります。 その後の追跡調査をということなのでございますけれども、実はあまりやっていない。ちょっと私ども、怠慢であまりやっておりませんので、具体的に私は承知しておりません。大変申し訳ないのですけれども、怠慢な実態がございます。 (以下、ディスカッションにおける関連部分) −−−−−学校制システムの斡旋についての必要性、ミスマッチを解消するための役割の重要性ということは、非常に強調されている。ただ、一方で発表にもありました通り、職種理解が進みにくい状況にある現実があって、その中でファイルにも書きましたけれども単願制であるとか、就職指導についての評価について、果たして学校が十分な役割を果たしているのかどうか。一見就職指導について効果があるように見えても、それは実は目に見えない労働者のクオリティーのバイアスとかが非常に大きな問題ではないかという意見があったりすると思うのです。 特に、経済学の中では就職市場についてあまり学校の介入、「介入」という言葉をあまり簡単に使ってはいけないのかもしれないしれませんけれども、学校の介入とか行政の介入を除いたほうがいいのではないかという意見が、多分さまざまな意味で対立点になると思うのですが。 なかなかこういう場で何を話していいのかよく分からない部分があるのですけれども、企業の実態ということでいくつかお話しをさせていただきたいと思います。一つは、実態がきちんとご説明できていなかったみたいです。バブル期の人手不足のころは我が社は各高校から「おたくは滑り止めです」と言われるぐらい非常に不人気で、平成5年だったと思いますけれども、採用計画の6〜7割ぐらいしか満足できなかったというくらいの大変惨憺たる状況でございました。その時に来られた子供たちの水準はやはりかなり程度が低かったのです。それが今となっては平成10年以降の子は直接接していないので自信を持って言えないのですけれども、8年、9年辺りは素晴らしく状態は改善されておりまして、そういう意味ではやはり循環的な要因、構造的なのかもしれません。それは分かりません。 とにかく、我が社は大企業であって、業績も良好で、公務員を若干下回る程度の雇用の安定が確保されているだろうということで・・・。(笑い)多分これが高く評価されていたのだろうと思います。ですからそういう意味ではまさに経済学の先生方がおっしゃるところで言えば、単なるキャッシュだけではなくそういったものまで含めて、非常に高い提示賃金を提示することができる企業になったのであろう。幸いにもそういうことだろうと思います。ですから、そういう意味では、循環的な要因は非常に大きくて、この問題に関しては構造的な問題はやや重視され過ぎているのではないかというのが私の感想です。 それから、先ほどの話では恐らく高校卒のほうが主催者のリクエストかと思ったので高校卒でやらせていただきまして、大学卒のほうを少しだけ企業の実感として紹介させていただきます。学生と企業の意識のミスマッチは、私は大学卒のほうが大きいと思っています。 それは、企業が求めているのは基礎的な能力の高さ、「ポテンシャル」と言う言葉を使うのですけれども、基礎的な能力の高さ。例えば、面接のポイントでいうと、きちんと筋道を立てて自分の考えが述べられるか、相手の話をきちんと消化してそれに対して的確な対応ができるかとか、それができれば自分がしっかり専攻して勉強してきた内容とか、あるいは世間の関心を集めた内容についてきちんとできると望ましいといった見方をしています。私は多分かなりの世の中の多くの企業の採用の面接はそうではないかと思っています。 基本的には潜在能力・基礎能力重視ということであって、はっきり言いましていろんな資格をたくさん取って、それをセールスして来られる学生さんがいらっしゃいますけれども、全く興味がないのが実態ではないかと思います。これも我が社のスペシャルかもしれませんが、ただ先ほどの私のレポートの中で業界の53社対象にやったアンケートをご紹介しましたが、同じアンケートでその質問をしていましてそういう傾向が出ておりますので、そういうミスマッチがかなりあるのではないかと感じているところです。 もう一つは、企業は即戦力を求めているというメッセージがいろんな所から出ているのですけれども、それも実際にはほとんど即戦力という言葉が、例えばプロ野球の開幕戦でヒットを打つというような意味の即戦力だったら、それは違うと思います。もっと言うならば、非常に基礎能力が高くて適応力とか柔軟性があって、割と短期間で一人前になって更に成長も望めるような人材を指して即戦力と言っているのであればそうかなと思うのです。 いずれにしても、今かなりの学生さんたちの中に広がっている、すぐにもというニーズもあるのですけれども、ありますし、そういう人も出てこないかなという気持ちもありますが、例えば公認会計士の資格を持っていれば採用されてすぐに役に立って一流にできるようになるのではないだろうかというのはあまり実態に合っていないということが申し上げられると思います。 ですからそういう意味で、今ご指摘のあった構造的要因か循環的要因かという問題で、企業の行動が構造的な変化をしているかと言ったら、私はどちらかというとノーではないか。従来のポテンシャル重視、内部育成重視で基幹人材は長期雇用で企業の特殊的な能力に深くインボルブしていくという方針はあまり変わっていないのではないかと思っております。ただこれは業種・業態によって大幅に違っているだろうと思いますが、もともとそうでなかった金融業界は今でもそうでもないということは、私はその業界人ではありませんのでよく分かりませんがあるかもしれないと想像しております。 −−−−−最近は減ったかと思いますが、大学で1人の人が多くの内定をもらう場合に、最終的には1人になったときに「すみませんけれども、御社を断らせていただきます」と言ったときに、企業側ではリザーバーというのですか、現実的にはどうされているのか。つまり、学生のほうから見ますと、ある人が内定をいくつももらっている可能性があるのです。