|
■2002/04/12 (金) 相も変らぬ役人天国 山口県の下関市役所で、特別昇給を順送りに実施することで、いわば「隠し ベア」ともいうべき賃金引き上げを行っていることが判明しました。 特別昇給はもともと国の制度で、成績のよい公務員に褒賞的に1年前倒しで 賃金表のランクアップ(定昇に相当)を行うものです。たとえば、警察官が指 名手配犯を逮捕するなどの「お手柄」に対して、民間であれば特別ボーナスを 支払うかわりに、臨時に昇給を行うわけです。年間通じて全体の15%の人が 対象になるので、それほど珍しいものではありません。地方自治体の多くも、 国にならって特別昇給制度を持っています。 下関市の場合は、職員の30%を対象に6ヶ月前倒しする制度となっており、 現実の運用としては、成績とは無関係に全体を2分または3分して(年度によ って違う)、順送りで特別昇給を行ってきたとのことです。 まあ、前倒し時期も3ヶ月に止めていたケースもあったということであり、 必ずしも「30%を対象に6ヶ月」の範囲を逸脱するものではないかも知れま せん。しかし、本質的に成績優秀者、特に「お手柄」のあった人への褒賞であ るべき特別昇給を、原則全員一律に実施していたというのでは、これはすでに 褒賞とは言えず、隠しベアであると言われても致し方のないことと思います。 市は「勤怠や態度が著しく劣るものは対象としておらず、全員一律ではない」 と弁明しているそうですが、さすがに通用する言い訳ではないでしょう。 さらに市は「公務員の仕事は業績評価が難しく、全体の士気が上がればと実 施した」とも弁明しています。たしかに、民間企業と異なり、営利を目的とし ていない公共部門では業績の評価が難しいことは認めないではありません。と はいえ、だからといって全員一律ではむしろモラルハザードが起こるのが普通 であり、士気が上がるどころの話ではないはずです。ましてや業績評価を前提 とする特別昇給まで一律に行ったというのではますますモラルハザードが広が るでしょう。 このリストラとベアゼロのご時世にまことにけっこうなお話で、公務員の就 職人気が高いのもむべなるかなという感じです。なんとかしてほしいものです。 ■2002/04/11 (木) メーデー中央集会、軟派路線に逆戻り 大手の春闘もあらかた終結し、そろそろメーデーのシーズンになりました。 連合のメーデー中央大会は4月27日に開催される予定とのことで、昨年に続 いて「4月のメーデー」となります。まあ、ゴールデン・ウィークの真っ最中 に動員されたのではかなわん、というのが組合員の声の大勢だというのですか ら、形式にこだわるわけにもいかないということでしょう。ある意味時短の成 果とも言えるわけで、原理主義的にならない柔軟性はそれなりに立派というべ きでしょう。 さて今年のメーデー中央大会ですが、先日の毎日新聞の報道によれば、例年 開催される「式典」(集会ですな)に加え、NPOにも参加を求めて、「祭典」 も開催するとのことです。労働関係ではないNPOに参加を求めるのは、民主 党つながりということになるのでしょうか。ちなみに結果として鈴木宗夫氏を 追い詰めることになった「ジャパン・プラットホーム」も招待されるとか。 そのほかにも、展示や活動紹介の場を提供したり、「フリーマーケット」を 開催したり、「青空元気市場」や「ちびっ子広場」なども併設するということ で、これらも大いにNPOが活躍することになるのでしょう。もちろん、これ が組合員のファミリーでの参加を促そうという一石二鳥作戦であることは容易 に想像されるところです。 こうした試みは一昨年までも行われており、アマチュアバンドの発表会やら、 労組の自主企画による模擬店の出店などの娯楽性を高めることで動員をはかろ うとされていました。地方では歌謡ショーの開催などで動員をはかる例も見ら れます。 昨年は「これではいかん」「お遊びのようなメーデーでは『本気さ』を疑わ れる」ということで「硬派」の中央大会となったわけですが、今年は従前の路 線に戻ったということになります。NPOにも門戸を広く開くふところの深さ を見せたというところでしょうが、組織縮小の一途の中でいささか苦し紛れの 手段という感じもしないではありません。まさか、路線変更の口実がNPOと いうことはないでしょうが。 ■2002/04/10 (水) 読売と朝日 今朝の読売新聞に、PR版「すくーぷ」の2002年4月号が折り込まれて いましたが、これが強烈な朝日新聞との比較広告で目をひきました。見出しは 「デフレ進行阻止へ的確な提言」「朝日との主張の違い明らか」となっており、 2000年7月3日付読売新聞の社説「ゼロ金利 解除は前提を慎重に見極め て」を再掲しています。ゼロ金利解除に「理由はどこにもない」と反対してい るこの社説を、同年7月5日付朝日新聞の社説の抜粋(「早期の政策転換を必 要としている」とゼロ金利解除を支持)と対比させたうえで、「その後、日本 銀行は…ゼロ金利を解除しましたが、デフレがより深刻化する中、昨年3月、 事実上ゼロ金利を復活させ、今年2月28日には追加的な金融緩和の実施を決 めました」と、自身の先見性を主張しています。 ゼロ金利解除については、当時も日銀以外にはほとんど賛同者はいないに近 い状況でしたから、これだけで先見性を誇られてもという感じはしますが、そ れにしても朝日が誤りを犯す典型的なパターンにはまっていて笑ってしまいま す。要するに、ゼロ金利で「お年寄りが困っている」「企業、特に銀行が儲か っている」したがって「けしからん」という、まことに単細胞な発想で、それ が社会正義だと信じ込んでいるのですから滑稽です。 