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■2002/02/08 (金) 限られた財源を有効に 昨日、ワークシェアリングに関する政労使の実務者レベルの作業委員会が開 催され、連合が実施にともなう収入減の一部を政府が肩代わりすることを主張 したのに対し、日経連と経済産業省がそれぞれ難色を示したそうです。 連合の主張は、ワークシェアリングが個別企業で行なわれる限りは雇用調整 の域を出るものではなく、雇用安定を社会全体で支える社会合意が必要である、 というもので、「社会合意」というからには、当事者である労使に対して、政 府による実体のある支援が必要である、という理屈と思われます。具体的には、 政府による労働者への収入補填と企業の負担軽減措置(これは間接的に労働者 の利益ともなる)ということになるようです。これはこれで一つの考え方かも 知れません。 これに対して、日経連は「賃金が相対的に高い人であっても賃金減があれば 一律に補填するという考え方は均衡を欠く」、経済産業省は「すでに賃金カッ トに踏み切っている企業に対し不公平」との理由で難色を示したとのことで、 いずれも正論というべきでしょう。そもそも、世間には倒産やリストラなどで やむなく離職、転職して大幅な減収に見舞われている人もたくさんいるわけで、 そういう人から見たらワークシェアリングで一割二割の減収でも雇用が維持さ れている人なんかはよほど恵まれていると思えるでしょう。連合の理屈で行け ば、結局のところは一切合財減収したら政府が面倒見るということになってし まいかねないわけで、これはとんでもない話です。 そもそも、この手のワークシェアリングに補助金をつけるという考え方自体 がなんとなくスジが悪いような気がします。一割、二割の減収に対して、その 半分なり何なりを補填してみたところで、せいぜい家計が「ちょっと助かる」 くらいのもので、特段、乏しい国庫のカネを支出しただけのはかばかしい成果 があるとは思えません。減収をともなうワークシェアリングの対象者が、いく らか減収補填してもらったところで、家を建てたり自動車を買ったりするとは 思えません。 やはり、限られた財源を有効に使うとしたら、雇用維持のための補助金では なく、雇用創出のために使うのがより効果的であり、正論ではないかと思いま す。 ■2002/02/07 (木) 人の移動が腐敗を防ぐ 雪印食品の一連の不祥事に対して、経団連の今井会長は「もはや企業とは云 えない。解体して出直すくらいのことが必要」と述べたそうです。きのうは、 日経連の奥田会長も「経営者として本当に恥ずかしい話」と発言したそうです が、実際、次々と報道される今回の事件の顛末を見聞するにつけ、開いた口が ふさがらないというのが実感です。 当初は、狂牛病騒動という非常事態の中で、精神状態もパニックだったのだ ろうと若干の同情もあったのですが、その後、実は産地偽装は「2年前から行 なわれていた」ことが発覚。2年前といえば、狂牛病どころか雪印乳業の食中 毒事件が起きるよりも前ですから、「非常事態だったから」という言い訳は通 用しません。むしろ、産地偽装が常態化していたから、今回も買い取り制度悪 用に対して抵抗感がなかったということなのでしょう。 報道によれば、食肉部門の本社幹部も関与していたということで、さすがに その中には発覚の危険性を指摘して反対する意見もあったにもかかわらず、上 位者が押さえ込んでしまったとか。今回の偽装工作の中心人物であるセンター 長が8人の部下に偽装を持ちかけたときにも、特に反対する人もいなかったそ うです。センター長は「私が責任を取る」と云ったそうですが、到底彼一人で 責任を取れるような話ではないことは明らかなはずです。こういう点を見ても、 偽装が常態化し、感覚が麻痺していたことが伺われます。そういう意味では、 外務省の裏金づくりに似ているともいえます。 考えても見れば、普通の社内管理が行なわれていれば、現場が工作してもど こかで辻褄が合わなくなって発覚することは目に見えているわけで、管理中枢 も含めて承知の上で見過ごしていたのでなければ、2年にもわたって続けられ るわけがないと云えるでしょう。 なんでも、雪印食品の中でも食肉部門は独立性が高く、「別の会社のようだ った」という声が社内でもあるそうです。食肉の仕事は専門性が高く、能力を 修得するのに10年以上の長期を要するから、ということのようですが、独立 性は裏返せば閉鎖性でしょう。人事交流があれば、おそらくことが小さいうち に社内でも問題になり、大きな問題にならずに済んだかも知れません。外務省 にしても自治労にしても特定ポストに人が固定することが腐敗の温床になりま した。組織の開放性、人の移動の重要性を再認識させられる事件と言えるかも 知れません。 ■2002/02/06 (水) どうして今頃情報公開 外務省の裏金問題で、課・室別の裏金の使用額と残高が公開されました。合 計が一千万円を超える課も二つあったとか。外務省の課がどのくらいの人員な のか、もちろん大小もあるでしょうが、仮に20人とすれば一人当たり50万 円ということになります。さすが小さい額とは云えないでしょう。500万円 以上の課は11あるということです。中には、蓄えた以上に費消して残高が赤 字になっている課もあったとか。不正に裏金を作ったうえ、その管理もずさん だったというわけで、改めてあきれたところです。 それにしても、なぜこの時期になって公開されたかというのがこれまた不審 なところです。95年以降の裏金2億円、そのうち1億6千万円が費消された という発表があったのは昨年11月だったはずで、この数字を出すには当然課 ごとに調べて合計したはずですから、その時点で公開することもできたはずで す。 