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■2001/08/31 (金) リストラしたのに新規採用増? ダイエーが、来年の新卒採用を3倍に増やすというニュースが入ってきまし た。ダイエーといえば、この3月に1000人の希望退職を実施したばかりであり、 一方で苦労して人を減らし、他方で採用を増やすというのは、いかにも矛盾す る感じがします。 もっとも、採用数は400人ということで、ダイエーの規模におよそ見合った 数字ではありません。これで3倍ということは、昨年は130〜140人くらいだっ たということで、これまでの極端な採用抑制の反動が来ているということでし ょう。とはいえ、希望退職に応じた人から見れば、若干割り切れないのではな いだろうかと思います。 さらに、先日リストラ策を発表したばかりの富士通が、ITソフトエンジニ アを何と5000人!増員するとのニュースも流れてきました。年間500人程度を 工場からSEに配置転換するなど、一部は社内調達するようですが、それでも グループで年1300人の新卒を採用するとのことです。 まあ、もともと富士通のリストラ策は、雇用削減は海外中心、国内は自然減 に契約社員の減員などでほとんど対応できる内容であると云われていましたが、 今回の採用計画を見ると、国内の雇用を減らすつもりは実はほとんどなかった というのが実情なのでしょう。 それにしても、年間500人を工場労働者からシステムエンジニアに職種転換 するというのは、かなりの努力を要するはずです。それをやろうとする日本企 業、さらにはそれに対応してしまう日本の労働力というものの底力を感じさせ られます。 ■2001/08/30 (木) 研修医は労働者 研修医の労働者性を認める注目すべき判決が昨日大阪地裁で出ました。 この事件は、研修医に対して、私大付属病院が、「労働者ではない」という 見解のもと、最低賃金に満たない水準(月額6万円)の「奨学金」しか支払わ なかったことと、労働者であれば加入を義務づけられる私学教職員共済に加入 させなかったことの適否が争われました。 判決はこの研修医について、医師の指揮命令系統下に入っており、実態とし て従属的な関係にあったことや、時間や場所などを拘束されていたことなどを 総合的に判断し、労働者性を認めたものです。判決は最低賃金との差額や、共 済に加入していれば支払われたはずの遺族年金(訴外研修医は研修期間中に死 亡している)など約916万円の支払を命じました。 研修医の「研修」実態が非常に過酷であるという問題は以前から指摘されて きましたが、その改善を困難にしていた理由のひとつが、「研修医は自発的に 研修しているものであり、労働者ではない」という考え方であり、この判決は 研修医制度の運用にもかなりの影響を及ぼすのではないかと思われます。 もちろん、研修医に関しては、自主的な研修という側面もあることは事実で あり、すべてが労働であるというのもバランスを欠くと思いますが、とはいえ、 実態として労働者性があることは常識的に見て明らかであり、今回の判決もそ うした実感に合ったものだろうと思います。 なお、この研修医については、別に過労死訴訟も起こされているようです。 こちらの方は、一日の拘束時間がおおむね朝7時から夜7時の12時間、一応 2ヵ月半で休日も6日あったということですから、ちょっと難しい判断になり そうです。26歳の若さで死因は心筋梗塞だったということですから、おそら く本人にも相当の共働要因があったのでしょう。研修医ですからご両親にとっ てはさぞかし自慢の息子だったでしょうし、情において忍びない感もあります が、過労死までは少々無理があるように思われます。まあ、最近の判決傾向か らは何が出ても不思議ではありませんが。 ■2001/08/29 (水) 日経平均11000割れ 日経平均の今日の終値は10979.76円で、バブル崩壊後最安値を記録、ついに 11000円を割って10000円台に突入しました。 これはおそらく大変な事態なのでしょうが、昨年の暮れ、株価が下落を始め たころには、12000円を割ったら大事だとか、11000円を割ったら金融恐慌だ、 とか言われていたことを思うと、世間の反応はずいぶん冷静なように思えます。 ただ、考えても見れば、企業にとっても、株安が経営や業績に直結するのは 株式を大量に保有している企業に限られるわけで、普通の企業はすでに含み益 経営をそれなりに脱却していることもあり、あまり影響はないというのが本当 のところかも知れません。 しかも、日本の場合は、アメリカと違って、まだまだ家計が直接株式を保有 しているというケースは少ないですから、家計や個人消費への影響もおそらく は限られたものになるでしょう。これがアメリカのような国であれば、この逆 資産効果はきついでしょうが。 