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■2002/03/01 (金) 教育問題のむずかしさ 日経新聞の教育特集が再開したようです。題して「再び教育を問う」。昨 年の教育特集は、はっきり言ってカネ儲けだけに優れた人間を育てることばか りに目が行ってしまって、およそ「教育」を論じるには貧困きわまりない内容 になってしまっていましたが、今年ははたしてどんな内容になるのか?いささ か気になるところです。いちばん最初の記事を見る限り、新学習指導要領に疑 義を呈していたり、新要領発表後の文部科学省のお粗末な対応ぶりを批判した りしているのはまずまずいい線かなとは思いますが、相も変わらぬ海外礼賛ぶ りはいささか食傷します。まあ、日本の悪口を言うのには海外を誉めるのが簡 単だということでしょうが。 それにしても、教育問題というのは本当に面白いというか、難しいというか、 悩ましい問題だと思います。先般の「教育改革国民会議」の際にも、有識者の 意見を聴取しているわけですが、その幅の広さといったら!学校の先生はまあ わかるにしても、オリンピック選手やら作家やら、その他もろもろまことに多 種多彩な人物が登場します。もちろん、それぞれの意見ははなはだ立派なもの です。しかし、たとえば経済や政治の問題で、ここまで多様な人がコメントす るとは思えません。なんと言っても身近な問題だけに、誰しもそれなりの見解 を持っているのが教育問題なのだということでしょう。もちろん、分野を問わ ず当代の第一人者ともなればそれなりに教育に関する経験も見識もあるという ことになるわけです。 そして、ほぼ同じことが人事管理にも言えるわけです。人事部が常に批判と 評論の対象になるのもむべなるかなというところです。加えて言えば、とりま とめがまことに難しい問題であるということも共通のように思えるのです。 ■2002/02/28 (木) またもやチェックオフ禁止論 今日、与党政治倫理確立協議会が開かれ、労働組合と政治との関係を協議し たそうです。 要するに、民主党をはじめとする野党に労組から政治資金が流入しているこ とを問題視しているわけです。労組から直接の献金はできないわけですが、大 労組のほとんどは政治資金集めの団体を別に作って組合員に加入させるなどの 方法で事実上政治献金を行なっていることは周知の事実だからです。今回は、 「自治労の不正経理による脱税事件を踏まえて」議論したということで、なに も自治労の不正経理のカネが政党や政治家に流れたという話はなかったと思い ますが、あのような不祥事はいたるところで突っ込まれるということでしょう。 協議の結論としては、自治労に法人格がなく外部会計監査が義務付けられて いなかったことが不祥事の原因の一つであったということで、労働組合の法人 格取得および外部会計監査の義務化などによる透明性向上が必要だということ になったようです。要するに、会計をしっかりチェックすれば政治にカネを流 しにくくなるだろうということでしょう。さらには、チェックオフの禁止につ いてもまたぞろ検討するとされたほか、公務員の政治活動の制限についても検 討するということです。 この中では、公務員の政治活動については、法律で禁止されている選挙活動 での地位利用が見られるのをはじめ、たしかに一部で甚だしい行き過ぎが見ら れることは事実であり、一定の規制は必要かも知れません。 残りの二つはいささか悪乗りという感があります。とりわけ、チェックオフ については、以前も一度禁止しようとの動きがありましたが、連合はもちろん 日経連も反対、与党内部にも反対の声が強く結局断念した経緯があったはずで すが、懲りないものだと思います。 ■2002/02/27 (水) 労働時間管理適正化のために 昨年の10月〜11月、労働基準監督署が全国一斉に労働時間管理状況の立 ち入り検査を実施したことは周知のとおりです。報道によれば、この集中調査 で、全体の29%の事業所において、割増賃金の未払い、いわゆる「サービス 残業」が行なわれているという結果が出たそうです。 これは就労者の29%ではなく事業所の29%ですから、一人でもサービス 残業をしている人がいた事業所が全体の29%ということです。都心のオフィ ス街などを見る限りは、かなりの深夜になってもほとんどのフロアで照明がつ いており、直観的にはホワイトカラー職場に限ってはこのサービス残業事業所 29%という数字は実態に較べていかにも低いように感じられます。その一方 で、生産現場などは従来からサービス残業は少なく、しかも経済の低迷や空洞 化で操業度が低下しており、そもそも残業の必要がないのが現下の実情です。 全国一斉調査なので、地方を中心にこうした事業所が相当割合含まれている可 能性があります。その結果が29%という数字なのでしょう。 さて、それでは労働時間管理の適正化を進めるにはどうしたらいいのでしょ うか。中長期的には、働く人の意識や働き方、企業の人事管理の双方を変えて いく必要がありますが、当面短期間で適正化をはかるためには、適正化のコス トを下げることが有効でしょう。