あけましておめでとうございます。今年も「吐息の日々」と「労務屋」をよ
ろしくお願い申し上げます。

■2002/01/11 (金) もっと労組の活動を伝えてほしい

 「中央公論」の最新号(2月号)に、連合の笹森清会長のインタビュー記事
が掲載されています。その中で笹森氏は、「この失業が大変な時期に、いった
い労組は何をやっているのかと言われている」という聞き手の問いに対して、
いきなり「率直に云ってマスコミのリードが悪い」と嘆きました。最初の答が
これというのは、一見連合会長にしてはいささか情けない感じもしますが、し
かし、これは案外重大な問題です。
 笹森氏は「電機の経営者が次々と嬉しそうにリストラ会見をしたときに、労
組が何をしているのかはどのマスコミにも出なかった。だから労組は何やって
いるんだと言われるが、現実にはちゃんと経営側と交渉している」「総評時代
の抵抗型運動ではなく、政労使の話し合いで政労を動かすのが今のやり方だが、
これは(報道されないと)連合の姿が見えにくい」と云います。実際、電機の
リストラの新聞報道を見ても、朝日や毎日は、赤旗を立ててストライキを打た
なければ労働運動ではないと思っているので、労組の活動は報道されません。
産経や読売はもともと労組にシンパシーがないので、ハナから記事になりにく
い。日経は首切り失業大好きなので経営者と一緒になって(経営者が嬉しそう
なのは本当は顔だけで、だいたい業績不振の会見が嬉しいわけがない)イケイ
ケで嬉しそうに報道する。労組の雇用維持努力は当然黙殺です。テレビとなる
と、赤旗やデモがないと画面にならないから余計ニュースにしにくい。笹森氏
の嘆きはまことにもっともと言えるでしょう。
 もっともではありますが、マスコミにすべて報道せよと強制するわけにもい
かないわけですから、結局は連合として広報活動をしっかりやるしかないとい
うことになるのでしょう。新聞やテレビはあてにならない、広告はカネがかか
るということになると、それ以外で大衆の目にふれる、たとえば週刊誌のよう
なメディアを活用することが考えられそうです。いずれにしても、記事にした
くなるような「面白い」中身がなければダメなわけですが、新聞のような短い
記事や、テレビの画像では伝えられないような「面白い」中身はあるのではな
いかと思います。
 それにしても、労働問題の報道で労組の活動にまったく触れないのはいかに
もバランスが悪くないでしょうか。労組の自助努力も大切ですが、マスコミに
も善処を求めたいものです。

■2002/01/10 (木) 障害者雇用施策強化へ

 春闘の記事に隠れて目立ちませんが、今日の朝刊各紙に、小さいけれど大事
な記事が掲載されました。労働政策審議会の障害者雇用に関する意見書のニュ
ースです。
 障害者の雇用情勢は、健常者以上に悪化しているのが実態です。民間企業の
障害者雇用率も法定の1.8%を大きく下回る1.5%前後で推移しています
し、未達成企業の比率は5割を上回って、過去最悪の水準にあります。こうし
た中で、厚生労働省の「障害者雇用問題研究会」は昨年11月に報告書をまと
め、特定子会社制度や除外率制度の改善を求めていました。その内容が労働政
策審議会で審議され、今回の意見書となったものです。
 具体的には、第一に、従来「障害者雇用に特別の配慮をした」特定子会社の
み障害者雇用率計算の際に親会社と通算できるとされていましたが、昨今の企
業組織再編流行りもあって、「企業グループで雇用率を通算できる」という制
度に改める、ということです。企業は広くグループ各社の中から障害者を配置
できる仕事を選定できるということになりますから、これは障害者雇用の促進
に寄与するでしょう。
 除外率については、障害者を雇用しやすい産業としにくい産業というのは当
然あるわけで、雇用しにくい産業にはある程度のハンデを与えて配慮しようと
いうもので、36業種について設定されていますが、従来は鉄道業で50%、
建設業では40%などの高率の除外率が設定されているケースも見られます。
しかし、これら業種でも、作業環境の改善などにより障害者の雇用機会は増え
ていると考えられることから、当面は10ポイント、さらに段階的に引き下げ
て将来的には廃止することを求めています。企業により障害者雇用のための努
力を促す内容と言えるでしょう。
 もちろん、障害者雇用の促進には社会的な取り組みが必要であり、当事者で
ある企業の役割は大きいものがあります。障害者雇用の現状を見れば、今回の
意見書の内容も妥当なものと言えるでしょう。障害者雇用に関してはトライア
ル雇用制度もでき、企業が雇用しやすくなるような施策も一方で講じられてい
ます。確かに深刻な不況でもあり、また、国際競争力という問題も企業にはあ
るわけですが、そういう中であっても最低限の社会的責任を果たせるような企
業でなければ、将来的に発展していくことはしょせん望めないのではないかと
思うのですが、どうでしょうか。

