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■2001/09/07 (金) 補正予算も必要だろうが 経団連が常任理事会社約200社を対象としたアンケートの結果、2兆円か ら4兆円程度の補正予算が必要だという意見が最多数を占めたそうです。経団 連の常任理事ですから、まずまず日本を代表する大企業と言っていいものと思 います。 とはいえ、その割合は30%弱ということで、「構造改革を優先し、補正予 算は必要なし」との意見も10数%はあったということですから、財政出動頼 みという気分もだいぶ薄まってはいるのでしょう。もっとも、これは企業の経 営実態や、財政出動で恩恵を受ける企業とそうでない企業という差にもよるの かも知れません。 小泉首相も、雇用対策を中心に、規模は明言しないまでも補正予算を組む意 向であると云われており、問題は「国債発行30兆円」を超えるか超えないか、 というところに収束しつつあるようです(さすがに30兆円規模の補正予算と いうのはナンセンスでしょう)。 現下の情勢を考えれば、補正予算、特に雇用対策の必要性は確かだろうと思 いますが、それにしても思い出されるのは、小泉首相が明言していた「財政出 動をともなう補正予算は編成しない」という「公約」(?)です。私の記憶で は、彼が明確に「公約」したのは、これと「8月15日に靖国神社に参拝する」 の二つだったはずで、靖国参拝に続いて、この公約?も反故では「有言実行」 はどうした、という感はあります。 まあ、靖国はともかく、補正に関してはその時と現在とでは事情が変わった のだから、ということは言えるのかも知れません。とはいえ、経団連も、「小 泉改革を断固支持する」といっていた割には補正を求める声が多いというのも 若干なんだかなあという感じがします。これも事情が変わったからだといえば その通りかも知れませんが。 ■2001/09/06 (木) 国益のための改革を 久々?に今日の日経ネタです。 今朝の日経の1面特集記事では、「遅い改革世界が不安視」との見出しで、 例によって日本の改革のスピードが遅いと苦言を呈しています。記事の最初は 「米景気回復の時期は来年春から夏にずれこみそうだ。日本経済の状況を非常 に心配している」というFRB幹部の発言を紹介し、最後にも「(NY連銀総 裁は)処理のスピードには疑問を持っている」との「連銀に近いエコノミスト」 の発言を掲載しています。グリーンスパンやマクドナーが云ったならともかく、 「幹部」や「近いエコノミスト」というどことなくあやしげな代物を「印篭」 のように持ち出すのもどうかとは思いますが、何より驚くのは、こうした発言 が本当に「日本のため」「世界経済のため」の「誠実で親切な忠告」だと信じ て疑っていないらしい(少なくとも、読者にそのような印象を与えようとして いる)ことです。 現実には、グリーンスパンやマクドナーは米国に奉仕するのが使命なのです から、彼らが米国の国益を第一にするのは当然です。「幹部」やら「近いエコ ノミスト」やらは、「自分個人の利益」を第一に考えているかも知れません。 日本の国益など、それがよほど米国の国益に一致しない限りは二の次三の次だ ということは、常識的に明らかなことでしょう。 確かに、日本の改革はこれまでもグラジュアリズムで進められることが多く、 早くメリットを得たい人たちにとっては不満かも知れません。しかし、日本の 国益のためには漸進的改革がかなうという考え方であれば、何も他国の利益の ために日本の国益を捨ててまで急進的改革を行う必要はないでしょう。 日本のマスコミには、日本より中国や韓国の国益を優先する変なのがいるだ けではなく、米国の国益やそれにぶら下がっている市場関係者の利益を優先す る狂ったのもいるということで、まことに情けない話です。 3面では、日経主催の「世界経営者会議」の特集も組まれています。主催イ ベントの特集を大々的に組むのはどの新聞もやることですが、編集委員の解説 で出演した経営者をヨイショするのはどんなもんなんでしょうか(しかも、出 井氏のソニーはかなり経営悪化してますし)。略歴紹介が多少ヨイショなのは いいにしても、日本では目新しいにしても基本的には米国のコピーであるソニ ーの手法を「ざん新」とまで言い切ってしまうのも笑えます。これには出井氏 も苦笑しているのでは。 ■2001/09/05 (水) 一喜一憂するかしないか 柳沢伯夫金融担当相が、わが国の金融政策(というか、金融機関政策ですな) を説明するために欧米を行脚しているわけですが、昨日柳沢氏が会見したイギ リスの金融当局首脳からは、「不良債権処理が景気や経済に与える影響に留意 すべき」という注文が相次いだそうです。なかなか優れたバランス感覚という べきでしょう。 