■2001/06/29 (金) 低賃金労働が増える時代

 日本総合研究所が、構造改革による雇用調整の規模を推計したところ、20
05年までに失業150万人、新規雇用123万人で、ネットで27万人の雇
用減になるとのことだ。内訳は不良債権処理53万人、公共投資削減65万人、
輸入増33万人だという。27万人の減少分に対しては政府による包括的な雇
用政策が必要としている。
 このレポートを読んでみて感じたのは、「低賃金労働」ということばが随所
に出てくることだ。要するに、欧米の最近の経験においても、低賃金労働者が
増加したことが雇用増に寄与しており、日本でも雇用増、失業減にはこれが必
要だろうということである。
 現状でも、たとえば経済財政諮問会議のサービス分野の専門調査会の緊急報
告を見ても、雇用が増えるとしている仕事は、明言はしていないものの、 相
当部分はかなりの低賃金労働になることは目に見えている。そういう意味では、
このレポートはそれをあえて明言したということだろう。そのため、経済財政
諮問会議の「骨太の方針」が、不良債権処理にともなう失業者に対してのみ
「住宅ローンや教育費の負担軽減」を打ち出したのに対し、このレポートは、
今後高賃金労働から低賃金労働に移行せざるを得ない人に、全般的に同様の施
策が必要としている。
 結局のところ、バブルの人手不足期に上がり過ぎていた賃金が、その後の不
況期に十分に調整されていない(非正規社員増などで部分的には修正されてい
る)という問題に帰結するのだろう。そういう意味では、バブル崩壊後に日経
連が「賃下げ」「ワークシェアリング」を打ち出したのはなかなか当たってい
たということになりそうだ。

■2001/06/28 (木) エイズの深刻な実態

 国連エイズ特別総会が開催されている。報道によれば、アフリカ諸国の代表
は、「アフリカの全人口が絶滅の危機にある」などと深刻な実態を訴えている
そうだ。国連によれば、昨年末現在でhiv感染者は全世界で3610万人、
うち75%がサハラ砂漠以南のアフリカ諸国で占められているという。わが国
はこの総会で、世界エイズ・保健基金に相当額の資金拠出を表明した。
 エイズの脅威は国際社会でも最大の問題の一つとなっており、ジェノバ・サ
ミットでも最優先のテーマとして取り上げられる見通しであるという。それに
もかかわらず、こうした実態に対しわが国での関心はおよそ高いとは言えない。
アフリカに限らず、東南アジアの実情もかなり深刻であるにもかかわらず、こ
の国連エイズ特別総会に関しては、エイズ患者に対する差別発言を行った森前
総理が出席するのがけしからんという話がもっともマスコミで取り上げられて
いるというていたらくだ。
 エイズに関してはかなり良い薬もできつつあるとはいうが、征圧したとはと
てもいえない状況だし、薬の価格の問題もある。わが国も国際社会の一員とし
て、もっと国民的な意識と関心を持ってもいいのではないかと思う。

■2001/06/27 (水) 住友生命に既婚女性差別の判決

 住友生命の既婚女性社員が、昇進・昇格で未婚女性と差別的に取り扱われた
ことは違法だとする判決が大阪地裁でありました。
 会社の主張は、既婚女性は家事や育児などの事情によって勤務が制約される
ため、未婚女性と比べて仕事の成果が上がらないことから、実力主義人事の中
では評価が低くなり、昇進・昇格が遅れるのは正当なこと、というものでした
が、判決はこれをあまり認めませんでした。
 要するに、既婚女性が未婚女性に比べて、傾向的に成果が低いことは事実で
あるにしても、その傾向を理由に、一律に既婚女性を低く評価するような制度
とすることは公正ではない、ということで、従来からの「統計的事実」を理由
として格差をつけることは不公正、という判断を踏襲したものと言えましょう。
 これから企業が教訓とすべきは、統計的事実による予断をもとに制度設計す
るのではなく、既婚・未婚等を問わず同一の制度・評価尺度のもとに、理由の
如何を問わず成果(なり過程なり)を公正に評価しなければならない、という
ことでしょう。その上で、事実として既婚女性の成果が低いなら評価も低くす
ればいいわけですが、そこまでやってもなお、結果として明らかな格差がつく
ようだと、一律に不利益取り扱いをしていると疑われかねません。それを回避
するためには、既婚女性に対して家事・育児等への配慮や便宜なども行う必要
があるでしょう。
 いずれにしても、きちんとした評価をともなう本当の意味での成果主義、実
力主義の運営がますます求められる時代ということになりそうです。
 

■2001/06/26 (火) 都議選で自民党大勝

 一昨日行われた都議選で、自民党が53議席を獲得して大勝した。小泉首相
の驚異的な支持率が追い風となったということなのだろう。私は調布市(北多
摩三区)に在住しているのだが、今回再選を果たした現職都議も、森政権当時
は該当宣伝なども悲愴な面持ちで訴えていたのだが、小泉首相になってからは、
とたんに首相とのツーショットのポスターを張り出し、「都市再生に首相、都
知事とともに取り組む」とたいへんな勢いだった。都議選なのだから、基本的
には東京都政のあり方や政策が中心になるのが正論というか、筋だと思うが、
まるで国政選挙のようだった。まあ、選挙というものはそういうものなのだろ
うが。
 石原都知事も、この結果には喜んでいたそうだ。考えてみれば、小泉内閣の
行革担当相は石原伸晃氏で、石原都知事の息子である。これは小泉改革路線の
中に東京都知事から人質を取っているようなものだ。となると、今回の都議選
の結果を受けて、いよいよ小泉−石原枢軸による、東京都を核とした都市再生
に向けて改革がスタートするということだろうか。注目されるところだ。

■2001/06/25 (月) 中国人it技術者のお値段

 今日の新聞報道によれば、わが国の人材派遣市場では、国内のシステム開発
需要の増加を受けて、中国人it技術者の派遣が増加しているそうです。業務
関連に限れば十分日本語でのコミュニケーションも成り立つとか。これは漢字
という共通の(元祖は向こうですが)文字を使用していることもあるのでしょ
う。
 気になるお値段の方は、東京近郊では企業が派遣会社に支払う単価で月に6
0万円〜80万円ということですから、派遣労働者の収入は月額50〜60万
円くらいといったところでしょうか。生活費は月に約20万円(住居は派遣会
社や企業が格安に提供することが多いのでしょう)ということですから、なか
なかけっこうな労働条件と言えるでしょう。
 なんでも、米国での需要が激減したため、その分が日本に向かっているとい
うことで、アメリカがなければ日本があるさ、ということでしょうが、「日本
には優秀な外国人をひきつける魅力がない」という良く聞く言説も、程度とし
てはそのくらいのものだということなのでしょう。

                  






バックナンバーにもどる