サービス残業が企業の人件費削減の結果だと いう主張が本当なら、人件費を増やさずに労働時間管理の適正化を行なえばよ ろしい。所定内の賃金を今のままで適正化しろという発想だと、サービス残業 分の時間外手当がそのままコストアップになってしまいますから、結局はなに も進まないということになります。 具体的には、現在サービス残業があるのなら、まずは賃金を下げ、残業をす べて計上して割増賃金をしっかり支払った結果が、今の(サービス残業がある) 賃金水準と同一になるようにすれば、サービス残業はなくなります。要するに、 最終の支払賃金も就労実態も変わらないままに、労働時間管理を適正化すれば よいわけです。今現在の環境下で適正化をやろうとするなら、このくらいの発 想の転換をしなければしょせん現実には無理な理想論に終わるでしょう。 ■2002/02/26 (火) 外務省が多面評価を導入 報道によれば、外務省は人事制度改革の一環として部下による上司の評価を 制度化するのだそうです。評価するのは、入省8年め以降の本省の職員で、評 価されるのは本省119課室の課長、室長、首席事務官となっています。評価 結果は平均値を本人にフィードバックするようです。 内容は仕事のマネジメント、人のマネジメント、倫理、総合評価の4分野で、 「仕事のマネジメント」ではリーダーシップ・先見性、一貫性・確実性、決断 力の3項目、「人のマネジメント」では公平さ、コミュニケーション、責任感、 効率性、人材育成の5項目、「倫理」は廉潔性の1項目のみで、これに総合評 価をあわせた10項目について5段階評価するというものだそうです。 個別の項目はどれも順当なものだといえますが、「一貫性・確実性」が含ま れているのは官庁の保守性(別に悪くはない、というか大切なこと)を表して いて面白いところです。「決断力」の説明が「意思決定を先送りしない」とな っているのは従来の官庁にはたいへんなところかも知れません。不満が残るの は、「効率性」の説明が「部下の能力・繁忙度等を把握し、適切に業務分担」 のみにとどまっていることで、お役所が忙しいことは重々承知してはいますが、 それにしても現在求められているのは適切な業務分担ではなく全体の効率化、 コストダウンだと思うのですが、どんなものなのでしょう。 もうひとつ気になるのは、評価対象は本省の幹部に限られているようですが、 外務省ではやはり外交の現場である在外公館が最重要の職場であるとも考えら れるわけですから、そのトップについてもこうした評価が大切ではないかとい う点です。もっとも、こうした人たちは本省と現地を短スパンの人事異動で往 復しているのでしょうから、本省勤務時にチェックを受ければ十分ということ なのかも知れませんが。 この結果が処遇や人事にどの程度反映されるのかは不明ですが、いずれにし ても民間企業でもここまでのことをやっているのはまだ少数派ではないでしょ うか。外務省の大胆さは大いに高く買いたいと思いますが、これまでとのギャ ップが大きすぎて、はたして現実がついてくるのかと心配するのは余計なお世 話というものでしょうか。 ■2002/02/25 (月) 中国の人口問題と高齢化問題 日経新聞はこのところ中国関連の記事に力点をおいているようで、断続的に 連載の特集が掲載されていますが、これまでのところ率直に云ってあまりにも 中国経済に対する美化に近い賞賛が強調されていた感がありました。かつて、 文化大革命の当時、朝日新聞が文革礼賛記事を書きまくったことがありました が、それに近い危うさを感じるものがありました。 ところが、きのうからようやく一面の連載特集の一環として「発展への死角」 と題したシリーズがはじまり、人口問題や農村問題についても言及されはじめ ました。これでようやくバランスのとれた報道になりそうで歓迎したいと思い ます。 実際、中国の人口問題というのは今後かなり深刻な問題になるのではないか と思います。日経新聞は民間の養老年金などで解決可能かのような書きぶりで したが、現実には中国の高齢化は日本をも上回る速度と規模で進展する見通し ですから、そんな簡単なものではないでしょう。中国でいわゆる「一人っ子政 策」がはじまったのが1979年です。84年ころから地方を中心に「一人め が女児なら二人め出産可」という規制緩和が広がり、近年では都市部でも両親 とも一人っ子の場合は二人の出産が認められているようですが、それでも出生 率は1.5%にとどまっているといいます。働き手となる男児を望む夫婦が多 いことから、一人っ子政策世代は男児が多く、一説によれば7対3くらいに男 女のバランスが崩れているということですから、長期的な再生産能力にも疑問 符がつきます。 もっとも、中国沿海部で現在の繁栄を支えているのは、一人っ子政策が始ま る前後の世代ではありますが、当分の間は現状と同様の人材供給は十分に可能 だということで、いかに若年人口が減少しているとは云ってもその人数はやは り膨大だということです。そういう意味では、わが国はじめ各国にとって中国 との競争条件がこれで直接的に改善されるということはなさそうですが、本当 に大きな社会問題になったときに中国の生産拠点の生産性にどのような影響が あるのかは不透明なものがありそうです。 |