■2002/05/10 (金) 敬宮さまをお抱きになる皇太子殿下

 先日、皇太子殿下ご夫妻が内親王様ともども那須の御用邸に静養に出向かれ
たことが報道され、敬宮さまのまことに愛らしいお姿がたいへんに喜ばしいニ
ュースでした。
 そのときはまったく気にしなかったのですが、ある会合である人から、これ
らのニュース、宮内庁発表の報道写真や、新幹線でご移動の際のテレビ画像な
どなど、すべて皇太子殿下が敬宮さまを抱かれていた、ということを指摘され、
ああそういえば、と思い当たりました。
 古典的な皇室の伝統からいけば、ここは当然母親である雅子妃が抱かれるの
が通常でしょうから、あえて皇太子殿下が抱かれた写真などを公表されたのは、
殿下ご自身が敬宮さまの育児に参加なされるという意思表示でありましょう。
かなり大胆に伝統を踏み越えておられるわけでしょうから、さぞかし内部で大
きな議論があったのではないかと推察されますが、最終的にこうした形になっ
たのは、間違いなく殿下ご自身の強いご意志ゆえのことと思われます。
 考えて見れば、殿下ご自身が、それまでの皇室のしきたり(乳母が育てる)
をこえて、今の皇后陛下がご自身でお育てになられたわけで、そのようにお育
ちになった皇太子殿下にとっては、今度は妃殿下だけでなくご自身も育児に参
加されることも、さほど違和感のない、むしろ自然なことであるのかも知れま
せん。
 わが国は今、今後の国のあるべき姿として「男女共同参画社会」を掲げ、ゆ
っくりながらも少しずつその理想に向かいつつあります。こうした中で、皇室
自ら率先して国民に範を示すことは、まことに意義深いことであると感服のほ
かありません。
 後日の報道では、妃殿下がお抱きになっているお姿もありましたが、それも
ともどもお育てになるということで自然なことと考えたいと思います。

■2002/05/09 (木) 経済活性化に夏休みを分散化

 経済財政諮問会議が取りまとめた経済活性化戦略の中に、観光産業を活性化
するために夏休みを分散化して、一部を「秋休み」とすることが織り込まれた
そうです。
 わが国では年次有給休暇の取得率が低く、しかも病気などのケースを除けば
ほとんどの場合は1日かせいぜい2日単位の取得で、なかなかまとまった休み
が取られにくいということは、ずっと指摘されてきました。その一方で、年末
年始やお盆休み、あるいはゴールデンウィークなどで一斉に休むため、道路に
しても各種施設にしても観光地にしても猛烈な混雑と高価格になることも繰り
返し指摘されてきました。実際、ピークが集中すればするほど閑散期が長くな
り、設備や要員の稼働率が低下して、結果として高コストとなることは目に見
えています。
 それでも、まとまった休みが取れず、休むときは集中するというのは、いろ
いろな理由があってのことでしょうが、最大の理由のひとつが「こどもが学校
を休めない」ということであることは間違いありません。
 そういう意味では、夏休みを分散化して、たとえば7月、8月、9月にそれ
ぞれ3分の1づつ休むという形にして、企業の夏休みも、こどもの夏休みに合
わせて個別に指定する(年次有給休暇の計画付与という手もある)ようにすれ
ば、まとまった休みが取れる一方で、混雑も緩和され、一石二鳥といえるでし
ょう。さらに、これで移動や設備稼働の効率が高まれば、コストも下がってよ
り満足度も高まるでしょう。観光産業に限らず、例えば夏休みに受験勉強の集
中講座を開催する進学予備校なども、分散されることで効率化が進むかも知れ
ません。
 もちろん、一斉に休むからこそ効率的だという部分も必ずあるわけなので、
いいことばかりではないのも当然でしょうが、それにしても、一斉に休んで一
斉に働くというわが国の働き方、一度考え直してみてもいいのかも知れません。