きのうの東京は6日ぶりに上げましたが、市場関係者は相も変わらず「早期 の不良債権処理」を求め、「政策にスピード感が足りない」と不平を洩らして いるわけですが、イギリス金融当局は「投機筋のいいなりになって不良債権処 理を急ぎ過ぎると日本経済は大変なことになる」と述べたそうで、考えても見 れば市場関係者は自らの利益が最優先にならざるを得ないわけで、長期的な視 野やバランスを求める方が無理に決まっています。 考えてみれば、痛みをともなう改革をやるといっているのに、市場関係者だ けは傷みと無縁であるべきだというのにはどういう根拠があるのでしょうか。 自らの領分だけは聖域として、他には改革を求めるというのではマスコミの手 前勝手な理屈となんら変わりはないではありませんか。 市場関係者によれば、まだこれから「損を覚悟で投げ売りする投資家が出て くる」から「さらに株価は下がる方向」という見方が大勢なのだそうです。そ の一方で、税制やら何やらをいじってさらに個人の資金を株式市場に誘導しよ うというのは、素人を誘導して大損させ、「投げ売り」させて、市場関係者た ちが濡れ手に粟の儲けを取ろうということなのでしょうか。 経済が成長している時ならともかく、今のようなゼロ成長、マイナス成長の 中では誰かがゲインしようとすれば誰かがルーズせざるを得ません。株価に一 喜一憂するのは自分が株をたくさん持っている人と、その人と同じ利害に立つ 人だけでいいわけで、その他の人たち、ましてや経営者や政治家などのリーダ ーが一緒になって一喜一憂するのは意味がないばかりか、かえって害があると 考えるべきでしょう。 ■2001/09/04 (火) 持ち家という不幸 マイホームは庶民の夢、みたいなことが云われだしたのはいつごろのことな のだろう。東京の過密化が進みはじめ、住宅難が深刻になりはじめたころだろ うか。高島平の団地が何百倍とかいう抽選になり、文化住宅がどんどん建てら れた時代、確かに東京の庶民は六畳一間に家族4人が住み、劣悪な住環境を呪 っていた。 そして、土地神話。家屋はともかく土地は絶対に値上がりする安全確実な資 産であるとみなされ、勤労者財形として持ち家が奨励された。 今は昔。今となっては、土地神話は終焉し、バブル期にマイホームを取得し た世帯はのきなみ家計に巨額の含み損を抱え、低利の時代にあっても担保価値 の下落で借り替えもままならず、もちろん売却など思いもよらない。思い返し てみれば、プラザ合意後の円高不況のときにも、希望退職は続出したが、当時 は割増退職金で住宅ローンを完済してしまえば、賃金が4割減でもそれなりに やっていける時代だった。今は、割増退職金でのローン清算などとてもかなわ ず、であれば4割減の賃金ではやっていけるわけもない。 これからの職業生活を考えても、今後の高齢化社会を考えても、転居の容易 さは社会的要請だが、今の日本の家具をみんな持ち運んで引っ越すというスタ イルでは転居コストが大きすぎてとても話にならない。 要するに、狭い国土の狭い都市部に多くの人口が居住するわが国で、根を生 やす持ち家がいかに不合理なものになっているかということだ。せっかく借地 借家法が見直され、定期借地、定期借家が可能になった今、借家が当然、家具 付住宅当たり前の世界を作ることにもっと努力すべきではないのか。 少なくとも、勤労者財形として持ち家をすすめることはすぐにもやめるべき だろう。 ■2001/09/03 (月) 安全衛生に金をかけさせるには 新宿・歌舞伎町で44人の死者が出る雑居ビル火災が起こり、出火原因や防 火体制の問題などについていろいろと報道されています。従業員については当 然すべて労働災害になるわけで、労働安全という意味でもその管理のづさんさ が問題になるでしょう。 安全衛生というのは、とかくカネがかかるものです。建設業や製造業のよう に、職場に明らかな危険があり、事故が起こった場合には重大なものになる危 険性の高い職場であれば、それなりにコストもかけて安全対策が行われますが、 事務所や、サービス業などのように、危険性も高くなく、さらに重大な災害の 可能性がかなり低い職場では、どうしても切実感がなく、安全対策もおざなり なものになりがちです。特に火災などという非常に例外的なケースに関しては、 なかなか行き届いた配慮を行えというほうが無理というのが実態でしょう。 最近、電通事件などの影響もあってか、職場のメンタルヘルスへの関心はか なり高まっているように感じます。結局のところ、儲けには関係なく、しかも 即座に不都合の生じない安全衛生などにコストをかけるようにさせるためには、 万一事故が起きたら大変なことになる、という「見せしめ」が必要だというの が実情でしょう。そういう意味では、今回の事故についても、管理の問題点を 徹底的に洗い出し、事業主の責任を刑事・民事の両面から徹底的に追求するこ とが望まれるところだと思います。 |