■2002/06/21 (金) 米航空大手、賃金カットに踏み切る

 今朝の日経新聞によれば、業績不振に苦しむ米国の航空会社大手では、賃金
カットに踏み切るケースが出てきているそうです。すでにユナイテッドとUS
エアウェイズが労組と合意したほか、アメリカン、コンチネンタル、アラスカ
航空なども追随すると観測されているとのこと。9・11で落ち込んだ旅客輸
送需要の回復の遅れや、企業業績ダウンによる出張旅費の削減に、サウスウェ
ストなどに代表される新興のエアラインとの価格競争が加わり、USエアライ
ンズはすでに連邦破産法11条の適用申請を検討しているということですから、
かなり追い詰められていると言っていいでしょう。資金繰りのためには大幅な
経費削減をふくむ経営再建計画を提示する必要があり、労組としても受け入れ
ざるを得なかったということのようです。
 さてその内容ですが、ユナイテッドはパイロットについては総額で年間約2
億4千万ドルということで、対象者は9200人ということですから、実に一人当
たり2万6千ドル、320万円もの年収ダウンということになります。整備士
などについては10%カットということです。パイロットは何%のカットなの
かは記事からはわからないのですが、整備士と同じ10%だとすると従来の年
収は3200万円。15%としても2000万円を超える年俸ということになります。
パイロットは高収入で有名な職業ではありますが、しかしこれだけの水準を払
っていたのでは価格競争に勝つことはむずかしいでしょう。USエアラインズ
の方はさらに厳しく、2004年まで毎年5%づつ賃金を削減、さらに2009年まで
の間は毎年それ以上の賃下げを行う計画とのことです。5%の賃下げを7回行
えば賃金水準は7割以下になってしまいますが、そのくらい厳しいということ
でしょう。
 逆に、サウスウェストは9・11以降の立ち直りも早く、最近ではむしろ輸
送実績を伸ばしています。サウスウェストはコスト面だけではなく定時運行と
いう面でも非常に優れているとされています。もちろん、賃金水準は大手より
低いわけですが、雇用を保証し、働きやすい環境を整えるといった、むしろ日
本的な手法によってそれをおぎなっているようです。
 米国航空大手の苦境は規制緩和に遠因があるわけですが、その中で好調なの
が日本的な経営の会社であるというのが面白いところです。

■2002/06/20 (木) 日本語の変化か乱れか

 今朝の読売新聞の記事によると、文化庁の国語に関する調査で、日本語の使
われ方が変化しつつある実態が明らかになったそうです。古くからある慣用句
の多くが若い世代で使われなくなっている一方、年配の世代から見れば「国語
の乱れ」と見えるような日本語の新しい用法が、若い世代では抵抗なく受け入
れられ、使われているのだそうです。
 具体的には、「系」という言葉に関して、「理科系」と「癒やし系」のどち
らを使うか聞いたところ、40代以上は「理科系しか使わない」、20代と3
0代は「どちらも使う」、10代では「癒やし系しか使わない」がそれぞれ4
割以上で最多になっているそうです。もともとは不要なことに拘泥することを
さした「こだわる」についても、「素材にこだわる」といった肯定的な用法も
10代から40代で普通に使われるようになっているそうです。「こだわりの
逸品」など、不必要なことまでこだわる徹底ぶりを逆に売り文句に使うように
なったことからきた変化でしょう。
 「けんもほろろ」「よんどころない」「言わずもがな」といった慣用句に関
しては、10代・20代で「使う」という人は一桁%にとどまっているそうで、
「つとに(知られている)」に到っては、10代で85%、20代で69%が
使わないだけではなく、意味もわからないと答えたそうです。
 その他にも、「花に水をあげる」という表現を「使っても構わない」とする
人が過半数を超えているそうですし、いわゆる「ら抜き言葉」についても、若
い人ほど抵抗感がないという結果が出ているそうです。
 言葉というものは、これまでも長い歴史の中でどんどん移り変わってきたも
のですから、こうした変化が起こるのは当たり前といえば当たり前のことなの
でしょう。使いやすいという面だけではなく、社会環境も影響するでしょうし、
また、グローバル化の中では、母国語としない人にとって理解しにくい慣用句
などは使われなくなるのが好ましいという考え方もあるかも知れません。
 ただ、今回の調査では、日本語を書く力が低下していると感じる人が9割近
くに達し、読む、話す、聞くついても、低下しているという答が5〜7割に達
しました。こちらはワープロ文化の影響も大きいでしょうが、言葉の変化が言語能力の低下を示しているとしたらゆゆしき問題といえそうです。


