■2002/03/08 (金) 一般事務職派遣相場が下落中

 今日の日経新聞朝刊によれば、人材派遣業界で事務職の料金が下落を続けて
いるそうです。一般事務職の派遣は、規制緩和もあり、依然として増加を続け
てはいるのですが、一昨年末をピークに新たな引き合いが減少しているという
ことで、料金が下落しているのだとか。具体的には、現在1700〜2000円くらい
の料金が1500〜1800円くらいに下がるのではないかということ。
 一般事務職の派遣代替の目的は基本的には人件費の「変動費化」「削減」の
ふたつですが、「変動費化」が中心の場合は派遣の人数が増加、単価もそれな
りに維持または上昇するということになるでしょう。「削減」が中心になると、
人数もあまり増加せず、単価も上がらないということになることが予想されま
す。ということは、一昨年末を境に、企業の態度が変動費化重視から削減重視
にシフトしてきたということでしょうか。
 それにしても、1500円の料金で成り立たせるためには、派遣社員自身への時
給もかなり下がらざるを得ないわけで、やはり新規契約スタッフでは1200円台
という時給も出てきているとか。いずれは既存スタッフの賃下げにも波及する
可能性があると報道は指摘しています。
 それにしても、時給1200円では、仮にフルタイム働いたとして一日9600円、
月20日勤務で月額192000円です。そこからあれこれ引かれたとして手取りは
150000円くらいになるでしょうか。ワンルームを借りて住む単身者だと、まず
生活費でぎりぎりという感じでしょう。パラサイトせざるを得ないわけです。
また、仮に持家があるとしても、夫婦ともこの仕事だと世帯で月300000円。な
かなか子どもを持てるような金額ではありません。ましてや、専門学校で自己
啓発、というのは難しいでしょう。最近、「夫婦共稼ぎモデル」というのをよ
く聞きますが、そうそういい話ばかりというわけでもなさそうです。

■2002/03/07 (木) it産業の雇用に経産省の新モデル

 経済産業省が、it産業の雇用制度の改革案をまとめつつあるという報道が
ありました。産業構造審議会の分科会を使ってまとめるとのことです。
 it産業が現状の不振を脱して再生するためには、従来の「日本型雇用慣行」
を根本的に見直し、「個人の能力・成果を重視した賃金体系」「終身雇用との
決別、転職しやすい雇用制度」に完全移行すべきということのようです。具体
策は、企業による職業紹介、異業種横断的汎用的技能の形成、社会的コンセン
サスの醸成などがあがっているとのこと。
 詳しい内容はほとんどわかりませんのでなんとも言えませんが、主要it企
業をあまねくヒヤリングしたほか、電機連合の意見も聴取しているということ
なので、基本的には産業内での柔軟性を高めて雇用を確保し、人的資源を蓄積
していこうという構想なのでしょう。
 ワークシェアリングの導入にも前向きとの記事もありますが、具体的な中身
はよくわかりません。電機連合は、米国で見られるような、一定の人選ルール
と所得補償のついたレイオフシステムの構想を持っているようなので、それに
沿った形で業界としての需要変動に対応しようということかも知れません。
 専門技能職の世界では、業界内での転職はむしろ当たり前という世界がすで
にありますが、it産業でも、専門技能職が「独立」も選択肢のひとつとしな
がら移動するという世界になる可能性もあるのかも知れません。いずれにして
もこの報告、詳細な内容を見てみたいものです。

■2002/03/06 (水) 墺、移民にドイツ語講習義務付け

 オーストリアで、移民労働者の受け入れにあたってドイツ語ができない労働
者には国外退去を命じるという法案が成立のはこびとなったそうです。
 内容的には、一応これまで特定職種に限られていた移民労働を自由化すると
いう拡大措置も盛り込まれており、それと同時に、移民労働者に対して「計1
00時間のドイツ語講習を義務付け、それで基礎的なドイツ語能力が身に着か
ない場合は最悪国外退去命令」ということなので、あらかじめドイツ語の修得
を求めているわけでもないようです。授業料はオーストリア政府と移民労働者
の折半負担で、eu加盟国市民は講習免除ということなので、一応それなりの
支援の形は整えられているということになるのでしょう。
 オーストリアでは、99年の総選挙でイェルク・ハイダー氏率いる極右政党
の自由党が27%の得票を得て第二党となり、保守政党の国民党との連立政権
を樹立して与党になりました。ハイダー氏はナチスとの関与が疑われるなどか
なり怪しい人物ですが、一応極右でもあり、移民については失業などの経済的
問題よりは文化の違いを理由に反対していますので、移民にドイツ語ができる
ことを求めるというのはロジックがあっているということなのでしょう。とは
いえ、そこにはドイツ語を一段高く見るかのような人種差別的発想が透けて見
えることは否定できません。また、自由党の支持層は主にブルーカラーで、工
場労働者には半数近い支持を受けているということですから、ハイダー氏の理
屈はどうあれ、失業問題などとの関係から移民排斥策が支持されていることも
間違いありません。
 これは欧州の伝統的な社民主義とは明らかに一線を画すもので、野党の社会
民主党や緑の党からは批判が噴出しているとのことです。もちろん、移民を希
望する外国人が受け入れ予定人数を上回っているときに、自国語ができること
を移民の条件とすることにはそれなりの合理性がありますし、また、文化的な
観点から自国語を大切にすることがすなわち右翼的であるということもないで
しょう。しかし、それが根拠のない差別意識や排外主義と結びつくようだと深
刻な問題となります。このような動きはオーストリアに限らず欧州各地で多か
れ少なかれ見られるとのことですが、成り行きが心配されるところです。

