■2002/04/19 (金) 公募で管理職のガラガラポン?

 イトーヨーカ堂が、役員を除く全ての管理職ポストを対象とした社内公募を
実施するということで話題になりましたが、報道によれば、全社で約1000人の
応募があったそうです。公募対象は本部の部長、店長、統括マネジャー(次長
クラス)、マネジャー(課長クラス)の全部で約3800ポスト、応募資格は勤続
2年以上の正社員、さらにマネジャーに限り勤続2年以上のパート社員も有資
格ということで、正社員で約1万5000人、パート社員では約2万〜3万人(な
ぜか報道によって幅がある)ということでした。年齢、性別による違いはなく、
目的は意欲と能力のある社員を登用し、組織を活性化することだとされていま
す。すべての資格について公募を行なうというのは非常に珍しいわけですが、
あらゆる管理職がポストを奪われる可能性があるということで、危機感を持た
せるとともに、下克上のチャンスを増やしてポスト詰まり感を緩和しようとい
うねらいもあるのではないかと思われます。
 さて、その結果、約1000人の応募があったわけですが、注目されたパート社
員は50人ということで、これを多いと評価するか少ないと評価するかは微妙
なところです。2万〜3万人の対象者ということを考えればかなり少なくも思
えますし、そもそもパート社員の圧倒的多数は管理職志向ではないことを思う
と、案外出てきたなというところかも知れません。
 一方、ということは、約1000人のほとんどは正社員ということですから、
15000人中の1000人ということで、こちらはなかなか意欲的な応募だったとい
えそうです。やはり正社員はポスト志向、キャリア上昇志向が強いということ
でしょうか。
 とはいえ、問題はどれだけ実際に応募を採用し、人事異動を行なうか、とい
うところにありそうです。さすがに、約1000人すべてを採用したら組織が麻痺
するでしょうし、そもそも成り立たない重複応募も多いでしょう。それでも、
鳴り物入りで実施したこともあり、かなりの数は行なうのではないでしょうか。
とりわけ、目玉であるパート社員については、正社員への見せしめの意味もこ
めてかなりの採用があるような気がします。
 本来の目的である活性化がどのくらい果たせるのか、あまりにポスト争いが
激しいとかえって活性化しない心配もあり、関心が持たれるところです。

■2002/04/18 (木) あきれはてた「現代の焚書」

 千葉県船橋市の船橋市西図書館で、西部邁氏や渡部昇一氏の著書が大量に廃
棄されたことが問題になっていますが、一昨日の産経新聞にそのリストが載っ
ていました。両氏のほか、藤岡信勝氏や西尾幹二氏など、いわゆる保守系論壇
人の著書に集中しており、西部氏の著書にいたっては、44冊のうち43冊が
廃棄されているというのですから、明らかに作為が感じられる内容です。
 図書館は「貸し出し頻度が低い」「汚れ、破損が著しい」などと説明してい
るとのことですが、貸し出し頻度のデータはないとのことです。さらに、破棄
された本の中には購入後5ヶ月〜9ヶ月という短期間しか経過していないもの
も何冊もあります。これはもはや貸し出し頻度や汚れ・破損以前の問題です。
いかに弁明しようとも、政治的意図があったことは明々白々です。
 先日の日経新聞の「エコノ探偵団」では、出版業界の業績不振の一因が、自
治体財政の困窮による蔵書購入予算の減額にあると報道されていました。その
一方で、やはり長引く景気低迷の影響で伸び悩む家計収入や狭い住宅事情を背
景に、図書館の利用者や貸し出し冊数は一貫して伸びつづけています。住民の
ニーズが高まりつつある中で予算が削減されている状況にあって、政治的意図
で公共物である蔵書を500冊も破棄したというのは、およそ図書館員として
最悪の愚挙であり、私自身、一個の読書家、愛書家として強い怒りを感じます。
 1954年に採択された日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」は、資
料の選択および収集に関し、「多様な、対立する意見のある問題については、
それぞれの観点に立つ資料を幅広く収集する」「著者の思想的、宗教的、党派
的立場にとらわれて、その著作を排除することはしない」「図書館員の個人的
な関心や好みによって選択をしない」と宣言しています。今回の事件を起こし
た図書館員は、この宣言に照らして自らを処するべきでありましょう。そして、
すべての図書館、図書館員がこの事件を他山の石とし、再発の防止に真摯に取
り組んで欲しいものだと思います。
 それにしても納得いかないのは、ほとんどのマスコミがこの事件を黙殺して
いることです。マスコミが真に国民の「知る権利」の実現を社会的使命とする
のであれば、当然報道し、論評すべき事件ではないでしょうか。

■2002/04/17 (水) 「ライオンは眠れない」?

