■2002/03/22 (金) フィリップ・ホルツマンついに倒産

 ドイツ国内に1万人以上の雇用を有する建設業大手のフィリップ・ホルツマ
ンがついに倒産したそうです。もともと同社は99年にも経営危機に陥りました
が、シュレーダー首相みずから渋る銀行を説得するとともに、政府自身も大規
模な金融支援を行ってなんとか延命した経緯がありましたが、昨年に入ってド
イツ国内景気が後退したこともあってふたたび業績悪化、今回はついに政府も
見放したということのようです。大手ゼネコンがこういう潰れ方をするのは、
とても外国の話とは思えません。
 これに限らず、ドイツがおかれている状況は実は日本とよく似ているように
思われます。まあ、バブル崩壊とデフレにともなう不良債権の山といった問題
はないわけですが、それでも失業者が400万人を超えて雇用失業情勢が深刻
なこと、財政赤字が急速に増大していて財政出動の余力がないこと、そして金
融機関が経営不振で、営業経費の削減や自己資本比率の引き上げなどが求めら
れていることなどは、かなりわが国と共通しているように感じます。
 今回も、なんとかつぶさずに再建したいということで、メインバンクである
ドイツ銀行が、債権放棄や黒字子会社の売却などを中心とした再建計画を他の
銀行に提案していたということですが、さすがに2回目の今回は、ドレスナー
銀行などの大手行も支援の継続は呑めなかったということでしょう。また、そ
もそも99年の救済劇は雇用情勢の悪化を食い止めるためということで行われた
わけですから、さらに失業者が増加している今回は一層救済の必要性が高かっ
たはずなのですが、それでも救済を避けたのは、「過剰な介入」という市場の
批判もさることながら、財政赤字が増大していることにもよるのでしょう。ち
なみにシュレーダー首相は声明を発表し、「一部銀行が救済策を拒否したのは
非常に残念。下請けも含め従業員の雇用ができる限り維持されることを期待す
る」と述べたそうです。
 ちなみに、ドイツでは数年前からビジネスマンを主な購読層とする経済新聞
が「ドイツはダメだ」キャンペーンを精力的に行っているとか。これもどこぞ
の国のなんとかいう経済新聞と似ていて笑えますが、ドイツでは、アメリカだ
けではなく「日本企業の(配置転換や時間外労働などの)柔軟性にも学ぶべき」
と言われているのだとか。やれやれ。

■2002/03/19 (火) ilo結社の自由委員会の勧告

 岡山県教組が、県が平成9、10年の2年にわたり、人事委員会勧告を完全
実施しなかったことについて、労働基本権侵害をilo結社の自由委員会に申
し立てていた事件で、同委員会は県教組の主張にそった勧告を行う方向だとい
うニュースが入ってきました。正式には5月末の委員会で審議し、6月21日
のilo総会のタイミングで公表されるようです。
 人事委員会勧告は議会の議決を経て実施されるわけですが、この両年、岡山
県議会は県財政の窮乏を理由に実施時期の延期(9ヶ月)を決定しました。県
教組はこれが労働基本権侵害にあたると申し立てていたわけです。旧自治省は、
日本国内法の定める民主的手続きに則って実施したものであって問題ないとの
立場をとりましたが、容認されなかったもようです。
 まあ、もともとiloは、交渉権、争議権などの労働基本権を制約する場合
には、労働条件等における利益について別途の保護の手段が講じられなければ
ならないという立場ですし、公正労働基準の確保がilo自体の大きな役割に
なっているわけですから、おおむね労働よりの判断が行われることが多く、そ
ういう意味では今回の勧告も予想される範囲内のものと言えそうです。
 ちなみにこの2年の人事委員会勧告はあわせて約8600円。その9ヶ月分
ですから一人当たり約77400円ということになります。岡山県教組の組織
は約2500人だそうですから、総額約2億円弱ということになります。岡山
県の予算規模は平成13年度で補正予算もあわせて約8500億円ですから、
2年で2億円の倹約は小さいような、けっこう大きいような、悩ましいところ
ではあります。ただ、これをiloくんだりまで持ち出されて、相手をさせら
れた旧自治省はまことに迷惑だったでしょう。
 もちろん、この勧告はなんらの拘束力があるものではありません(拘束力が
あったらさすがに内政干渉でしょう)。県教組としても、iloに持ち出せば
まずまず有利な結論になることは読めていたとしても、それが必ずしも実入り
に結びつくかどうかわからないわけで、よくもまあ手間ヒマかけるものだと感
心してしまいます。余計なお世話ですが。

