■2001/07/13 (金) 選挙に見る日本の強さ

 先週行われた沖縄県多良間村(たらまそん)。島が2つ、人口1300人という
この村の村長選挙で、兼浜朝徳氏が484票、下地昌明氏483票という、1票差の
激戦が繰り広げられました。兼浜氏は元村収入役で前回立候補して現職に破れ
ており、下地氏は前村議会議長で、先の村議選には立候補せず、村長選の出馬
体制を整えていたという事情で、役場対議会という図式もあって大激戦となり、
投票率も実に99%という高さだったそうです。
 さぞかし村を二分してしこりを残す結果ではなかったかと思いますが、それ
はそれとして、1票差という選挙が済々とできてしまう日本のガバナビリティ
の高さには感動してしまいます。一回目の集計でこの結果となり、もちろん再
集計されましたが、やはり結果に変わりはなかったとか。某超大国の大統領選
挙が開票と集計をめぐってたいへんなドタバタを演じたことを思うと、まこと
にすばらしい話だと思います。
 日本の選挙のすごいところは、何より最初から手集計というところです。そ
れだけの組織的な開票作業ができるというところがまず立派なことです。そし
て、私がさらにすごいと思うのは、アメリカの場合、機械集計用に名前のとこ
ろにマーク(穴あけなど)という方法をとっているのに対し、日本では投票用
紙に名前を書いているということです。それで、今回の多良間村長の無効票は
3票だというから驚きます。有権者の99%が投票し、1%の無効票もないと
いう識字率の高さは、実は世界でも例外的かも知れません。そもそも、選挙人
名簿が戸籍から洩れなく作成できるというところからして、戸籍が不十分なた
めに有権者名簿が作れず、選挙のたびに有権者登録しないと投票できないアメ
リカと比較して勝っています。
 今度の参議院選挙も、結局すべて即日開票で結果が確定できるということで
すから、選挙ひとつ見ても日本の社会秩序というのは実にたいしたものなので
あり、これを維持するための努力を怠るべきではないと思います。

■2001/07/12 (木) 募集年齢上限は幅広く容認の方向

 昨日(7月11日)、今国会で成立した改正雇用対策法で新たに定められた
「募集・採用時の年齢制限廃止の努力義務」に関し、その例外とする事例を定
めた指針案を厚生労働省がまとめたのとの報道がされておりました。
 全部で10項目ありますが、主なものは「新規学卒者」「定年直前で長期雇
用が困難」「就業規則で定めた年齢給のため高賃金となる」「労働災害の予防」
「加齢による体力・視力の低下」などがあります。
 こうして見ると、企業が年齢制限をしたくなる理由のほとんどは網羅された
という感があります。「現状追認との批判が予想される」とのことですが、現
場の実態に配慮した柔軟な規定がなされたことを大いに歓迎したいと思います。
 結局のところ、これまで「年配の人は使いにくい」「上司や同僚の年齢に配
慮して」などといった理由で年齢制限をしていたとすれば、それはダメですよ、
というのが一番大きいということになるのでしょう。こうした理由による年齢
制限が本当にどれだけ行われているのかは判りませんし、私は今時そんなこと
を言う会社も減っているのではないかと思いますが、それでもそういう理不尽
な年齢制限が多いという人もいますので、そうであればこれはこれでそれなり
の効果はあるかも知れません。
 いずれにしても、漠然と「経験者優遇、35歳まで」などという募集を行う
のではなく、具体的な仕事の内容や望むスキルなどを明示するようにしていく
ことが大切なのであり、年齢制限というのはどちらかというと主な問題ではな
いように思います。

