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■2002/06/07 (金) 「狙い撃ち」と「駆け込み」 今日、国立市のマンション建設問題訴訟の二審判決が東京高裁で言い渡され、 「マンションは建築基準法に違反しない」として東京都の逆転勝訴となりまし た。順当な結果といえましょう。 この事件は、99年に業者が14階建て・高さ44mのマンションの建設を 計画し、都の建設許可を得ましたが、これに反対する住民の意を受けて、市が 当該地域の建築物の高さを20m以下に制限する条例を定めたことが発端です。 これは明らかにこのマンションに対する「狙い撃ち」の条例で、これに反発し た業者は、施行時に建築中の建物には条例が適用されないことから、翌年2月 の条例施行の前に着工しました。 これに対して、反対派住民が、都多摩建築指導事務所に条例の高さ制限を超 える部分の撤去を業者に命じる命令を出すことを求める訴訟を起こしたのがこ の裁判です。一審判決は、条例施行時には基礎工事が始まっていなかったこと を理由に都敗訴の判決を言い渡していました。 一方、業者は市を相手取り、この条例は特定事業の中止を直接の目的として 「狙い撃ち」的に制定されたものであるとして、この条例の無効の確認と、損 害賠償を求める訴訟を起こして対抗しました。こちらはこの2月に条例の無効 確認は退けたものの市に4億円の損害賠償を命じる市敗訴の一審判決が東京地 裁で出て、双方が控訴しています。 そこで今回の高裁判決ですが、大規模な掘削工事が進んでいたことを理由に、 マンションは建築中であり、条例は適用されないとの判断をくだしました。建 築中か否かという判断をとっても、建物の物理的一部がまだなかったことをも って建築中でないとするよりは、基礎工事のための掘削作業が大幅に進んでい たことをもって建築中とするほうが常識的でしょう。 加えて、業者にしてみれば、従来規制の中で適正に手続きを進め、すでに土 地の確保も終わった段階でいきなり条例で禁止されたのではたまらないでしょ う。こんなことが横行するようでは正常なビジネスの遂行はとうていおぼつき ません。ことこの件に関しては、「狙い撃ち」の方が「駆け込み」よりはるか に罪が重いといえるのではないでしょうか。 ■2002/06/06 (木) 鉄鋼労連、隔年ベアに向かう 新聞各紙の報道によれば、2004年から鉄鋼労連がベア要求を隔年にすること を検討しているそうです。あれ、鉄鋼はすでに隔年春闘じゃなかったっけ、と 思ったのですが、今回はベアの実施そのものまで隔年にしようということを検 討しているのだそうです。これまでは、交渉は隔年でも、その交渉でその年と 翌年の二年分を一度に決めてしまい、ベアは毎年実施するという形になってい ました。もっとも、すでに「1年め1000円、2年めゼロ」という回答が出 たこともありますので、ある意味では現状追認と言えないこともないかも知れ ません。 その背景としては、鉄鋼産業が構造的な業績低迷の中にあり、ベアも低額決 着が続いていること、さらには将来的にも高額ベアが獲得できるような高業績 が期待できず、ベアより雇用確保が労組にとって重要な課題になっているとい うことがあるものと思われます。あるいは、そうした中で経営サイドが、二年 分のベアまで決めてしまうことに対して「硬直的」と難色を示し、結果として 交渉上不利になっているとの戦術的配慮もあるのかも知れません。また、なん といっても鉄鋼(特に大手)の賃金水準はそれなりのものを達成しているとい うことも背景にはあるでしょう。加えて、業績反映は賃金ではなく賞与で、と いう経営の主張をある程度容認せざるを得ない、との判断もあるのかも知れま せん。 それにしても、今後経済がインフレ傾向に振れてきたときには、本当に隔年 のベアだけでいいのかというのは心配なところです。もちろん、今後とも大き なインフレに見舞われることはないという判断があるのでしょうが、普通に考 えれば現状のデフレこそ異常なのであり、日本経済の潜在的成長率が3%ある とするなら、年によっては4%、5%というインフレの可能性は十分あるので はないでしょうか。5%のインフレが2年続いたとしたら、ベアが隔年だと家 計はけっこうきついのではないでしょうか。もちろん、そういう事態が起きれ ばその時には毎年ベア要求すればいい、ということかも知れませんが・・・。 はたしてこの動きは、鉄鋼だけでなく他産別まで広がって主流になるのでし ょうか。「隔年春闘」の展開も鈍いことを考えると、あまり広がりを見せると は思えませんが・・・。 ■2002/06/05 (水) 組織防衛もここまでくると 今朝の日経新聞に、国保の保険料未納対策として、日経センターの八代理事 長が「確定申告時に国民年金の保険料納付書の添付を義務付ければ、コストを かけずに未納を減らせる」というアイデアを提案しているという記事が掲載さ れていました。なるほど、国保の保険料を払わなければ確定申告ができないと なれば、これはかなり強力な効果があるでしょうし、普通に考えればごく簡単 に実現できそうですから、かなりのグッド・アイデアのように思います。 これができないのは、記事によれば「税は国税庁、年金は社会保険庁」とい う財務相と厚生労働省の縦割り意識によるものだということです。 しかし、似たような例として、車検のときには当該年度の自動車税の領収書 が必要ですし、そのほかにも、車検にあわせて自賠責保険料や自動車重量税を 納付するようになっています。