■2002/03/19 (火) 中小企業は採用も依然として難しい

 今朝の読売新聞の記事によれば、東京商工会議所が会員企業の新卒採用動向
調査を実施した結果、この4月の新卒採用を計画した企業の64%が予定の人
数を確保できていたそうです。東商の調査なので、中小企業中心と考えてよい
でしょう。
 新卒の内定率の低さが問題になっていますが、それでも中小企業では採用計
画のある企業の4割近くが人材を確保できていないという結果で、一人も確保
できなかったという企業も6%あるということですから、依然として中小企業
の新卒採用には困難な状況があると云えるでしょう。最近の採用に関する悩み
を訊ねた設問でも、最も多かったのは「応募の減少」だったということです。
 その一方で、企業としてもいい人材がいなければ無理に採用しない、という
傾向も見られるようです。バブル期のように、なにがなんでも人手を確保しな
ければ生産→販売→代金回収が間に合わずに人手不足で黒字倒産などというよ
うな状況ではないですから、企業の要求レベルも上がっており、ミスマッチが
発生しているといえるでしょう。
 特に、中小企業にとっては1人のプレゼンスが大きいですから、ますます慎
重にならざるを得ません。大企業であれば、ひとりふたりなら変な奴を採用し
てしまってもどこかで吸収できるでしょうが、中小企業ではその1人が大変な
お荷物になりかねないだけに、「いい人がいなければ見送ろうか」ということ
になるのでしょう。今回の調査でも、採用が予定を下回った理由として47%
が「いい人材がいない」と回答したそうです。また、最近中途採用を行なった
企業は78%にのぼっているそうですから、特に新卒にこだわらず、いい人材
であれば中途でもかまわないという考え方がうかがわれます。そういう意味で
は、新卒者にとっても厳しい状況であるといえそうです。
 もっとも、「いい人」のハードルがそれほど高いかというとそういうことで
もなく、企業が求める要件は「積極性」が8割、「常識・マナー」「健康・体
力」が6〜7割と多くなっています。たしかに、これでも仕事なれしている中
途採用の方が有利でしょうが、それにしても新卒にとって特にきびしい条件で
はありません。この要件をみるかぎり、仕事を教え込んで「叩き上げよう」と
いう企業の姿勢は変わりないようなので、それなら新卒のほうが望ましいはず
です。となると、やはり新卒のレベル低下が心配される結果といえそうです。

■2002/03/18 (月) 中小企業の両立支援の難しさ

 厚生労働省と日経連の外郭団体である(財)こども未来財団が実施した子育
てと仕事の両立支援に関する調査によると、中小企業の8割が具体的な施策を
とっていないのに対し、従業員は8割が必要性を訴えていることがわかったと
いうことです。両立支援策は行政もさかんにprを展開していますが、まだま
だ大企業が中心の取り組みにとどまっているといえそうです。
 内容的にも、現状は家族手当などが中心となるにとどまっていますが、従業
員の要望が多いのは子どもの看護休暇やフレックスタイム、あるいは子どもの
休み(夏休み)にあわせて休める制度などであることがわかったということで、
これも中小企業らしい結果であると言えそうです。一人の従業員のプレゼンス
が大きいだけに、企業としてはあまり休務や勤務時間が不規則になるのは困る
でしょうし、逆に働く人としてみれば、拘束度が強い分だけ自由度を求める声
が強くなるということになるのでしょう。大企業であればそれなりに職務を柔
軟に調整できるのでしょうが、中小企業ではなかなかそうもいかず、難しい問
題であるといえそうです。どうしてもということになれば上司がカバーするこ
とになるのでしょうが、それも言うほど簡単ではありません。
 また、子育てと仕事の両立にあたっては、「仕事のやりがいや昇進も重視す
る」という人が、男性で8割、女性でも5割以上を占めたということです。ま
あ、アンケート調査で訊ねられればそう答えるのだろう、という結果なのだろ
うとは思いますが、それにしても昇進までさせなければ両立支援ではない、と
いうはいかにも手前勝手という感じがあります。もちろん、育児をしながら
(に限らず、休みを取ったり勤務時間が短い中で)すばらしい仕事をして成果
を上げる人もいますから、そういう人が昇進することは当然です。とはいえ、
両立支援をする以上は、この人は休みが多くなるだろう、勤務時間も短くなる
だろうということで企業は仕事を割り振るわけで、その結果として成果があが
らず昇進が遅れたら「両立支援ではない」ということでは組織がもたないでし
ょう。
 もっとも、うっかり休めば周囲に仕事のおいしいところをつまみ食いされか
ねない大企業にくらべれば、中小企業は一人のプレゼンスが大きいだけにやる
気次第では短い時間でもいい仕事ができる可能性は高いのかも知れません。

                  






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