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■2002/02/22 (金) 雪印食品ついに解散へ 雪印食品が、結局は解散ということになったようです。親会社の雪印乳業が 支援して事業としてはなんとか一部を継続したいということのようですが、い ずれにしても雪印食品という会社がなくなるということには変わりはありませ ん。私自身が大学の卒業を控えて就職活動をしたのがすでに20年に近い十数 年前のことになりますが、その当時、雪印食品がなくなるなどとはおよそ考え もしませんでした。 結局のところ、不正行為が命取りになったということになりましたが、まあ、 もともと過当競争であり、また、輸入品との競争などの構造的問題を抱えてい たわけですから、狂牛病騒ぎによるダメージに不正行為が加わっては、親会社 の支援をもってしてもひとたまりもなかったというのが実際のところかも知れ ません。 しかし、いかに業績が厳しく、競争が激しいからと言って、海外産の食肉を 国内産と偽って売って、それでどれほど業績や競争力に寄与するのか、正常な 精神状態なら当たり前の判断が働きそうなものです。であれば、やはり経営状 態が正常な判断を鈍らせるような状況にあったということでしょうか。 少し前、丸大ハムにも同様な疑惑があるのではないかという情報が流れ、そ れはどうやら単なるウワサの域を出なかったようですが、いちばん心配なのは、 こうしたモラルの低下が業界全体に蔓延し、どの企業でも日常茶飯事になって いたのではないか、という懸念です。まあ、三菱自動車のクレーム隠しが問題 になりましたが、あれに関しては一応他の自動車各社にはそのような実態はな かったということのようなので、その伝でいけば取り越し苦労なのでしょうが ・・・。 それにしても、雪印食品の製品が小売の現場から見事なまでに姿を消したの には感心しました。これで他の食品メーカーはそれなりに一息つけたのでしょ うか?デフレ対策という意味では、過当競争の解消はそれなりに歓迎できるこ とかも知れません。競争緩和は市場原理主義者には物足りないかも知れません が、原理主義者には何より不振企業が消えたことを喜んでいただかなければな らないですから、その余は勘弁してもらいましょう。 ■2002/02/21 (木) 感謝を忘れた国 日経新聞の税制の特集記事を読んでいたら、日本の所得税の累進税率がキツ すぎる、高所得者への課税が厳しすぎるという話の中で、外資系金融機関に転 職した人が、年俸の一部を退職金に振り替えてもらった、という話が出てきま した。要するに、年俸として月々受け取るより、退職金として受け取った方が 税金が得だということで、その云い分は「自ら努力して成果を上げ、転職のリ スクも取って高い報酬を得たのに、その4割を税金で取られるというのはあま りにも過酷だ」ということなのだそうです。 私はこれを読んで唸ってしまいました。まあ、高所得者の限界税率が4割と いうのが高いかどうかというのは議論の余地はあるだろうと思います。それ以 前の問題として、この転職者氏が、自分の得た報酬がすべて自分の才能、努力、 リスクテイクの結果であると考えているらしいことに驚いたのです。 佐藤俊樹著「不平等社会日本」(中公新書)がよく売れました。その内容や 根拠については申し上げたいことがいろいろありますが、それはそれとして、 佐藤氏はこの本の中で、佐藤氏のいわゆる今の「エリート」たちが、「そもそ も豊かな家庭に才能に恵まれて生まれ、行き届いた教育を受けることで今の地 位を獲得したにもかかわらず、あたかもそれがすべて自分の能力と努力だけで 築かれたかのように思いこんでいる」と批判しています。今回の転職者氏の記 事は、この佐藤氏の主張に対して「さもありなん」と思わせるものでした。 だとしても、依然としてこの転職者氏のような有能な人にその力を大いに発 揮していただくことは国家にとって必要であり、税制もそれなりの配慮が必要 であるかも知れません。それにしても、欧米では、仮に高所得者に高率課税さ れていないにしても、ビル・ゲイツが11兆円を社会福祉に寄付したりとか、 大リーガーが孤児をホームゲームに招待したりとかいった社会貢献が、高所得 者のなかば義務的なものだという意識があります。この転職者氏には、おそら くそうした意識もないのでしょう。 現実には、成功の影には、強運があり、他人の支援があり、国などの支援が あることは当然です。それに対する感謝の気持ちがあれば、それなりの税負担 や社会貢献も前向きに捉えられるでしょう。そうした気持ちがなくなってしま うとしたら、この国の将来にはかなりの懸念を覚えざるを得ません。 ■2002/02/20 (水) 外資排除も一理はあるが 牛肉の産地偽装で窮地に追い込まれている雪印食品は、外部からの資本を入 れての再建が避けがたくなってきたわけですが、それにあたって「外資を入れ るのはまかりならぬ」という圧力が、農水省や農水族議員からかかっていると のことです。当初有力視されていたネスレとの提携についても、雪印食品経営 陣が「外資との提携は考えていない」と打ち消すに到っているとか。 これは要するに、外資が入ると、酪農家との関係がドライになり、安定的な 取引ができなくなり、価格が大きく変動したり、ひいては国内酪農家の「切り 捨て」につながるのではないか、という懸念によるもののようです。 これに対して、日経新聞などは「酪農家の保護のために消費者の利益を犠牲 にするもの」などと批判していますが、たしかにそういう批判を受けても致し 方ない状況であるといえるでしょう。 