■2002/01/09 (水) 実は雇用重視の富士通のリストラ

 電機連合が長期の一時帰休を検討しているという話が流れていましたが、今
朝の日経新聞では富士通が半導体工場の五千人を対象に導入に踏み切るとの報
道がありました。岩手・会津若松・三重といった具体的な工場名もあがってお
り、近く労組に提案とのことですから、相当具体化しているのでしょう。
 同社幹部は「緊急避難的ではなく、長く運用できる制度にする」との方針を
示しているとのことですが、まあ人事制度を次々と改訂してきた同社のこと、
どれほど長く続く制度になるかはわかりません。実際、内容的には隔日12時
間勤務から隔日8時間勤務への切替と賃金カットと、数ヶ月〜1年間の長期休
業とが柱になるという大胆なものです。さらに、長期休業については、現行の
一時帰休の水準は大きく下回るものの、一定の手当は支払うとのことですから、
けっこうなコストをかける施策でもあるわけです。
 富士通といえば、秋草社長が先般のリストラ計画発表の際に「業績が悪いの
は従業員が働かないせい」「業績の悪い部門長を交替させるのが成果主義」な
どと発言して物議を醸しましたが、現実の経営はやはり依然として相当程度雇
用重視であることは間違いないようです。社長発言は多分に社内の引き締めと
投資家向けのリップサービスという面が強いのでしょう。
 さらに富士通の子会社である富士通ゼネラルでは、操業が低下している工場
の近くに介護サービスの新会社を立ち上げ、雇用の受け皿としてまでいるので
す。直感的にはいかにも無理な感じかも知れませんが、もともと富士通では介
護保険制度の新設にあわせて、事務処理の電算システムを開発、販売している
ので、介護ビジネスとの親和性はありますし、工場の従業員には主婦も多いこ
とから、その受け皿として十分現実的であり、すでにビジネスは軌道に乗りつ
つあるということです。
 雇用を重視し、人的資源を活用して成長分野に進出するという、いわゆる日
本的事業構造転換のスタイルはまだまだ生きていると言えそうです。

■2002/01/08 (火) ユニクロを少し見直した

 我が家では、柳井社長の「泳げない人は沈めばいい」発言以来、ユニクロを
ボイコットしているのですが、さすがに最近になって、ユニクロの成長が一服
しているせいか、あるいは対中セーフガード問題が収束しつつあるからか、柳
井氏の強硬発言も鳴りをひそめているようです。
 さてそのユニクロ、新たに生鮮青果の販売に進出すると発表して世間を驚か
せました。今期の決算は減収減益になりそうとのことで、新たな成長戦略とい
うことになるのでしょうが、類似形態の二番手(大差ですが)のしまむらが一
層の低価格路線で増益を確保しているのとは対照的です。
 しかし、私はこのユニクロの新規事業路線、なかなか面白いのではないかと
思います。柳井氏は店舗拡大は限界ではないかとの問いに対しては「現有の五
百数十店を一千店までは拡大できる」と答えているようですが、裏返せばそれ
が限界ということでしょう。そういう認識でさらに成長を求めるならば、新規
分野に展開するしかありません。生鮮青果というのに意外感があるわけですが、
確かにまだ進出余地があるニッチであり、ユニクロの店舗運営のノウハウが活
かせる分野でもあるでしょう。
 なにより、事業絞り込み路線、合理化路線ではなく、新規事業に進んだとい
うことにたいへん好感が持てます。ベンチャーの雄たるユニクロの面目躍如と
いうところでしょう。また、生鮮青果という目のつけどころもうれしい。最近、
無農薬や有機栽培などのニーズが高まっていますが、こうした分野は、最近で
こそスーパーなどでも拡大しているものの、生活協同組合や中小業者、あるい
はnpoなどが族生している状況であり、一部には信頼性の低いものや政治色
がついているものもあるなど、まだまだ近代的な流通体系が出来上がっていな
いからです。そこにユニクロが信頼できるブランドを確立できれば、ビジネス
としても有望でしょうし消費者のメリットも大きいでしょう。
 というわけで、ひさびさにユニクロを少し見直したというお話でした。