これにしても、車検は国土交通省、自動車税は 財務省ということになるわけですから、役所が違ってもやればできるわけです。 国保でそれができないのは、おそらく単なる縦割り意識、縄張り意識だけで はなく、多分に組織防衛という意味があるのではないでしょうか。 国税庁と社会保険庁の徴収機能を一本化すれば、徴収する側もされる側も効 率があがり、結果として税収や保険料収入の増加や企業のコストダウンにつな がるという意見は以前から根強くあります。これに対しては、財務省も厚生労 働省も大反対で徹底抗戦の構えで、したがってそれに少しでも近づくようなア イデアは絶対拒絶ということではないでしょうか。 とはいえ、この場合は、財務省と厚生労働省の共管にして、天下りポストも 含めて雇用も減らさず、組織を防衛しつつ統合することも可能なように思いま す。現実に未納などがある以上は、徴収の人手が不足しているとも考えられま す。現状では徴税吏を増やした場合の限界税収はそのコストを上回っていると いう試算もあるそうです。当面は多少の配置転換があっても人員を維持し、効 率化分をすべて徴収活動強化に振り向けても、収入増と企業のコストダウン効 果があれば世論の納得は十分得られるのではないでしょうか。共管がイヤだと いう気持ちはあるかも知れませんが、そういう意識は改めてほしいものです。 いずれにしても、せめて八代氏のアイデアくらいは、なんとか実現できない ものでしょうか。 ■2002/06/04 (火) 一人一社制の見直しはじまる 高卒就職が極めて厳しい中、なにかと議論の対象になっていた一人一社制が 見直される動きが広がっているそうです。日経新聞によれば、今のところ、山 形、茨城、千葉、石川、徳島、沖縄など9県が見直しを決めたのだそうで、残 りの3県がどこかが気になるところですが、いずれにしても地方の就職情勢が 厳しい県が多いように思われます。鹿児島県では県内企業の求人が前年比で7 割減と半減以下ということですから、それだけ厳しい状況になると、できるこ とはすべてやってみようという気持ちもあるのかも知れません。企業サイドに してみても、そこまで極端な買い手市場になれば、学校推薦で採用するよりも、 自由応募でたくさんの応募者を比較して見極めながら採用したいのではないか と思います。そういう意味では、極度に就職が厳しい状況では、一人一社制よ りむしろ自由応募の方が企業と学校の双方にとってメリットがあるのかも知れ ません。 とはいえ、記事も言っているように「人気企業に応募が集中して、かえって 就職率は落ちる」とか、「優秀な生徒が複数企業の内定を獲得して他の生徒の 内定機会を奪う」などの心配があるというのもわかるところです。実際、進路 指導というのは、学生に不人気な業種、企業であっても、その良さを理解させ たり、逆に人気の職種が必ずしも良い就職先でないことを教えるという部分も 大きいわけです。実際、以前ある高校の進路指導教諭に聞いた話だと、女子学 生にはアパレル業界が人気があるのだそうですが、いかにもアパレル業界とい う装いの求人企業が、実は服を作るのではなく服を脱ぐのが仕事だった、など というケースは後をたたないということです。そういう意味では、まだ未成年 の高校生に自由応募ですべて自己責任でやらせるというのは無理ですし、すべ きではないことなのでしょう。 そういう意味では、若干の早期化はやむなしとした上で、まずは一人一社制 での就職活動を行い、その後は自由応募で、という枠組みを作るという方法も あるかも知れません。もちろん、企業がすべて一人一社制で採り、あとはいら ないよ、ということになると成り立たないわけですが、優秀な学生が一人一社 制の内定先を蹴って自由応募で行きたい企業に行く、ということが広がれば案 外可能性もあるような気がします。 ■2002/06/03 (月) 日本経団連発足と労組 さる5月28日、経団連と日経連が合併して「日本経済団体連合会」が発足 しました。われわれ労務屋が「財界労務部」として親しんできた日経連が解散 してしまうのは淋しい話ですが、合併ですからその機能は日本経団連に継承さ れるということでしょう。産業政策、経済政策などとの相乗効果で労働政策に より一層の成果が上がることを期待したいものです。 「日経連タイムス」も「経営タイムス」と改称され、今日その創刊号が送付 されてきました。その記事によると、今回の合併に対して、労組リーダーには 賛否両論あって真っ二つに割れたそうです。カウンターパートが大きく変貌す るわけですから無関心ではいられないというのももっともな話でしょう。いわ く、「労働組合の直面する課題も広がっており大きな経済団体ができたほうが やりやすい」「多くのテーマに労働問題が埋没し手薄になる」とか。 普通に考えれば、相手方が大きくなればそれだけ自分たちの位置づけも上が るということで歓迎するところでしょうが、その一方で、従来は日経連が労使 対等で相手をしてくれていたところが、合併で大きくなったことで自分たちが 格下扱いされたらたまらないというのも本音のところでしょう。まあ、当面は 日経連会長の奥田碩氏が日本経団連会長に横滑りしたので後者の心配は少なそ うですが、その先はどうかはたしかにわかりません。 いずれにしても、まずは自分たちがしっかりしなければ、形は対等でも実質 は対等を維持できなくなるかも知れません。労組も合併が目立ちますが、その 内実を見ると組織規模を確保するためのものが多いように思います。組織率も 低下する一方で、最近では組合員数も減っています。経営サイドの組織に四の 五の言う前に、まずは自らの組織を固める努力が必要ではないでしょうか。 |