■2002/02/01 (金) 有限責任の利点を生かそう

 ダイエーの再建にあたって、再建資金として、オーナー経営者である中内功
氏の「私財を投入せよ」という議論がさかんになっています。ワンマン経営で
債権者や取引先などに多大の損害と迷惑を与えたので、責任を問れ、というこ
とでしょう。しかし、一部にあるような「私財のあらかたすべてを差し出せ」
という論調は、いかにも行き過ぎではないでしょうか。
 中内氏がダイエーの経営で巨額の富を得たことは事実でしょうが、それは出
資者として、経営者としてのいたって正当なリターン、報酬です(特段、経営
で不正を行なったことがない限り)。であれば、経営判断を大きく誤ったにし
ても、不正な経営を行なったわけではなく、誤ろうとして誤ったわけでもなく、
むしろ最善の判断を行なおうと努力したにもかかわらず判断を誤ったに過ぎま
せん。であれば、当然過失を問える範囲というのはおのずから限定されてくる
はずです。
 どうも、わが国では、倒産したら経営者は路頭に迷うものである、迷うべき
である、という懲罰的な発想が強いようです。それはおそらく、経営者が羽振
りのいい生活をしてきたことへの代償的な感覚に基づくものかも知れません。
しかし、この「失敗したら再起不能」という実態が、わが国における起業の大
きな妨げになっていることは、再三議論されているところです。
 株式会社制度がすばらしい発明であると言われるゆえんは、それが有限責任
であるところにあります。リスクが限定されるからこそ、リスクを取れるので
す。アメリカでは、さらに、経営者の自宅や自家用車、あるいは一定の資産な
ど、少なくとも生活には困らず、再起を期することができる程度のものは倒産
しても手元に残る制度となっています。
 にもかかわらず、わが国の多くの中小企業では、経営者が融資に個人保証を
行なっているのが実態であり、それが「倒産したら路頭に迷う」という現実の
原因になっています。これは、有限責任でリスクを取りやすいという株式会社
制度の良さを大いに害するものであり、早急に改善が必要でしょう。
 それと同様の意味で、やはり行き過ぎた私財の差し出しを求めることは好ま
しくないのではないでしょうか。同じように、事実上の無限責任だった株主代
表訴訟の損害賠償も、高すぎるとはいえ上限が設けられたことは好ましいこと
と思います。感情論ではなく、有限責任のよさを生かすことを考えたいもので
す。

■2002/01/31 (木) 涙は女の武器だから

 小泉首相が、田中前外相が「涙ながらに訴えた」ことに対して、「涙は女の
武器だから」と発言したのだそうで、超党派の女性議員連盟が「女性に対する
偏見にもとづくものであり、国会における公平な議論を損ねる」と抗議すると
いう騒動に発展しているとか。まあ、まことにもっともな抗議ではあります。
 さらに、昨日は、民主党の議員が国会の予算委員会で、4人の女性閣僚に対
して「女性蔑視発言であり、どう考えるか」と質問したそうです。あまりにも
国会(しかも、予算委員会!)審議にふさわしい重要なテーマでそれこそ涙が
出ますが、まあ、4人の女性閣僚が揃う機会は他にはそんなにないわけなので、
やるとしたらここしかないということでしょうか。
 これに対する答弁はなかなかふるっていますが、装飾を取り払って荒っぽく
言えば「男だって泣くんだからお互いさま」というのが扇国交相と森山法相、
「気にしない」というのが川口環境相と遠山文科相ということになるでしょう
か。それぞれ堂々たる答弁で、さすがに現実の社会の中で男性と対等以上にわ
たりあって今日の地位を築いた女性らしいという印象です。まあ、小泉首相の
発言の意図も、「泣いたからって、どうってことないでしょ」というくらいの
意味でしょうから、こういう反応が常識的かも知れません。
 田中前外相にも小泉発言の感想を聞いてみたいものですが、やはり「女性蔑
視」とは言わないような気がします。「そのくらい悲しかったのよ。何が悪い
の」くらいでしょうか?
 とはいえ、男女共同参画社会の時代に、「涙は女の武器」というのはいささ
か旧時代的な感は禁じ得ません。旧来の固定的な性役割意識に悩まされたり、
不満を感じている女性が聞いたら、やはり不愉快でしょう。なにせ首相なので
すから、軽率のそしりは免れないものと思います。
 それにしても、扇国交相の「涙は宝石」というのは、なるほど宝塚歌劇出身
だなあと思ってしまいました。これも偏見かな。

■2002/01/30 (水) 「非自発」増加もう一つの理由

 このところ、完全失業率が上昇していることに加えて、その内訳として非自
発的離職者が増加していることが問題視され、深刻に受け止められています。
私もまことに憂慮すべき事態であると思います。
 ただ、私にはこれに関連して以前から気になっていることがあります。それ
は、雇用保険制度改正によって、非自発的離職者がカウント上大きくなる傾向
が出ているのではないか?ということです。
 具体的には、昨年4月から、自発と非自発とで失業給付の給付日数が異なる
ようになったことの影響はないのか、ということです。従来は、自発と非自発
の違いは、自発だと3ヶ月間給付がないというだけで、給付日数には違いはあ
りませんでした。しかし、改正後は、勤続20年以上では180日と330日、
5年未満(1年以上)でも90日と180日という大差があるのですから、普
通であれば「非自発」にしたい、という気持ちが働くのはむしろ自然でしょう。
 実際、聞いた話では、職安の窓口などでも、より給付が有利な非自発的失業
での届出を奨励するという実態があるようですし、企業にしても、自発だろう
が非自発だろうが企業にとってはほとんど変わりはない(雇用関連の補助金を
受けていると、事業主都合の退職を出すとそれが受けられなくなることがある、
といった程度の違いしかない)わけでもあり、離職票を発行するときに、でき
れば有利なとりはからいをしたいという心理は働くでしょう。
 離職理由別の新規離職者数を見ないと確認できないわけですが、残念ながら
総務省統計局のhpからはそこまでは見られないようです。しかし、理由別の
失業者数を見てみると、非自発は3月→4月で100万人→111万人で、自
発は117→122となっています。その後も、非自発はどんどん増加して1
2月に125万人になっているのに対し、自発は逆に減少して12月は101
万人。影響があるような気がしないでもありません。

