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リクルートのワークス研究所の機関誌「works」に、「著者からのメッセージ」という書籍紹介のコーナーがあります。その2001年12月〜2002年1月号(通巻49号)で、この「雇用の未来」を、訳者の若山由美女史が紹介しています(77頁)。 私の書評でも、この本の訳題がおかしいということを書いていますが、さすがにこれについては多数の指摘を受けたのでしょう。若山女史は、事実上紹介のほとんど全文を「なぜ『雇用の未来』という訳題にしたのか」の説明につなげることに費やしています(率直に言って異様な感を受けます)。 若山女史いわく、「本書で興味深いのは『ニューディール』に対する企業の対策を紹介するのに留まらずに、現在の状況と酷似している時代や『ニューディール』的な雇用関係がずっと以前から成立している産業や職業についても考察している点であり、雇用の行方を大局的に考えるヒントがちりばめられている。あえて原題を離れ『雇用の未来』を邦題にした理由はそこにある」ということなのだそうです。とにかく、まずは「あえて原題を離れ」たことを認めたことは潔いと評価できるでしょう。 とはいえ、この理屈を適用すれば、たとえばアメリカ経済の歴史と現状を書いた本を邦訳して、それが「経済の行方を大局的に考えるヒントがちりばめられている」という理由で(優れた歴史書、ではなくても普通の歴史書なら、つねに将来を考えるヒントが豊富に含まれている)、その本に対して「経済の未来」という邦題をつけることもできてしまうわけで、およそ筋のとおった説明であるとはいえないでしょう。 若山女史が日本の雇用についてどのような意見や希望をお持ちでもかまわないと思いますが、こと学術書の翻訳にあたっては、訳者が自分の意見や希望に沿う形に訳題を改訂するというのは、やはり翻訳者としての良心を疑わざるを得ないように思われます。まあ、版元の強い意向で、というなら私はかなり免責できると思いますが、代わって版元がその良心を問われなければならないでしょう。いずれにしても、若山女史のエクスキューズが説明になっていないことに変わりはないでしょう。 |