■2002/05/08 (水) オランダで極右政党党首暗殺

 連日のヨーロッパ極右ネタになってしまいますが、オランダの極右政党「フ
ォルタイン党」のピン・フォルタイン党首が暗殺されるというショッキングな
ニュースが飛び込んで来ました。オランダでは15日に総選挙を控えており、
その選挙活動中の事件だったということです。
 フランスだけではなく、オランダでも、失業と治安悪化の元凶は移民であり、
移民を排斥して自民族を優先すべきだと主張する極右政党が伸長しており、他
にデンマーク、ベルギーでも勢力を拡大しているのだそうです。オランダでも
日本と同様、既存政党の支持が伸び悩んでおり、フォルタイン党はそうした中
で支持を伸ばし、3月に行なわれた地方選挙では、地元ロッテルダム市で与党
労働党を上回る35%の得票を獲得したとのことです。今回の総選挙において
も、下院150議席中、15〜20議席前後を獲得すると予測されており、オ
ーストリアのように、極右政党が連立政権入りする可能性もあるとされている
ようです。ちなみに犯人は「オランダ国籍の33歳の白人、左翼活動家」と発
表されているとか。
 オランダについては、ワークシェアリングの先進国ということで、経済が順
調ということもあって、わが国にはこのところかなり美化された伝えられ方が
されてきた感があります。さすがに、最近ではだいぶ実態に近い紹介も増えて
きていますが、それでも、失業と治安悪化によって低所得層を中心に極右勢力
が拡大しているというところまでは、なかなか生々しくは紹介されてこなかっ
たように思います。もちろん、それがすべてだというのも誤った見方でしょう
が、それにしても極右が国会の1割以上を獲得する勢いで、その党首が暗殺さ
れるというのは、オランダが決して無批判に受け入れられるモデルではないこ
とを明らかに示していると言えないでしょうか。
 少なくとも、オランダのワークシェアリングを礼賛し、返す刀で日本のワー
クシェアリングを切って捨てるような論者が減ることを期待したいものです。

■2002/05/07 (火) フランス大統領選で現職が圧勝

 極右政党「国民戦線」のルペン候補が決選投票に進んだことで注目を集めた
フランスの大統領選挙ですが、保守・共和国連合の現職シラク候補が82%の
圧倒的な得票を集めて当選しました。まずは順当な結果といえると思いますが、
万が一の極右政権誕生が回避されたことを喜びたいと思います。
 第1回投票で、大方の予想を裏切って、ルペン候補がジョスパン候補(当時
首相)を上回る得票を集めたため、決選投票ではジョスパン支持層をはじめ左
右の主要政党や労組、各種団体がほぼ一致して全面的にシラク氏を支持したた
め、このような大差の結果が出たということです。とはいえ、それだけの反極
右キャンペーンにもかかわらず、ルペン候補も第1回投票から得票率・得票数
とも伸ばしているということですから、極右支持も定着していると見ざるを得
ないのでしょう(第1回投票では極右の候補がもう一人いたらしく、極右の合
計で見ると得票率はダウンしているようですが)。
 ちなみに、フランスでの世論調査によると、いわゆるブルーカラー労働者の
31%がルペン候補に投票したのだそうです。フランスは移民の増加によって
治安問題が深刻化しており、とりわけ移民が集中的に居住する都市周辺の治安
悪化はきわめて重大な状態にあると言われています。加えて、移民の増加に引
っ張られる形で貧富の格差が拡大しているともいいます。これに対して、現政
権は所得格差是正に有効な手段を打ち出せず、移民対策としてもフランス社民
主義の伝統的な考え方である人権擁護と同化促進を繰り返すばかりだったとい
うのですから、現に貧困と治安悪化に苦しめられている層が移民排斥などを主
張する極右支持に流れていくのもある意味では当然だったという批判もあるそ
うです。
 それにしても、今後の経済活性化策として、フランス型ワークシェアリング
として注目された「週35時間制」の緩和が検討されているというのが注目さ
れるところです。経済界からは週35時間制が国際競争力を失わせ、経済を停
滞させると批判されてきたわけですが、今回いよいよその声に耳を傾けざるを
得ない状況になってきたということでしょう。

(5月13日から5月17日まで、管理人出張のため、「吐息の日々」は
    お休みさせていただきます。次回は5月27日に配信する予定です)





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