■2002/01/29 (火) 完全失業率は最悪を更新したが

 29日に発表された12月の完全失業率は前月より0.1ポイント上昇して
5.6%となり、4カ月連続で過去最悪を更新しました。失業者数は前年同月
比39万人増の337万人、非自発的離職者は同じく31万人増で125万人
となり、過去最多を更新したそうです。
 これを受けて、首相や官房長官が雇用対策を含む2次補正の早期成立を目指
すとしているほか、平沼経産相は雇用創出に全力をあげる意向を表明。竹中経
済財政担当相は1次補正の早期執行を訴え、坂口厚労相は自営業主・家族従業
者が過去最低を記録したのを受けて起業家育成の必要性を主張しています。
 先行きに関しても、塩川財相は産業界再編の進展でしばらく悪化を続けると
の見通しを示しているほか、厚労省サイドも新規求人の減少などを見て当分は
悪化すると見ているようです。片山総務相は国民の階層別、地域別に失業状況
の深刻さを細かく把握するための緊急調査を実施すると表明しました。
 完全失業率が5.3%になったときに、かなりの騒ぎになりましたが、今回
はそれ以上に政府の危機感は強いようで、矢継ぎ早にあちこちから対処策が出
てきています。当面の政策の焦点はここに絞られている感があります。
 その一方で、この4ヶ月間の失業率の動きは5.3→5.4→5.5→5.
6とコンマ1ポイントづつの緩やかな上昇で推移しており、ことこの期に及ん
でも、わが国の雇用の安定ぶりというのは本当に大したものだという気がしま
す。今回の政府のあわただしい動きを見ても、あるいは民間におけるワークシ
ェアリングをめぐる動きを見ても、雇用が本当に重視されていることを痛感さ
せられます。おそらくは、当面悪化を続けるにしても、その程度は緩やかなも
のであり、社会への影響も急激なものにはならないでしょう。これはまことに
「大したもの」であり、国際社会に誇るに足ることではないでしょうか。

■2002/01/28 (月) サラリーマンの鞄の中身

 今日のコラムのネタは毎日コミュニケーションのサイトから拾ってきました
が、同じサイトに「新入社員の鞄の中身」という連載記事も掲載されていまし
た。それによりますと、「外資系大手it関連企業勤務(男性)」の「鞄の中
身」はこんな感じらしいです。
 ノートパソコン、ペンケース、社員証、アブラ取り紙を入れた名刺入れ、お
客様の名刺専用名刺入れ兼各種カード類入れ、自分用名刺入れ、エスタロンモ
カ12、地図、目薬santenfx、会社のファイル、日経ビジネス、日本経済新聞、
toeicの英単語集、「るるぶ京都を歩こう」、携帯電話、財布、モンダミン、
md walkman。こりゃ、凄いですね。ちなみに、「鞄はナイロン製の軽いものだ
が中身を入れた重さは軽く7キロを超える」とのこと。そりゃそうでしょう。
 まあ、営業マンということもあってエチケット用品が多いですし、若い人だ
けにルックスに気を使うのも自然なことでしょう(油取り紙は男性でもマスト
アイテムだそうな)。ポケット(特にズボンの)にはなるべくモノを入れない、
というのもおしゃれのためには必要ということで、それで財布や名刺入れが鞄
の中におさまることになるようです。ハンカチやティッシュ、キーホルダーな
どは上着のポケットに収納されているのでしょうか。まあ、新入社員というこ
ともあり、鞄が重いことはそんなに苦にならないのでしょう。
 ちなみに私自身の鞄はといえば、営業マンほどではないにしても外回りが多
いこともあり、「軽い」ことが絶対の重視ポイントです。この際ですからご紹
介してしまうと、まず折りたたみ傘、これは必須。ハンカチとティッシュの予
備。小さな大学ノート(システム手帳は重い)。新聞は出勤時に持って出て、
読み終わると乗り換え駅で捨てる。あとは仕事関係の雑誌か新書類。なるべく
早く読みたい本以外は軽いものを選んでおり、ちなみに今は「日本労働研究雑
誌1月号」が入っています。そして仕事用のフロッピーディスク1枚。パソコ
ンは都心ならあちこちでレンタル可能なので持ち歩きません。財布や名刺入れ、
筆記具、スケジュール・アドレス帳などはあちこちのポケットに分散して収納。
スタイルに気をつかう歳でもないので。
 最近では、鞄は何かを持っていくために持ち歩くのではなく、出先でもらっ
た資料などを持ち帰るために使うものだという意識に変わっています。これも
成長というものなのでしょう。

                 






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