とはいえ、日経がいうように、すべて国内農業の保護をなくしてもいいかと 言えば、それはそんなこともないわけで、やはり食糧安保の観点というものは、 常に念頭に置かれているべきだと思います。外資が雪印食品を橋頭堡に軒並み 不振の日本の食肉業者を傘下に収めた結果、国内酪農家が壊滅し、食肉の持久 力が大きく毀損されるようなことになっては、国益も大きく害されることは明 らかだからです。 とはいえ、それでは日本農業が今のままでいいかと言えば、それはそうでは ないことも明らかです。 農業への外資参入を拒むのは、それなりに一理あるとは思います。しかし、 それが食糧安保の観点以外から正当化されるとは考えられません。であれば、 食糧安保のために、農業の生産性向上は必須です。控え目に言っても江戸時代 の遺物としかいいようのない「家族的営農」を旗印にしている限り、食糧安保 などおぼつきません。 農業への株式会社の参入解禁などを通じて、農業経営の近代化と生産性向上 を進める施策なくして、単に現状維持、酪農家をふくむ農家の既得権維持のた めだけに外資を拒むのであれば、それはまったくの議論のすりかえに過ぎない でしょう。 ■2002/02/19 (火) 社員の出戻り大歓迎 日産自動車が経営再建中に退職した社員の再雇用を始めたというニュースが、 先日流れていました。スリム化したはいいが、いざ軌道に乗ったとなると今度 は人材不足に気がついた、ということのようで、このやり方はどことなく米国 のレイオフに似ていなくもありません。 処遇などの細部はわからないのですが、早期退職優遇制度を利用した人は対 象とはしないということですから、通常の中途採用よりは優遇されるのでしょ う。普通に考えても、通常の中途採用に較べて、少なくとも社内の勝手とか、 技術面やノウハウ面で共通の基盤はできているわけですから、その分優遇され るのは当然といえば当然です。 私などは、率直に言って「そのくらいだったら引き止めておけよ」と思わな くもないのですが、日産の場合はゴーン氏が乗り込んできたことで英語の苦手 な人がかなり流出した(その中には、業界ではかなり名の知れたエンジニアも いたとか)とか、何より「v字型の業績回復」を演出することが最優先だった とかいう事情があったのでしょう。 また、こういう形を取ることで、採用時に改めて優秀な人だけを人選して再 雇用できるというのは見逃せないメリットでしょう。なにしろ、以前働いてい たわけですからそこの判断は正確です。さらに、そういう優秀な人でも、いっ たん退職したということで、退職せずに勤続した人に較べてある程度低い処遇 でも納得を得られるでしょうから、、コスト的にもなかなか有利なやり方かも 知れません。 あとは、どれだけ優秀な人が、どれだけ多く戻ってくるか、というところが 見物です。本当に優秀な人ならすでに他で高い処遇を得ているでしょうし、い ったん見切った人がそう簡単に戻るとも思えません。その一方で、日産は本当 にヤバイんじゃないかと思って逃げ出した人の中には、再建したならもう一度 働いてもいいなと思っている人もかなり多いのではないかという気がします。 すなわち、外れのないそこそこ優秀な人をそこそこお値打ちな賃金で雇える意 味では、なかなか賢いやり方かも知れません。よほど会社が傾かないとできな い方法なので、簡単には応用できませんが・・・。 ■2002/02/18 (月) 業績連動賞与の落とし穴 急激な半導体需要の落ち込みなどによる業績悪化を受けて、電機各社が今年 の春闘のベア要求を見送りましたが、一方で、賞与交渉が深刻な問題となって いるようです。 電機各社の中には、富士通や松下電器のように、いわゆる「業績連動型」の 賞与を導入しているところがあります。大手の中では、まあ半分といったとこ ろでしょうか。この方式、いちいち交渉しなくていいという効率化もさること ながら、経営サイドの恣意的な思惑で賞与が抑えこまれず、業績に応じた一定 の水準を既得権化することができることが大きなメリットであると労働サイド には考えられているようで、鉄鋼労連もこれの導入を要求するなど、広がりを 見せています。 ところが、今回の大幅赤字続出という非常事態のもとで、業績連動の計算式 をそのままあてはめて賞与決定すると、従来を大幅に下回る、かなり低額の賞 与になってしまうという事態に立ち至ったわけです。もともと、業績連動の計 算式は、ベースの最低保障(4か月相当分というのが多いらしい)に、経常利 益額の一定係数倍といったものになっているようで、大幅赤字になると最低保 障を大きく割りこんでしまうわけです。要するに、赤字になるなどということ は想定されていない制度だったということで、想定外の大幅赤字によって機能 不全になってしまったというわけでしょう。 とはいえ、現実の組合員の生活を考えると、ある程度の賞与支給が住宅ロー ン返済に織り込み済みということはかなり多いわけですから、あまりに大幅な 減額はやはり耐えがたいものがあります。 とりあえず、一応「例外的な事態にあっては別途協議」というルールも設定 されており、経営サイドも柔軟に交渉に応じる姿勢は見せているようです。 ベア1000円をとったとしても年間で1万2千円、賞与などへの波及を加 えてもせいぜい年2万円というところでしょう。そう考えると、1年限りであ っても、業績連動で賞与が数十万円落ちるというのは大事です。そう考えると、 とてもベアどころではないという事情は労組の方にもありそうです。 |