■2002/01/07 (月) 電機連合の「雇用を守る知恵」

 本日の朝日新聞朝刊の一面を、電機連合のワークシェアリングの記事が飾り
ました。まだ検討段階ということのようですが、1ヶ月から1〜2年の長期一
時帰休、賃金の減額をともなう交替制勤務の多様化・日当たり所定労働時間の
短縮など、雇用を維持しつつ総額人件費の抑制という経営の要請にも応えよう
というもののようです。
 一時帰休に関しては、すでに電機では市場の動向に応じて、主に夏や年末年
始の連休を延長するといった形で1日〜数日間の一時帰休を実施してきた実績
があります。これをさらに、市況によっては1ヶ月以上の長期にわたって実施
しようということで、アメリカのレイオフを想起させるものがあります。もっ
とも、従来の一時帰休は労使協定による「年次有給休暇の計画的取得」や、休
業補償を支払っての事業主都合の休業という形で実施されているケースがほと
んどで、1ヶ月以上といった長期の一時帰休に対応できるやり方とは云えませ
ん。とはいえ、労働基準法は事業主都合による休業に対しては平均賃金の6割
以上の休業補償の支払を定めていますので、仮に長期の一時帰休については無
給ということで労使の話がついたとしても、それを不満とする人が休業補償の
支払を求めた場合にどうなるのかは難しい問題になりそうです。これをクリア
するためには、将来的な再雇用を保証したうえでいったん退職するという形を
とることになるのかも知れませんが、今度はいつまでたっても再雇用されない
人が出てきた場合にどうなるのかという問題がありそうです。
 交替制勤務の多様化というのも、装置産業である電機らしいアイデアである
と言えそうです。巨額の設備投資を行う電機産業では、交替制勤務を活用して
操業時間をなるべく長く確保することが一般的ですが、それによって不自然な
時間帯の勤務になったり、各シフトの操業時間が一部分ラップして人員が重複
したりしているケースも往々にして見られるところです。こうしたシフトを一
部手直しすることで、重複をなくすことで効率化するのとセットで賃金の減額
幅を縮小したり、あるいは勤務時間帯をより働きやすいものにすることで賃金
減のデメリットを一部カバーしたりできる可能性はたしかにありそうです。
 産業の実情と経験をふまえた検討内容ですが、いろいろ知恵を出せばまだま
だ雇用は守れる、ということを労組みずから示していこうという姿勢は立派な
ものであると思います。

■2002/01/04 (金) 元日営業と従業員への「お年玉」

 あけましておめでとうございます。今年も「吐息の日々」ならびに「労務屋」
をよろしくお願い申し上げます。
 新年最初の「吐息の日々」は元日営業の話です。私が住む東京都調布市の中
心部である京王線調布駅前には百貨店の「パルコ」、スーパーの「西友」「東
急ストア」といった大型小売店舗が並んでおり、その周囲に中小規模の小売業
が集積しています。昨年は西友と東急が元日営業、パルコは2日が初売りだっ
たのですが、今年はついにパルコも元日営業に踏み切りました。周辺の中小店
舗は、コンビニや「吉野家」「松屋」などのファーストフードを除けばさすが
に元日はおおむね休業していたようですが、駅前から離れたところにあるスー
パーもあらかたは横並びで元日営業となったようです。
 まあ、コンビニが元日営業する以上は、元日を閉めればその分の客をコンビ
ニに取られるわけで、閉店時刻が遅くなるのと同じ理屈で休日も減らざるを得
ないということでしょう。実際のところ、客足もけっこうなもので、人気者の
「福袋」も元日で売り切れが続出だったとか。たしかに、どちらかと言えば人
出の途絶える深夜より、休みで買い物に出掛けたい人も多い元日に営業した方
が賢明な判断かも知れません。
 結局のところ、こういったことはどこか一店舗が抜け駆けして開店すれば、
そこに客を取られないためには横並びで全店が開けざるを得ないということで、
その横並びを仕掛けるのは労働運動しかないと思うのですが、連合も一昨年末
には展開した「元日くらいは休もうよキャンペーン」を昨年はギブアップして
しまったようで、もうこの流れは止まりそうもないようです。
 年末に「ビックカメラ」(首都圏を中心に展開するカメラ関連のディスカウ
ンター)勤務の人に聞いたところ、ビックカメラは三が日に出勤すると「お年
玉」が出るのだそうです。元日が1日1万円、2日・3日が5千円ということ
で、一種の特別割増賃金というところでしょうか。日給が1万円とすれば、元
日は通常の割増プラス100%、2・3日はプラス50%の特別割増というこ
とで、なかなか手厚い割増です。案外、こうやってペイで割り切っていくとい
うのも一つの方法だと考えなければならなくなっているのでしょう。

■2001/12/29 (土) 年末年始

 「吐息の日々」は、12月29日から1月3日までお休みをいただきます。

 今年のはじめ、年末には小泉純一郎が首相になっているとは思いもよりませ
んでした。その他にも、意外なことがたくさん起こった年でした。
 来年はどうなりますことやら。よいお年をどうぞ。

                 






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