■2001/08/03 (金) 連合と共産党が接近

 一昨日から今日まで、連合の夏季トップセミナーが開催されています。各政
党の幹部も招かれましたが、報道によれば、今年は共産党も招待され、志位委
員長が出席したとか。党首が出たのは他には民主党だけだったようなので、な
かなか気合の入った対応と言えそうです。
 もともと連合の政治路線は「反自民・非共産」ですが、今回のセミナーには
自民党の山崎幹事長も出席しており、「主要政党は全部」呼んだということで
あれば、まあ矛盾してはいないとも言えるでしょう。
 それより、事実上共産党と一体の全労連との関係はどう考えているのかとい
う方が気になります。連合の大きな建前として、「一国一ナショナルセンター
」というのがあり、全労連については労働界を代表するナショナルセンターと
認めないというのが連合の基本姿勢だったはずだからです(だからこそ、さま
ざまな審議会などの労働代表委員を連合が独占することが正当化されているわ
けです)。もちろん、全労連がこれまた建前で政党支持の自由を掲げているこ
とは事実ですが、機関紙などを見れば現実には共産党一党支持、ひいては事実
上一体であることは明らかです。
 実際、志位委員長は「連合との一致点は多い」と述べているようで、衰えた
とはいえ連合の勢力は魅力でしょう。いっぽうで、先の参議院選挙で、連合の
集票力が想像以上に惨憺たるもの(現に、組織内候補が組織人員の4分の1〜
3分の1しか得票できていない)であることを認識した民主党は、もともと労
働運動に親和性のない議員も多く、連合に距離をおく動きもあるようです。連
合もそもそもさまざまな勢力の寄り合い所帯であることは否めず、互いに距離
感が広がりそうな感じもあります。
 こうした中で、いずれも退潮傾向にある連合と共産党が接近するというのは、
それなりに自然な動きかも知れません。とはいえ、連合の左傾化はわが国労働
運動にとって不毛な抵抗運動への道を歩みはじめることになる危険性も高く、
今後の動きが心配されるところです。

■2001/08/02 (木) 失業者は怠け者か

 伊吹文明元労相が、「失業者は怠け者」と発言したとのことで、一部で批判
を受けているそうです。聞いた話なので不正確かも知れませんが、京都市内で
行われた参議院選挙の演説会で、構造改革に関連して自助努力の重要さを訴え、
「失業者が三百万人いるが、職安には二百万人分の求人がある。それを、きつ
いとか汚いとか給料が安いとかという理由で仕事につかず、失業給付をもらっ
ている。こんな怠け者は国家のガンのようなもので、そんな人を許しているよ
うな余裕はない」というような発言をしたのだとか。
 まあ、現実に失業して職探しに苦心している人からすれば、怠け者呼ばわり
はまことに心外だというのはわからないではありません。しかし、いわゆる3
k職場では、求人が満足されず、慢性的に人手不足になっているのも事実であ
り、職を選り好みしている人が受け取る失業給付の原資の一部は、こうした仕
事についている人が負担していることもまた事実です。こうした現状を「けし
からん」というのは以前からある議論で、一方の正論でもありますから、簡単
に結論は出せないでしょう。「失業者に悲壮感がないのは、いざとなったらそ
ういう仕事ならあるということが一種のセーフティー・ネットになっているか
ら」との説もありますが、確かにそういう面はありそうです。
 根本的な問題点は、3k職場で人手が不足しているなら、それなりに賃金な
りなんなりの労働条件を上げることで、人手を集めるという話になるはずにも
かかわらず、昨今のデフレ経済下で人件費上昇を価格転嫁できないとか、安価
な賃金で日本人を代替する外国人労働者の存在などの構造的な問題によって、
それが実現しないところにあるのだろうとは思います。

■2001/08/01 (水) ntt労組、リストラ計画了承

 ntt労組は、従業員6万人の子会社への出向・転籍などを内容とする「n
ttグループ3ヵ年計画」を了承する方針を決めたそうです。通信市場の変化
や、民営化による独占の解消などにより、固定電話を扱うntt地域会社の経
営はどんどん悪化していますので、労組としてもリストラ案を呑まざるを得な
いとの判断とならざるを得なかったのでしょう。
 この計画では、50歳以上の対象者は子会社に転籍となり、その時点で賃金
は20〜30%カットということになっていますが、これについては、労組は
転籍時に全額補填を求めるとしています。具体的には、nttの退職金や新会
社からの一時金という形を考えているのでしょう。これでも経営としてはかな
りのコストダウン効果だろうと思いますが、経営サイドは「100%の補填は
ありえない」という姿勢ということで、調整給方式で数年かけて本来の水準に
減少させていくなどの提案を行う可能性もあるということです。
 今、余剰人員対策がいろいろ言われていますが、私はこれも非常に有力な方
法であると思います。nttの賃金水準は独占によるレントが配分されてかな
り高い水準にあります。このようなケースでは、とにかく経営危機を乗り切る
ためにかなりの幅で賃金ダウンを行う。そして、ダウンしたら、またそこから
経営状況に応じて少しずつ上げていく。nttに限らず、金融機関のように、
規制による保護で賃金が上がったケースには広く通用する方法ではないかと思
います。
 私は基本的に、賃金はかなりの程度下にリジッドであっていい、あるいはあ
るべきであると思っています(賞与はまったく別です)。しかし、明らかに高
くなりすぎた水準をいっせいに是正し、そこからはまた毎年上がっていくこと
もできるということであれば、モラルへの影響もある程度小さく済むのではな
いでしょうか。
 一定以上の賃金水準の企業なら、自然減に賃金ダウンを組み合わせた方が、
ダイレクトに人を減らすよりよい結果になるのではないかと思います。

