■2001/10/12 (金) 自治労幹部の腐敗ぶり

 人事・労務の実務家の身近で素朴な実感として、社会経済生産性本部の実務
セミナーや研修は高い、というのがあります(モノにもよりますが)。労働協
会のような公的助成があるものは別としても、日経連や総合労働研究所のよう
な専門業者のものに比べても2倍くらい高いという感覚があります。これは要
するに、日経連などが主に企業相手の商売なのに対し、社会経済生産性本部の
お得意さんはもっぱら労組であるという違いでしょう。労組というのは実際お
カネ持ちで、共済事業などでかなり巨額の資金を動かしていますし、他にも自
由に使えるカネとか遊ばせているカネ(闘争資金とか)という目でみたら、ひ
ょっとしたら日本一かも知れません。
 その一方で、そのおカネの管理や使い方のチェックは大甘というのが実態で
はないでしょうか。ほとんどの組織では、相当の金額のカネを事務局長や書記
長が一手に握っていて、一部の大労組を除けば監査なども有名無実化している
ものと推測されます。
 今回、自治労の幹部による横領が明るみに出て、労働界では大きな問題にな
っていますが、これも根本的にはこうした体制の甘さ、いいかげんさが原因で
はないかと思います。ことおカネに関しては、人間だれしも、最初のうちは緊
張しても、だんだんと慣れてきて、多額の支出にも感覚が麻痺しがちです。組
合費は本来組合員のものであるはずが、いつのまにか執行部のもの、ひいては
自分のものという感覚になってしまうのでしょう。
 労組はこれまで、「労働者は貧しく潔白である」という思い込みの上に、経
営者や政治家の不正や腐敗を糾弾してきたわけですが、思わずその前提が崩れ
てしまう事態に立ち至ったことになります。あるいは、「貧しく」なくなった、
あるいは貧しさを忘れた幹部たちが、「潔白」さも失ったということなのかも
知れません。
 それにしても、今回の不祥事には、あろうことか「右翼」やら「ヤクザ」や
らも関わっているといいます。もはや労働運動の理念は完全に失われていたと
いうことで、事態はまことに深刻です。組織率の低下が続く中、本当に労働運
動は立ち直れるのでしょうか。とても楽観できる状態ではないように思います。

■2001/10/11 (木) 年次有給休暇取得で雇用は増えるか

 わが国の年次有給休暇の取得率が低いことはよく知られています。しかも、
このところの経済の低迷、雇用情勢の悪化もあって、取得率は低下傾向にあり、
95年には55.2%だったものが、54.1、53.8%、51.8%と低
下し、99年には50.5%とほぼ半分にまでなってしまいました。ただし、
これには付与日数増と取得日数減の両方が寄与しており、付与日数は95年1
7.2日が99年には17.8日と0.6日増加しているにもかかわらず、取
得日数は95年の9.5日から99年の9.0日に減少してるため、取得率が
大きく低下しているわけです。
 こうした現実もあり、雇用情勢が厳しい中で、年次有給休暇を欧米並の取得
率(≒100%)にすることで、雇用が増加できるのではないかという主張が
根強くあります。100万人以上の雇用増につながるという試算もあるそうで
すから、本当にそうならば非常に効果的な取り組みになりそうです。
 しかし、そうはうまく行かないというのが常識的な判断でしょう。まず、企
業が付与日数を増やしているのは、当然のことながらそれに見合う生産性向上
があり、コストアップを吸収できると判断しているからに決まっています。と
いうことは、付与日数増分は雇用増にはほぼ効かないと考えるべきでしょう。
 それでは、取得日数を増やせば雇用は増えるのか。付与と取得の差は99年
で8.8日です。1日8時間として70.4時間相当ということになります。
これを年間の稼働日数(365日から土曜・日曜・祝日と年次有給休暇日数を
引くと、約
228日というところか)で割り算すると、日当たり20分弱になります。こ
れを長いと見るか短いと見るかは意見が分かれるでしょうが、特にホワイトカ
ラー職種では変動や誤差の範囲内ではないでしょうか。あまり雇用増が望める
数字ではないと思います。
 もう一つ注意が必要なのは、年次有給休暇は有給なので、仮に雇用が増えれ
ばそれは企業にとってダイレクトにコストアップになるということです。だか
ら雇用が増えないということにはすぐにはならないにしても、このコストアッ
プはいずれは賃金水準などで調整されるということになるでしょう。
 結論としては、年次有給休暇の取得は雇用増につながりにくいというのが実
務的な実感ということになりそうです。逆に言えば、心がけ次第で完全取得も
可能ということになると思います。