それでも公開しなかったのは、費消した1億6千万円を職員が分担して弁済 するという話になっているため、「職場ごとに不公平感が発生する」という理 屈だったようです。しかし、だったら費消した額の公開だけをしなければいい わけで、使用額と残高の合計は発表してもあまり差し支えなかったはずです。 一応、今回公開した理由は、報告を受けた川口外相が「早期に公開するよう に」と指示したから、ということになっています。たしかに、この内訳に関し ては、マスコミからも情報公開法によって公開が請求されていたということで、 拒んだ場合にはまたしてもイメージダウンは避けられず、それが大きく低下し た内閣支持率をさらに低下させる可能性がある、という判断はあったのかも知 れません。 しかし、普通に考えれば、やはり外相が交代したから、というのが本当のと ころではないでしょうか。外務省改革に燃えていた田中前外相のときにこれを 公開したら、またぞろ金額の多い課の課長が飛ばされたりするのではないかと 疑心暗鬼になっていたとしてもまったく不思議ではありません。普通は考えに くい話ですが、田中前外相はそれをやりかねないと思わせる人物です。 そういう意味で、常識的な外相が就任して、安心して公開に踏み切れるよう になったというのが、案外実態に近いのではないかという気がします。 ■2002/02/05 (火) 支持率は水モノ 小泉内閣の支持率が急落しているそうです。田中前外相を更迭した直後から、 夕刊紙などでは「急落」が伝えられ、ホンマかいなと眉につばをつけていたの ですが、ここに来て大手の調査結果も出揃ってきて、本当だったのか、と改め て思ったところです。 田中前外相に関しては、少なくとも外相として外交をこなすだけの力量があ るかどうかははなはだ疑わしかったわけで、私個人としてはとっくにクビが飛 んでいてもおかしくないくらいに思うのですが、要するに辞めさせ方が悪かっ たということなのでしょう。まあ、云った云わないの騒ぎで国会を混乱させた ことも事実ではないかとも思いますが、騒いだ野党も水準が低いとも云えます し、確かに今回のngo排除騒ぎに関しては田中前外相には非はない(という か、適切に行動したといえる)わけなので、田中前外相の人気、外務省と鈴木 宗男代議士の不人気まで考慮に入れれば、支持率がここまで下がるのも不思議 はないのかも知れません。 第二次橋本内閣のときに、ロッキード事件で有罪が確定した佐藤孝行氏が入 閣したことで、やはり内閣支持率が急落しましたが、この国の支持率というの は政治家としての力量、手腕より、人物が清廉潔白かどうか(田中前外相が他 の政治家に較べてそうなのかは私は知りませんが)といったイメージで動くよ うです。それが政治家に対する期待の低さの反映だとすれば残念な話です。 ただ、実際、小泉首相の行動もいささか不可解なことも事実です。そもそも 田中前外相を外相に起用したのは、外交手腕に期待してということより、外務 省改革によって国民の不信を払拭することに期待してのことでしょう(国民の 多くもそれを期待していたことは、菅直人の前例を見れば明らかです)。とこ ろが、その割には外務省改革を強くサポートしたかと言えばそうでもない。要 するに、国民の目に見えるような形(せいぜい幹部数人の首を飛ばせば済むこ とで、しかもほとぼりが冷めればそれなりに処遇の方法はある)を作って「外 務省改革は終わった」と宣言し、同時に「田中外相はすばらしい仕事をして私 の期待に応えてくれた。あとは外交のプロにバトンタッチしてほしい」とでも 云って川口現外相にでも交替させればそれで済んだ話ではないでしょうか。そ こに小泉首相の失敗があったのかも知れません。 いずれにしても、支持率というのは本当に水物だという感じです。 ■2002/02/04 (月) 上がりすぎの賃金水準 先日発表された昨年の「毎勤統計」によれば、平成13年の年間総労働時間 は、総実労働時間1837時間、所定内労働時間は1724時間で、平成12年のそれ ぞれ1853時間、1735時間を下回り、いずれも一昨年をわずかに下回って過去最 短となったもようです。 1980年代前半には2100時間台で推移していたことを思うと、ずいぶ ん労働時間短縮も進んだものですが、時短運動による分はともかくとして、こ こ数年は明らかに経済低迷の結果の労働時間短縮なので、素直に喜べないのが 実情と言えそうです。 いっぽう、賃金を見ると、現金給与総額は月あたり351347円 (-1.2%) 、所 定内給与が263961円 (-0.4%)、所定外給与が18000円 (-4.2%)、特別に支払 われた給与が69386円 (-3.1%)となっています。いずれもダウンですが、やは り残業減と賞与減が大きいと云えそうで、所定の下方硬直性はなかなか強いも のがあると云えそうです。ちなみに実質では-0.5%ということなので、ここに もやはりデフレの一端が見えていることになります。 時系列で見ても、80年代以降も一貫して上昇しており、ここ数年はダウン 傾向とは云ってもわずかなもので、とてもとても労働時間の短縮の大幅さには 見合っていません。したがって、時間あたり賃金は、80年代後半の時短運動の 時期に大幅に上昇し、かつ、ここ数年もわずかながら上がりつづけているとい うのが現実です。その一方で、物価は下がっているわけですから、いずれは賃 金水準の調整は避けられないと考えるのがむしろ普通ではないでしょうか。 最近、雇用を守るために賃金を一律カットするといったことが一部の企業で 行なわれていますが、それもある意味当然といえるかも知れません。 |