最終的には1個しか入らないで断りが入ってくると思います。「断りたいんだけれども」と言ったときに、企業のほうではどのような対応をなさるのか、それを聞いてみたいと思います。 基本的には、「そうですか、残念でした」と言うしかないわけです。多くの企業がそうですが、私どもの場合はそれを見込んで少し多めに内定を発行するということをやっています。ですから、読みがはずれると大変困ることになりますが、大体そういうやり方のほうが・・・。少数の企業は2次募集をやるというような、大学でも2次の合格を出すようなことがあると思いますが、そういうことをやっている所もあるようです。そういうケースは珍しいと思います。 −−−−−大学進学率が、たとえが6割とか7割ぐらいになったときに、現場にどのぐらい大卒の人を採用する予定があるのかということを、予定というか可能性を・・・。 既に、実は中途採用というかたちで現業部門に大学卒が入ってきております。それは本人も納得済みです。あとは、これから新卒をどうするかというのは、これからの課題ということになろうかと思います。個人的には、恐らくそういう技術とかそういった部分の現業部門にはいずれ配置することになるのではなかろうかと思っておりますが、一応今後の課題ということになっています。 それについては、日経連としても95年に、できれば自社型雇用ポートフォリオ理論と言えるものかどうか分かりませんけれども、というのを提唱してそういう方向に変わっていくのだということでしょう。 実際には、恐らく80年代にポスト詰まりとか、ああいうことが顕在化して職能資格制度がはびこってきたころに、そういう変化が起こってきたのだろうと思っております。 −−−−−僕は国立大学に長くいたのを辞めて私立大学に行って非常にびっくりしたことは、現在の文系の大学では4年生の教育がほとんど体をなしていない。要するに、就職活動をするので、特に不況だったせいもあると思いますが、授業に出てこない、ゼミにも出てこないということで、思った感想は、大学卒業者の就職の機会について何かルールがあるほうがいいのではないか。全く解禁してしまって自由にしてしまったけれども、規制したほうがいいのではないかというのが一つ感じたことです。 その時に思ったのは、それもそうかもしれないけれども、実は大学のほうに問題がある。大学でやっている授業とかゼミの内容が、少なくとも学生自身にとってはあまり意味がないというか、大事だと思われていないから、そのバランスを取って就職活動をやる。本当は就職活動をやることによってむしろ身が入るというような学問をやっていれば、多分学生も授業を放棄するということはないのかもしれない。 そういうことを考えると、日本の今の大学、特に文系の大学というのは、マクロ的に見ると非常に大きな浪費をしているのではないか。さっきのご報告でも、進学率が上昇するということが前提になった議論になっていたけれども、そこの所から考え直して教育の内容とか、大学は何をなすべきなのかということを考えるということが本当で、規制というのはそういう基礎的な問題を考えないで、ただ制度的な小手先の改革をするだけということなのかもしれないということを思いました。 そういうことを考えると、大学とは何かとか、もっと基礎的なところとの連携を含めた教育改革ということを経済学的にも考え直すべき時期なのではないかと、そういう感想があります。 まず、採用のスケジュール的なルールという点です。多分、過半の企業としてはルールが欲しいということではないかと思います。それは、労働省からも9割ぐらいはそういうスケジュールを求めているというような説明があったわけです。恐らく、それは正しいし、私の実感にも合っております。 高校のほうは、学校推薦制を採っているものですから、それを守るメカニズムがきちんとできているわけです。残念ながら、大学の場合は以前日経連が就職協定をやっている時にも、あれは罰則も何もない紳士協定でありまして、かつ紳士協定を守らない紳士というのが必ずいるということで、それに憤慨した根本前会長が「廃止をしてしまえ」という話になったわけです。残念ながら、廃止をした結果かなり早期化が進んだということがあります。 これは個人的な見解としてお聞きいただきたいのですが、私は就職協定というのは復活させてある程度節度を持つべきではないかと考えております。ただ、協定自身はなかなか抜け駆けを防ぐことも難しいですし、そういう社会的な不正を叩くべきマスコミが一番先に抜け駆けをするのです。(笑い)彼らは協定自体に参加していませんからフライングではないのですが、そういう問題があって難しいところがあろうかと思います。先生方には大変ご迷惑をお掛けして申し訳ございません。(笑い) もう1点、大学の勉強のことですが、ぜひ私もこの場で力説して帰りたいと思いました。企業としては、学生の皆さんに大学在学中に別にダブルスクールで資格を取るとかということに期待をしておりません。お集まりの皆様のような優れた指導者のもとできちんと学問の研鑚をつんでいただきたいと思います。恐らく、それが先ほど申し上げた基礎的な能力を高める一番効率的で、それしかないという方法ではないかと私は思っています。 ぜひ、学生さんがそう思っているほど学校の勉強は、少なくとも本日お集まりの皆様方のような分野の勉強というのは、決して役立たないということはなと私は思っています。それは直接的には役立たないかもしれませんけれども。(笑い)しかし、私たちの求めているのは、理論的に物事が考えられて、それが人に説明できて、あるいは物事のモデルを作って考えて現実と併せて検証してみて、合っていなかったらモデルを修正するとか、そういう思考とか行動のできる人間であります。ですから、そういうことは、お集まりの先生方にもご理解いただいて、いずれ学生さんにもご理解いただけるように、これは企業がちゃんとPRしなくてはいけないだろうと思っておりますし、そういうふうにやっていきます。 |