 さる財界首脳が推奨しているという「ライオンは眠れない」という本が売れ
ているそうなので、買って読んでみました。
 あらすじは、ねずみの国のライオン首相がジャジャネコ外相の国民的人気を
背景に「構造改革」を遂行するも、深刻なデフレと不況に見舞われた結果、つ
いに平均30%もの財産税を課す、というものです。寓話で語られるのは構造
改革の部分であるにもかかわらず、言いたいことは「日本は財政破綻状態であ
り、一度クラッシュしなければもうダメだ」という点にあるという妙な本です。
内容的には世間によくある悲観的煽り本と言えましょう。「チーズはどこに消
えた?」よりは害は少ないですが、はっきり言って読むと損します。
 それはそれとして、この手の「寓話本」が最近妙に目立つような気がします。
「チーズはどこに消えた?」がバカ売れした(そして、今はブックオフに山積
みされている。なんでも、在庫が多すぎて一気に店頭に出さないようにしてい
るのだとか)からその路線に追随したということかも知れません。それにして
も、この手の本がこうも売れるというのは、やはりこの手の本の読者層(おそ
らくはサラリーマンが中心)に知的な退化が進んでいるということなのではな
いかと心配になります。
 「チーズ」や、ぺんぎんとくじゃくがどうたらという本(これもつまらない
本ですが)などは、もともと英米流の研修用教材(したがって著者も英米人)
という性格が強いので、ディスカッションに資する寓話というスタイルがとら
れている(実際、「チーズ」はごていねいにさいごにディスカッション事例が
添付されているし、ぺんぎんとくじゃくも解説めいたものがついている)わけ
ですが、「ライオンは眠れない」は教材ですらありません。
 イメージしやすいたとえ話や、面白い事例などをひきながらの説明には説得
力がありますが、だから正しいということではありません。チーズもぺんぎん
もらいおんも、寓話ではなく普通の(?)文章で語られたらおそらく「世の中
そんな単純じゃありませんぜ」という程度の内容です。それをこうした目新し
い寓話で語られるといとも簡単に納得してしまう。空恐ろしいまでの知的退化
を感じるのは私だけでしょうか。

■2002/04/16 (火) 5%ベダでリストラ底打ち

 新聞報道によると、日立製作所の労使は向こう1年間賃金を平均5%カット
することで合意したとのことです。今年の春闘では、日立をはじめとする電機
各社は「賃金制度維持」の回答をしていますが、今回の賃金カットも、回答に
従って定昇を行なったあとの賃金を5%カットするということですから、定昇
が2%として、個人レベルでは3%の賃金カットということになります。
 デフレ下という異常事態での春闘で、将来に向けて賃金制度は維持するとい
う意志を示した上で、デフレに対応すべくベダに踏み切ったというのが実情に
近い理解なのではないかと思います。デフレもいつまでも続くわけはない(続
いてもらってしまっては困る)のですから、ベダは一時的なものでいい、した
がって1年間の期限つきというのも理屈が通っているように思います。
 その一方で、別の新聞報道によれば、日立の主要半導体生産拠点3向上で実
施していたワークシェアリング(交替制勤務の変更による)が打ち切られたそ
うです。在庫調整が進み、稼働率が回復しているということで、こうした状況
もベダを1年にとどめた理由のひとつかも知れません。ちなみに、さらに別の
新聞報道によれば、日立ではワークシェアリングを実施した工場では兼業禁止
規定を一時緩和してワークシェアリング対象者の兼業を認めていましたが、こ
れも中止したとのことです。実際に兼業をしたのは、対象者2000人のうちの数
人にとどまったとか。
 半導体不況とデフレのダブルパンチで苦境にある電機各社ですが、おそらく
は日立の5%ベダが大手では最も厳しい対処であったのではないかと思います。
5%ベダが労使の話し合いで実現できてしまうことも驚異といえば驚異ですが、
これだけの不況を、それでなんとか乗り切れるというのもさすがの底力と云え
るでしょう。そもそもは成長分野としての期待がかかる電機産業、ぜひとも力
強い復活を期待したいものです。

■2002/04/15 (月) 希望退職の実態は

 週末の産経新聞に、最近の希望退職をまとめた記事が掲載されていました。
それによると、松下グループでは8000人の予定に対して13000人、日立グルー
プでも4000人の予定に対して9000人と実績が大幅に上回り、特に予定数を示さ
なかった東芝グループでも8000人が募集に応じて退職したとか。企業にとって
は即効性ある収益対策となるだけに、記事は今後も希望退職を募集する企業が
相次ぐだろうと予測しています。まあ、確かに実施した年はかなりの額の特損
(とりわけ電機各社のような手厚い割増退職金を支給した場合は)を計上しな
ければなりませんが、それ以降はかなりの幅で人件費が減少するわけですから、
かなり即効性がある施策であると云えるでしょう。
 さて、退職者の内訳を見ると、やはり50代の高齢層が多いようで、電機各
社では7割以上が50代だったようです。他の例を見ても同様で、これは企業
によっては募集対象者を中高年や長期勤続者に限定したケースも多いことにも
よるのでしょうが、若年者であっても昨今の厳しい雇用情勢下では好条件での
転職が難しいということも要因として働いているでしょう。ちなみに、勤続5
年以上・30歳以上を対象に募集したシチズンでも、大半は50代だったとい
うことです。実際、電機各社では割増退職金が最大で30ヶ月ときわめて手厚
いことから、これを機に早期退職して引退しようとか、あるいは低賃金でもも
っと負担の軽い仕事に転職しようとかいう高齢者は多かったものと思われます。
実際、通常の退職金に加えて30ヶ月分の割増退職金ということになれば、そ
れで住宅ローンを完済しても相当額を手元に残せる人も多いでしょう。ならば、
収入が半減しても十分やっていけるというケースもかなりあるはずです。高齢
者なので正社員(長期雇用)にこだわる必要もなく、収入も大きく減っていい
ということであれば、いかに雇用情勢が厳しいとはいえ、それなりに転職も可
能でしょう。
 こうして考えてみると、希望退職というのは、たしかに即効性もあり、効果
も確実に期待できますが、繰り返し実施できる施策ではないということも言え
そうです。仮に2度めの希望退職が必要になった場合には、希望退職に応じや
すい人はすでに退職してしまっているからです。限界費用は逓増するという常
識がここでも通用しているということでしょう。

                 






バックナンバーにもどる