■2001/07/31 (火) 参議院選挙で事務ミス連発

 先日、日本の選挙はすごいということを書きましたが、今回の参議院選挙は
トラブル続出で、残念ながらどこまで云えるかわからないみたいです。報道か
ら見繕っても、茨城県新治村で担当者のミスから全国の投票率の確定が大幅に
遅れたのをはじめ、11ヶ所の投票所で約890人に比例区と選挙区の投票用
紙を誤って交付、京都市で不在者投票約1600人分を投票箱に入れ忘れ、鳥
取県日南町、広島県安芸津町でも数十票を同様に入れ忘れ、奈良県平群郡で比
例区の集計ミス、沖縄県南風原町で有権者登録洩れと、全国各地(なぜか西日
本が多い)でミスが連発されました。交付ミスと不在者投票の入れ忘れは公職
選挙法によって無効になってしまうとか。米国の大統領選を笑えません。
 まあ、今回は比例区に「非拘束名簿式」が導入され、開票作業が一段と煩雑
になったと云われる中で、すべて即日開票で翌朝にはおおむね確定してしまう
というのは依然として大したものですし、比例区・選挙区あわせて1億票を超
える中でミスによる無効票が数千票というのも、数万分の1というppmオー
ダーではあります。ただ、過去の例と比べてどうかというのは確認したわけで
はありませんが、どうも今回ミスが目立つような気がするのが気がかりなので
。最近はあまり大きな事件はありませんが、それにしても、このところ日本企
業で従来では考えられなかったような品質トラブルが目立ちます。平均的勤労
者のモラルの低下や、能力の低下すら云われる中、今回の開票ミスなども、そ
れを示しているのではないかと心配されます。

■2001/07/30 (月) 参議院選挙の労組候補は

 きのう投票された参議院選挙は、下馬評どおり自民党の大勝に終わりました。
自民党は63議席を獲得、改選が61議席ですからプラス2議席という結果で、
これで大勝?という感もありますが、前回が44議席、前々回が46議席です
からやっぱり大勝でしょう。それにしても、前々回当選が46議席で改選が
61議席というのは、いかに前々回選挙で「無所属」を称した候補が多かった
か、あるいは末広真季子(笑)などの自民党の個別引き抜きがすさまじかった
かということを現しているのでしょう。増えたのは自民党のほか民主党がプラ
ス4、自由党がプラス3でこれは倍増です。逆に減らしたのは社民党と共産党、
保守党で、どうやら左翼政党の斜陽は加速している感があります。
 労組系議員はどうなったかというと、民主党はプラス4なのでまずまず善戦
という評価でいいと思いますが、比例候補の当選者8人を見ると、トップ当選
の大橋巨泉氏と元二院クラブ会長の佐藤道夫氏を除けば残りは全員労組系(!)
候補という実態で、旧態依然たる選挙をしたとも言えるでしょうし、組織力の
健在ぶりを見せたとも言えるでしょう。ちなみに当選者は藤原正司氏(電力総
連)、朝日俊弘氏(自治労)、若林秀樹氏(電機労連)、伊藤基隆氏(全逓)、
池口修次氏(自動車総連)、神本美恵子女史(日教組)という顔ぶれで、ゼン
セン同盟の推す柳沢光美氏は無念の落選となった模様です。組織勢力・組織拡
大力は強いゼンセン同盟も、集票力では一歩譲ったというところでしょうか。
それにしても、みごとに有力産別が組織力を発揮しており、まだまだ労組の選
挙もあなどれない感はあります。ちなみに自治労は社民党の又市征治氏も当選
させています。反面、共産党の当選者には労組関係者はおらず、それどころか
比例区候補者にもほとんどいないという実情で、まあこの党は中央のコント
ロールで組織で動きますので、そんなものなのかも知れませんが、左翼労働運
動も退潮している感は否めません。
 ちなみに民主党と社民党の比例区の得票は、まだ最終集計は出ていませんが、
おそらく一千万票台の前半になりそうです。この実績は、公称800万組織の
連合としては、いかにも物足りない結果のように思われます。まあ、経団連、
日経連などが推した財界統一候補の近藤剛氏も十数万票の得票にとどまってい
ますので、これは労使ともどもまだまだ努力不足?というところでしょうか。

                 






バックナンバーにもどる