■2001/07/11 (水) 松原隆一郎氏の正論

 きのう(7月10日)の読売新聞朝刊の1〜2面に、松原隆一郎教授のイン
タビュー記事が掲載されており、興味深く読んだ。
 その所論は「経済不振の大きな原因は供給サイドではなく個人消費の低迷」
であるとして、それは「雇用や収入への不安」のためであるという。そして、
「長い間、日本の消費を支えていたのは終身雇用制で、これが…一番のセーフ
ティーネットだった。…次の慣行も定着しないうちに雇用をそのまま市場に投
げ出してはいけない」と述べる。結論としては、「アメリカ型とは違う…マイ
ルドに、ある程度、能力給的なものを入れながら雇用を保障するやり方が必要
だ。そうしたセーフティーネットが経済・景気回復の大前提になる」という。
企業で雇用問題の現場に立っている労務屋としては、まことに実感にあった正
論であると思える。
 特に共感を覚えるのは、職務給や仕事給、あるいは業績給一辺倒でなく、能
力給的なものを重視していること、そして、セーフティーネットという言葉を
適切な意味で使っていることだ。
 最近、「労働市場を通じた雇用保障」という妙な議論が行われている。その
説によれば、「職業訓練・能力開発の支援と市場の機能強化」がセーフティー
ネットになるのだという。確かに、労働市場によって労働需給がよりよく調整
されることは好ましいし、職業訓練も大切だろう。しかし、「労働市場で雇用
が保障できる」とか「そのための訓練がセーフティーネット」というのは、暴
論を通り越してデタラメではないかと思う。そもそも、市場では(現在のよう
に)需給バランスが崩れたときに雇用保障できないからセーフティーネットが
必要なのだ。であれば、能力開発などではなく、もっと直接的で実質的な雇用
保障でなければセーフティーネットというに値しないはずだ。市場主義者たち
は需給は賃金で調整されるというかも知れないが、劣悪な労働環境で最賃ギリ
ギリの労働条件でも仕事さえあれば雇用保障だ、というのはいくらなんでも無
理だろう。
 こうした議論に比べると、松原氏の論はきわめて常識的で実務実感にも合っ
ている。松原氏は若手ながら本格的な大型論客であり、こうした正論の持ち主
の活躍を喜びたい。

■2001/07/10 (火) 人それを「自立」と云う

 きのう開催された日経新聞主催の景気討論会で、岩田一政内閣府政策統括官
が討論の中でこんなことを発言していました。いわく、「(サービス分野に5
30万人の潜在的な雇用があり、)個人が自立すれば失業しても再就職は容易
である。一人ひとりが自立して生活することが重要であり、それを支援するの
が構造改革だ」ということです。
 「自立」とか「自己責任」とかいうことばは流行語のように語られます。も
ちろん、それ自体、その本来の意味においては立派なことでしょう。ところが、
岩田氏のいわゆる「自立」というのは、少々特別な意味があるようです。
 「個人が自立すれば再就職は容易」というのは、今現在再就職が困難なのは
失業者が自立していないからということでしょう。具体的に言えば、建設業で
働いていた人や、技術職や専門職として働いていた人が、介護サービスや家事
代行サービスの仕事で働けば、「再就職は容易」であり、「自立している」と
いうことなのでしょう。これまでの年収の半分で働けば、「再就職は容易」で
あり、それが「自立している」ということなのでしょう。
 要するに、「自立して生活する」とは「従来より低水準で生活する」という
ことになります。であれば、「自立」などと欺瞞的な美辞麗句ではなく、「貧
しくても十分生きられる」とはっきり云うべきではないかと思います。
 「自立」ということばには、失政と無策を国民に転嫁することを正当化しよ
うという意図が透けて見えます。こんな人が政策立案の責任者だというのでは
まことに情けない限りです。

■2001/07/09 (月) フランスでトランクス型水着禁止令

 フランスのリヨンやトゥールーズの公営プールで、トランクス型の水着が禁
止されたそうです。さすがフランス、そんな無粋な水着はやめてお洒落なビキ
ニにしなさい、ということかと思ったらこれが大違い。なんでも、下着やショ
ートパンツのまま泳ぐという不衛生な行為が蔓延したため、一見して下着か水
着かの判別できないトランクス型を禁止することで水着着用を徹底しようとい
うことだそうです。
 水着に着替えずに泳ぐというのはまことに不衛生な話ですが、公営のプール
は夏のバカンスに行く余裕のない貧しい階層の溜まり場になっており、水着に
着替えないのも水着を買うおカネがないから、ということのようです。無賃入
場や盗み、あるいは女性への乱暴なども頻発しており、各市としてはこれで彼
らを締め出したいという思惑もあるのでしょう。案の定、彼らはこの規制に抵
抗し、盗難車をプールに投げ込むといった騒ぎも起こっているとか。
 フランスは日本の東京以上にパリへの一極集中が進んでいるといわれていま
すが、それでもリヨンやトゥールーズといえばフランスでは代表的な地方都市
です。日本でいえば仙台とか広島といった感じでしょうか?そんな街でこんな
騒ぎが起きているというのも不思議な感じがします。
 長期不況とは言え、とりあえずまだ公営プールが安心して利用できる日本と
いう国は、まだまだ大したものだと云えないでしょうか。

                 






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