■2002/03/05 (火) 高校新卒の一人一社制見直しへ

 報道によれば、厚生労働省と文部科学省は、高校新卒就職の「一人一社制」
(学校推薦による単願制)を廃止し、複数受験を求めるよう、経済団体や高校
に働きかけるそうです。今年度卒の高校新卒に対する求人は約21万人とバブ
ル期を100万人下回るという低迷ぶりで、高校によっては就職希望者数を下
回る求人しかないという例も出ているそうです。特に、一人一社制は過去の実
績を重視することから、新設校にはきわめて厳しい状況があるようです。
 そういう意味では、一人一社制を見直して複数受験、自由受験を認めること
は、学生にとっては多くの機会を得ることができるわけで、基本的に好ましい
ことであるといえるでしょう。もちろん、未成年である高校新卒予定者が活動
するわけですから、引き続き十全な指導が望まれることは云うまでもありませ
ん。
 しかし、この「一人一社制」は、私個人は文部科学省の要請によって実施さ
れてきたものだと思っていました(現実には校長会などが要請してきたのかも
知れませんが、文部科学省の意を受けていることは明らかだと思います)。そ
れをあっさり方針転換したというのは文部科学省にしては珍しい柔軟性だと評
価できますが、それにしても就職の不振を企業サイドに責任転嫁する意図があ
りそうで抵抗感もあります。
 企業としては、より広く募集・選考できることから、優れた人材の確保の可
能性も広がり、基本的には歓迎できる話ではないかと思います。とはいえ、も
ともと一人一社制には企業の採用の手間を減らすという面があります。今は買
い手市場であり、採用の工数もそんなに多くは必要としていないため、一人一
社制見直しのメリットが出やすい状況ですが、今後また人手不足になったとき
に「やはり一人一社制の復活を」という話にならないよう気をつける必要があ
りそうです。

■2002/03/04 (月) 佐藤工業、ついに更正法申請

 ゼネコン準大手の佐藤工業がきのう会社更正法を申請したそうです。報道で
はあからさまには言われていませんが、簡単に言えば倒産したということでし
ょう。世間で広く知られているとまではいかないかも知れませんが、佐藤工業
といえばトンネル工事では世界でもトップクラスの技術力を誇っているだけに、
まことに惜しいといえば惜しい倒産です。実際、最近でも、営団地下鉄南北線
の工事で世界最大のシールド・マシンが使われたという報道もありました。し
かし、それが佐藤工業の技術力であったことまではあまねく知られているとは
言えません。
 なんとか自力再建への命脈を保っている他のゼネコンに比べると、公共事業
への依存度の高さが運命を分けたというところなのでしょうか。であれば、経
済原則のもとでは致し方のなかったことなのかも知れません。そう言えば、昨
年倒産した青木建設も、公共事業への依存度の高さが致命傷となったと言われ
ていました。佐藤工業は、99年には世界最長の陸上トンネルとなる東北新幹
線八甲田山トンネルの工事を受注したとのニュースもありました。今、公共事
業見直しのシンボル的存在のひとつとされる整備新幹線工事の、自社技術を最
大に生かせる仕事を受注しながら、ついに完工することなく倒産したというの
も、公共事業頼みだった経営を象徴するかのようです。
 それにしても、惜しいのは佐藤工業の技術力です。青木建設もまた、埋め立
て工事の技術力では世界有数をうたわれた企業でした。わが国国内の需要は後
退していると言っても、世界にはまだまだその技術を必要とする国は多いはず
です。こうした技術力を生かせる形での再建を期待したいものです。

                 






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