結局のところ、株安で直接大いに困るのは、金融機関と生保などの機関投資 家ということで、ということは、市場が求めているいわゆる「構造改革」とは、 要するに金融機関改革整理・淘汰であるということになるのでしょうか。 もっとも、そんなに金融機関がバタバタいったら、日本経済もクラッシュし て、構造改革どころではなくなるでしょう。要するに、市場関係者にとっては、 構造改革も日本経済がどうなろうと、自分さえ売り抜ければそれでいいのだ、 ということなのでしょう。まあ、そもそも市場とはそういうものであって、こ うなってから慌てるのはいかにも市場に対する理解が甘かったということなの ですが。 ■2001/08/28 (火) 電機各社のリストラ計画 半導体不況に苦しむ電機各社は、すでに富士通、ソニー、松下が赤字決算見 込みを受けたリストラ計画を発表しましたが、今度は東芝と日立がやはり決算 の悪化を受けたリストラ計画を発表しました。なんでも、東芝はグループで1 0%、日立はグループで6%の人員削減に踏み切るそうです。 日立は海外生産拠点の統廃合が中心のリストラ計画のようですが、東芝は国 内でも雇用を17000人削減する計画とのことです。さらに、グループ内分 社、新会社設立、強化部門へのシフト等により、グループで約10000人の「流 動化」を行うということです。具体的には、本年度下期に、自然減耗・定年退 職の他、既存の「自主自営支援制度」も「条件を拡大して実施」するとのこと です。 こうしてみると、通常は「配置転換」というところをわざわざ「流動化」と 言ってみせたりするなど、かなりマスコミ受けを狙っている感はありますが、 それはそれとして、このリストラ計画の成否はどうなのでしょう。 まず、自然減耗、定年退職を上げているように、実は今後毎年数千人規模で の定年退職が発生するという事実があります。これを再雇用しないだけでも大 きな減員が可能です。さらに、東芝は重電部門からの段階的な撤退を進めてい ますが、これを「強化部門へのシフト」するということになると、ここで「自 主自営支援制度」を利用する人も出てくるでしょう。こうしたことを考えると、 無理矢理に生首を飛ばさなくても無理のない計画になっているように思われま す。 半導体は需要の波が大きいだけに、需要増局面でいかに増産できるかが企業 の命運を決めます。需要が底の時に気持ちよく人を減らしてしまうと、いざ増 産時になったらもう一度一から市場で人を集めなければなりません。まあ、半 導体生産などはほとんど熟練を必要としない作業も多いでしょうから、それで 全く対応できないということはないでしょうが、とはいっても、増産局面では そんなに人が簡単に集まるわけもなく、大幅な出遅れを余儀なくされることは 間違いないでしょう。 さすがに今回は赤字ということもあって、あまり悠長なことばかり言っても いられないでしょうが、増産に乗り遅れてライバルに利益をすべてさらわれる ようなことになる方がよほど致命的ですし、東芝の経営陣がそれを忘れている はずもないだろうと思います。 ■2001/08/27 (月) 失業率5%時代に 7月末の完全失業率は、公式には明日発表されますが、先週末にはすでに6 月を0.1ポイント上回って、5.0%になったと報道されていました。その 通りであれば、とうとうわが国も失業率5%時代に突入することになります。 過去最悪というのは憂慮すべき事態ではありますが、数字そのものは前月比 で0.1ポイントのわずかな悪化にすぎませんので、5%だから大騒ぎしなけ ればならないというものではないというのが冷静な受け止めなのかも知れませ ん。とはいえ、過去の欧米諸国の実例からは、失業率が5%を突破すると7%、 8%まで上がるのは早いという経験がありますので、気になる数字ではありま す。少なくとも、マインド面での悪影響は避け難いところでしょう。 追加報道によれば、小泉首相は「これからの改革で失業がさらに増えるのは やむを得ない」とコメントしたとのことですが、景気後退で失業が増加基調、 しかも過去最悪という中で、さらに失業を増やすような「改革」を進めていく には相当の困難な舵取りが求められることになるでしょう。 当面、厚生労働省や経済産業省などが、追加的な雇用対策を、時間のかから ないものを中心にとりまとめているようですし、与野党とも雇用対策の必要性 を主張する意見も強まっているようです。その一方で、大幅な失業率上昇もや むなしとして、構造改革の断行を求める意見もあるようです。 世間には、「雇用にこだわるから構造改革が進まない」と主張する評論家や エコノミストが多いわけですが、私の個人的な直感では、むしろ「雇用にこだ わらないから構造改革が進まない」のではないかという気がします。かつての 石炭から石油へのエネルギー転換、ME化、国鉄・電電・専売の民営化など、 大きな改革はすべて「雇用にこだわって」成功してきたことを今一度思い返し てみてもいいはずです。 |