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■2002/02/15 (金) ゴネ得まかりとおる 一昨日、仙台高裁で、みちのく銀行が55歳以上の行員について賃金を大幅 に減額したことを不当として、銀行に賃金の差額などの支払を命じる判決が出 ました。最高裁で差し戻しになった時点でこういう結果になることは目に見え ていたわけですが、それにしても、まったくもって労務担当者を暗澹たる気持 ちにさせる判決です。 まあ、賃金制度変更の合理性に関しては、いろいろな判断がありうるだろう と思います。他の銀行も実施しているから競争上必要だったという主張に対し て、他の銀行と比較して当時経営状況が良好だったみちのく銀行については、 経営状況の悪かった他行以上に代償措置などが必要だったというのはある意味 妥当な判断とも言えるでしょう。長期精算的な賃金制度のもとで長らく就労し たことに着目したのも必要な観点だと思います。また、みちのく銀行は「時代 錯誤の判決」と憤慨しているわけですが、今現在の状況を本件賃金制度変更が 行なわれた86年当時にあてはめて「時代錯誤」とまでは云えないということ も理解できます。 それでもなお私が暗澹たる気持ちになるのは、この賃金制度変更を必要な措 置として理解し、受け入れた圧倒的多数の人たちの存在を思うからです。みち のく銀行としても、決して一方的に賃金制度を変更したわけではなく、労組へ の情報開示と話し合いのもとに合意のうえで実施にふみきったわけです。その 過程における労務担当者、労組役員の労力は尋常ならざるものだったでしょう し、それを受け入れた多くの人たちの痛みもかなりのものだったでしょう。こ うした多数の存在がありながら、少数の離反者がゴネ得を手にするということ は、現実の当事者であった人々にとっては耐えがたい痛恨事でしょう。 もちろん、裁判所は訴えの当事者についてしか判断できないわけですし、ま た、一部の限られた人に集中的にシワヨセするような制度変更が許されるはず もありません。しかし、大多数の当事者が受諾したことに関して、ごく少数が ゴネ得を得ることも、また正義とは云えないのではないでしょうか。きちんと した手続きを踏んだ労使自治は、もっともっと尊重されてしかるべきではない かと考えます。 ■2002/02/14 (木) 退職金前払制度が選ばれるわけ きのう(2/13)の日経新聞朝刊の税制の特集記事で、退職金税制が取り 上げられていました。内容的には退職金優遇税制が長期勤続に有利に働くので、 労働力の流動化が進まない、というものです。流動化はともかくとしても、自 発的な転職に対する足止めになっている部分もあるので、退職金優遇税制見直 しそのものに関しては同感です。 ただ、コマツ、松下、三和総研各社の「退職金前払制度」の利用状況が、昨 年4月入社の新入社員で、コマツで約9割、松下で約5割なのに対して、三和 総研がゼロなのは、前二社が優遇税制が利用できない分を会社が持ち出しで補 填しているのに対し、三和総研はそうではないからだ、というのは、いささか 一面的な見方のように思えます。 まあ、特に三和総研のように「出入り」の多い企業では、それも大きな理由 であるには違いないでしょう。ただ、コマツや松下に関しては、「退職金前払」 が魅力的な制度だから選択しているという部分のほかに、「会社が持ち出しで 優遇税制分を補填する」という事実が、「会社としてはこの制度を選択してほ しい」「この制度を選択したほうが会社に好まれる、高く評価される」とい うアナウンス効果を発揮しているという部分が大きいのではないでしょうか (事実はそうではなくても、そう思われるだけで効果は出ます)。特に、この 就職氷河期に就活する学生さんたちにとっては、志望理由としても明快ですし、 「こちらを選択すると表明された方が採用されやすいのではないか」という判 断も働くでしょう。「前払退職金は企業が余分な負担をしないと使われる制度 にならない」という日経の主張も半分はそのとおりですが、「企業が余分な負 担をするから使われている」という一面もあることを見逃しています。 ちなみに日経は、退職金前払制度は「転職しても不利にならない」と書いて いますが、実はこれは大きな間違いです。前払制度においてもその金額は勤続 に従って増加するため、長期勤続するほど年平均の前払受取額は増加するから です。結局のところ、退職金前払制度は、建前はともかくとして、転職を促す ことよりは、「あとでまとめて受け取るより今すぐ受け取りたい(自分で運用 したいなど)」という社員のニーズと、将来債務を減らすという企業のニーズ が主な目的となっているというのが実情のようにも思われます。 ■2002/02/13 (水) 公開が高める評価の納得性 太田市立商業高の選抜高校野球「落選」をめぐって、太田市の清水市長が高 野連に選考経過・理由の開示を求めた質問状に対し、高野連が回答を送ったそ うです。 それにいわく、「選考過程は一部を除き報道関係者に公開し、積極的に開示 している。秋季地区大会は本大会の予選ではなく、出場校は地域性や試合内容 を考慮し選考委員の判断で決まる」とのことで、清水市長が問題視した太田市 商と水戸短大付高に関しては、「地区大会優勝校の浦和学院とそれぞれ対戦し、 太田市商は準決勝でコールド負け、水戸短大府は準々決勝で接戦負け」「地区 大会進出校が群馬県に2校という地域性」を考慮して決定したという説明がさ れているとか。 「選考過程は一部を除き報道関係者に公開し、積極的に開示している」ので あれば、質問が送られた際に「地区大会は予選ではないとしか言いようがない」 などという拙劣なコメントではなく、「すぐに選考過程を開示する」あるいは 選考過程そのものをコメントすればいいわけなので、いかにも強引な言い訳と いう感がありますが、まあこのあたりは取材する側が弱いわけなので、「公開、 積極的に開示」と主張されたら「はいそうですね」となるのは仕方ないことな のでしょう。 選考過程そのものに関しては、すでに清水市長が市のホームページやメール マガジンなどで反論を明らかにしている理由なので、おそらく市長は納得でき ないだろうと思います。実際、市長のコメントは「納得は別として、回答して くれたことはありがたく思う」というもののようです。とはいえ、「回答して くれたことはありがたい」ということは、それなりに納得性という意味では一 歩前進したということでしょう。 人事評価も同じことで、結局は最終的に納得できないことも多いだろうと思 います。それでも、何の説明もないよりは、どのような制度でどのように評価 された結果この評価になったのかを開示、説明されれば、納得できないまでも 本人自身心中でなんとか折り合いをつける材料にはなります。評価というのは 難しいということを謙虚に受け止めて納得性を高める努力が必要でしょう。そ して、高校野球はともかくとしても、企業の人事に関してはあいまいな評価で 大差をつけることを避けるべきなのでしょう。 ■2002/02/12 (火) 朝刊「特別版」の発行を歓迎する 私は自宅で読売新聞と日経新聞を購読しているのですが、今日はいわゆる 「新聞休刊日」にもかかわらず両紙とも朝刊が宅配されていました。どうやら、 一部百円、夕刊の廃止と次々に新機軸を打ち出す産経新聞が、今年から新聞休 刊日にも首都圏を中心に朝刊の駅売店・コンビニなどでの販売をスタートした ことから、両紙ともそれに追随しての特別版発行となったというのが実際のと ころのようです。もともと、スポーツ新聞については休刊日も駅売り特別版を 発行することは定着しているわけですが、それがとうとう一般紙にまで及んで きたというところでしょう。読んではいませんが朝日、毎日、東京の各紙も追 随したもようです。読売は昨日の折込で特別版の宅配が告知されていましたが、 日経は駅売りだけのような書きぶりだったので、宅配されたのには少々驚きま した。産経も当初は駅売りだけのような発表だったわけですが、首都圏では宅 配もされているようなので、各社ともギリギリまで規模拡大の努力を続けたも のと思われます。 内容を見ると、読売新聞は「全国の読者に行き渡るわけではない」というこ とで、連載記事などを中心に大幅に紙面が縮小されています。日経の方もかな りの部分が特集記事で、特にペイオフの特集はこれまで連載してきたことのま とめという感じでしたが、これは編集を休むために事前に書き溜めておいたと いうことなのでしょう。一面には無名のコラムが出現しており、特別ぶり(混 乱ぶり?)がうかがわれます。 いずれにしても、こうした形で競争を通じてサービスが向上するのは読者に とってはおおいに結構なことです。そもそも、新聞休刊日というのも、販売店 の休日確保などのためということで、各社横並びでカルテル的に導入されたも のでしょう。読売も日経も、「業界の秩序を乱した」的な不愉快さのにじみ出 る部分が見られますが、少なくとも記事ではあれだけ自由競争を礼賛し執着す る日経が自社自業界だけカルテルを維持したいというのはたいへんな矛盾です。 読売の「盟主に逆らうのか」的な態度もいささか大人気ないものではあります が。 |