とはいえ、この一件だけを取り上げて悪しざまに書かれたのだとすればいさ さか公平に失するかも知れませんが、実際には、読売は昨年8月、1950年 代から現在に到るまで、読売と朝日の意見が対立した重要案件についてのそれ ぞれの社説を多数併載し、いかに読売の判断が適切で朝日の判断が誤っていた かを徹底的に例証した本を発行しているのですから念が入っています(「読売 VS朝日 社説対決50年」読売新聞論説委員会編、井沢元彦解説、中公新書ラク レ、2001年8月発行)。読売が作れば読売有利になるのは当然ですが、それに しても戦後の主要なトピックはほぼ網羅されています。この本は「不公平とい うなら、朝日も同じような本を作ればよい」と主張していますが、たしかにそ のとおりです。そして、朝日から同じような本が出た形跡はありません。 まあ、朝日の(良く言えば)理想主義的な論調からすれば、なかなか適切な 意見は述べられないのも致し方のないところでしょうが。 ■2002/04/09 (火) 負け組銀行のシステムトラブル 発足したばかりのみずほ銀行が大規模なシステムトラブルに苦しめられてい ます。統合前各社のシステム部門とシステム関連の外注先の問題という部分は 大きいのでしょうが、それにしてもベスト・アンド・ブライテストに近い人材 を集めてきたにしてはお寒い現状です。 もう一つ統合によってできたみずほコーポレート銀行の方では、特段のトラ ブルもなく順調に業務が進んでいるようです。何と言っても処理量が少なくシ ステムの負荷が低いというのが大きいでしょうが、大企業・金融機関相手を中 心としているだけに、事前のテストなども個人取引中心のみずほ銀行に較べて 十分慎重に行なわれていたのではないかという気もします。 私が想像しているのは、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行との間に行員 の士気に違いがあるのではないか、ということです。みずほフィナンシャルグ ループのホームページを見ると、みずほ銀行は「個人、国内一般事業法人、地 方公共団体を主要なお客さまとする銀行です。…高付加価値の総合金融サービ スを提供する国内最強のコマーシャルバンクを目指してまいります。」となっ ていますが、要するに住宅ローンや中小企業の運転資金をやるということでし ょう。一方、みずほコーポレート銀行の方は「大企業・金融法人およびそのグ ループ会社、公団・事業団ならびに海外の企業を主要なお客さまとする銀行で す。最先端の金融技術と情報技術を駆使した世界最高水準のソリューションを 通じて、…国内外コーポレートファイナンスのプロフェッショナルバンクの実 現を図ってまいります。」となっています。要するに、今回の再編は、行員に とってはコーポレート銀行と持株会社のホールディングスが「勝ち組」、みず ほ銀行が「負け組」ということになりそうです。各社の人員などははっきりし ないのですが、みずほ銀行が全国に566支店を有するのに対し、コーポレー ト銀行は18拠点ですから、圧倒的多数の敗者と少数の勝者とに色分けされた ことでしょう。こうした中で、「負け組」行員のモラルダウンが今回のトラブ ル発生、あるいは復旧遅れなどの遠因になっているという可能性は、本当にま ったくないのでしょうか。 もちろん、効率を追求すればこうした組織になるのでしょうし、組織の中で は勝者は常に少数であることも事実でしょうが、それにしてももともとの人材 の質の高さを思うと考えさせられるものがあります。 ■2002/04/08 (月) 郵政事業の合理化計画具体化 この週末に、郵便配達業務の合理化計画が報道されていました。 現行の郵便配達は、「通常」「速達」「小包」の3系統に分かれて行なわれ ているのだそうですが、これを書留、速達、小包といった受取人に職員が直接 面着で手渡す「対面配達」と、普通郵便のような、郵便受に投入する「受箱配 達」の2系統に整理統合し、受箱配達を非常勤職員に移行していくことで人件 費を削減しようということのようです。今年度中に全国128の郵便局で試験 的に開始し、4年後には都市部を中心に集配局の半分程度で導入する計画だと いうことで、これにより、2005年には4200人の常勤職員を7000人 の非常勤職員で代替でき、年間160億円の人件費節減となるとのことです。 ちなみに非常勤職員の人件費は常勤職員の3分の1とか。 もともと郵便局は時間帯による繁閑差が大きく、繁忙時間帯には非常勤職員 を投入して対応しているわけですが、その活用をさらに拡大しようということ のようです。そもそも、ボトム時の要員がすべて常勤職員でなければならない 理由はないわけで、むしろ非常勤でもできる仕事をレートの高い常勤がやって いたことの方がおかしいと考えるべきでしょう。 もともと郵便事業は赤字転落で合理化に迫られ、人員削減計画も発表されて いたわけですが、今回いよいよかなり具体的で大規模な計画が打ち出されたこ とになります。これはもちろん、赤字転落だけではなく、郵便事業への民間の 参入が解禁されて競争が始まるということも大きく影響しているはずです。競 争政策の効果が如実にわかる事例であるといえると思います。 さらに進めれば、小泉首相の持論でもある郵政民営化ということになるので しょう。こちらはさらに郵政事業に大きなインパクトを与えるものと思われま す。実際、「郵政民営化」が現実味を帯びはじめてからというもの、郵便局の サービスの向上ぶりは目を見張るものがあります。現実に民営化しなくても、 「されるかも知れない」という恐怖感だけでも大きな効果があるようです。い ずれにしても、親方日の丸のぬるま湯体質を改め、常に緊張感を持って業務に あたってほしいものです。 |