■2001/10/10 (水) 読売と朝日

 「読売vs朝日」という本が中公新書ラクレから出ています。内容は、最近
(90年代以降)のものを中心に、戦後の節目節目での読売と朝日の社説を対
比して並べ、それに小説家の井沢元彦氏が簡単なコメントを付しただけのもの
ですが、これが思いのほかに面白く、一気に読んでしまいました。「読売新聞
論説委員会編」となっているうえ、井沢氏は朝日を批判する本を出しているく
らいの人物ですから、これは朝日にはまことに不公平かつしんどい企画ではあ
りますが、それにしても両紙のスタンスや考え方の違いが鮮明になっていて興
味深いものがあります。井沢氏はこの本で自分について「レフェリー(?)」
と称していますが、この「(?)」というところが自覚があって愉快です。た
だ、井沢氏も云うとおり、朝日に不満があれば自分でも同じことをやり返せば
いいわけで、この本とおなじ社説に対して井沢氏以外の親朝日知識人にレフェ
リーをやってもらうという手もあります。それはそれで読んでみたい気もしま
す。読む前から内容はわかっているような気もしますが(笑)。
 さて、本日の朝刊を見ると、1面の大見出しはどちらも英米によるアフガニ
スタンの空爆ですが、読売が「米、空爆さらに3−5日」に対して、朝日は
「NGO施設誤爆か」。読売の記事は空爆全般を取り扱いながら、NGO施設
の破壊にもバランス良く触れているのに対し、朝日はひたすらNGO施設が誤
爆されたことを報道しています。まあ、どちらも報道機関の姿勢としてはあり
うるでしょうが、率直に申し上げて私は読売の姿勢にはるかに共感します。

■2001/10/09 (火) ハイエナの自画自賛

 以前、東京都が都銀への外形標準課税を決めたことについて、共産党が「わ
が党が主張したことが実現した」と宣伝して、石原東京都知事に「ハイエナの
ようだ」と痛烈に批判されたことがあります。共産党の政策への影響力は、例
外的なケースをのぞけばないわけですが、その一方で、共産党が自分たちの主
張に近い政策が実現すると、それをあたかも自分たちの主張の成果であるかの
ごとく宣伝するのは日常茶飯事でもあります。そんなことは誰でも知っている
わけですが、それにしても石原都知事は我慢ならなかったのでしょう。「公党
をハイエナとは何事だ」という反発に対しても、「公党だからあえて文学的な
表現で申し上げた」と譲りません。
 こんなことをなぜ今さら思い出したかというと、今朝の日経新聞の「新聞週
間特集」を読んでいて、「自分たちの主張に近い政策が実現すると、それをあ
たかも自分たちの主張の成果であるかのごとく宣伝する」という点においては
「赤旗」と変わりのない記述をいくつか見かけ、思わず吹き出してしまったか
らです。
 たとえば、キャンペーン連載記事で「『改革の具体策と工程表を示せ』と提
言。経済財政諮問会議が九月に改革手順を示す『工程表』と優先して取り組む
『改革先行プログラム』をまとめる羅針盤役を務めた」と自画自賛しています
が、「工程表」を作ることを提案したのは経済財政諮問会議の奥田碩氏である
ことは日経自身も報道しており、それに乗っただけの記事を書いたことが「羅
針盤役を務めた」というのでは、共産党も真っ青のハイエナぶりです。羅針盤
が怒るぞ(笑)。
 「教育を問う」という特集に関しても、「文部科学省は…方針を打ち出した
…ひょう変した」(細部略)のが「記事の反響」と自画自賛していますが、文
部官僚にしてみれば日経の記事の「反響」で政策を打ち出したとは思っていな
いでしょう。共産党の場合と同じことで、官僚はマトモに相手にはしないでし
ょうが、内心さぞかし日経をあざ笑っていることでしょう。
 もちろん、新聞をはじめとするマスコミの影響力はきわめて大きく、その役
割に私も大いに期待しているところではあります。であればこそ、こんな自己
満足の思い込みでうっとりしていないで、本来の役割である報道に精進しても
らいたいものです。

■2001/10/08 (月) 体育の日

 10月8日は「体育の日」のため、「吐息の日々」はお休みをいただきます。
 今年から、「ハッピーマンデー」ということで、3連休になりました。しか
し、この休みは運動会をセットする学校が多く(なにしろ「体育の日」ですか
ら)、はたして3連休化のねらいが十分生かされていたのか?評価を待ちたい
と思います。

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