■2002/06/19 (水) 管理業務の大規模外注化

 今朝の日経新聞によると、代表的なグローバル企業のひとつであるプロクタ
ー・アンド・ギャンブルが、管理業務の8割を外部委託すると発表したそうで
す。アウトソーシングのさかんな米国でもおそらく過去最大規模ではないかと
伝えられています。人員規模で5700人、金額で約10億ドルといいますから、た
しかに過去最大級でしょう。
 委託先がどこかは明らかではありませんが、いかに米国でも、これだけの規
模の仕事をまともに受託できる業者はそうそうないでしょう。そこで現実には、
現在管理業務に従事している人を受託先に転籍させ、そこから派遣を受けると
いう形をとるとのことです。要するに、職場の実態としてはほとんど変わらな
いが、形式的に勤務先が変わるということになります。わが国でも、管理部門
の一部を分社して別会社にするといったことはたびたび行われていますので、
規模は大きいですが、発想としてはそれほど珍しいものではありません。
 結局のところは、別会社化することで賃金制度も別会社のものとして賃金を
抑制することと、従来固定費だった管理業務を、本体と切り離すことで変動費
化することがねらいということになるのでしょうか。もっとも、記事には「資
本参加も検討」となっていますので、連結対象になると変動費化の狙いは不十
分になりかねません。
 この話で意外なのは、5700人に対して10億ドルという金額の大きさです。単
純に計算しても一人あたり20万ドル近くなります。これは管理業務の人件費と
しては考えられない高さでしょう。これについて記事はなにも触れていません
が、管理業務に付随する設備やシステムなども受託先に売却する、あるいは有
償で貸与するという形をとるのでしょうか。米国企業のビヘイビアとして、会
計上の資産や固定費を減らそうという傾向があるようなので、案外そういうテ
クニックもあって不思議ではないでしょう。記事はこうしたアウトソーシング
が増えていると報じていますが、そういうメリットもあってのことなのかも知
れません。

■2002/06/18 (火) 基準変われば「過労死」というのも

 この15日に日本労働弁護団などが28の都道府県で実施した「過労死・過
労自殺110番」に、224件の相談が寄せられたそうです。このうち、脳や
心臓の疾患で死亡するなどしたいわゆる「過労死」の相談は58件、自殺およ
び自殺未遂は36件あったとのこと。
 先月末には、昨年度のいわゆる「過労死」の認定件数が、前年比58件、6
8%増の143件と過去最高になったという発表もありました。うち自殺、自
殺未遂は前年比12件増の31件だそうです。
 これは、いわゆる過労死の認定基準が昨年12月に大幅緩和された結果で、
前年比58件増のうちの47件が新基準による認定となっているようです。
 つい先日は、採用されてわずか52日で虚血性心疾患で死亡した21歳の男
性の例について業務上との判断が下されるというケースも出ています。このケ
ースでは、雑誌編集のアルバイト業務で、月間の残業時間が90時間にのぼっ
ていたということですが、時間外90時間というのは毎週休日出勤8時間で月
4回として32時間、あとは平日日当たり3時間の時間外労働で到達してしま
う水準です。雑誌編集のアルバイトですから、営業のノルマもなければ、管理
職のような責任や組織管理にともなうストレスもないでしょう。それに一ヵ月
半従事しただけで、21歳の男性が「過労死」というのは、まことに気の毒な
話ではありますが、週休1日、週48時間でがんばり続けてきた中高年の企業
戦士にはなかなか納得いきにくいのではないかと思うのでしょうが、いかがで
しょうか。
 ちなみに、「過労死・過労自殺110番」には、いわゆる過労死の労災認定
基準の緩和に関する問い合わせも数十件にのぼったとか。風邪ひとつひいたと
しても、仕事で疲れていたというのがその理由にならないことの方が珍しいで
しょう。これではいずれは在職中の死亡や疾病はすべて業務上だということに
なりかねません。労災補償・労災保険制度の根幹にかかわる大問題であり、小
手先で基準をいじるにとどまらず、抜本的な見直しが必要ではないでしょうか。

■2002/06/17 (月) 過小評価される国

 世の中サッカーばかりではないはずですが、マスコミの報道をはじめとして
日本はこのところサッカーしかないという感じです。それにしても、日本チー
ムはグループリーグ第3戦のチュニジア戦にも勝利して、グループ1位で決勝
トーナメント進出を決めました。私はサッカーは素人なので評価はできないの
ですが、見たところ格別フロックや僥倖で好成績を上げたという感じではなく、
むしろ堂々の実力勝負で勝利している印象があります。
 しかし、戦前の予想では、諸般のブックメーカーのオッズなどを見ても、日
本は決勝トーナメントに進出できないとの見方が大勢だったと思います。FI
FAのランキングでも、グループ4カ国中最低でした。
 それが予想を覆す結果となったのは、もちろん地の利というのは大きいでし
ょうし、相手の不調に助けられたり、あるいは時の勢いというものもあるでし
ょう。ランキングに関しては、過去の結果がもとになっているので成長途上の
チームの上昇ぶりが反映されていないと見ることもできるでしょう。
 しかし、それにしても、私にはこの結果から、日本国債の格下げ問題が思い
出されてなりません。要するに、FIFAのランキングというのが、いったい
どういう根拠で、どのような評価をもとにしているのだろうか、というのが疑
問に思えるのです。評価そのものの信頼性の問題です。少なくとも、スポーツ
は勝ち負けや得点が明確なので、なんらかの根拠は示せてもいいように思われ
るのです。
 もちろん。実際には、同じ相手とあたっても常に同じ結果が出るとは限りま
せんし、モノのはずみで番狂わせが起こるのが勝負というものです。しかし、
そこに意識するかしないかにかかわらず、恣意的な判断が入る余地が生まれて
いるのではないでしょうか。
 どうも、日本という国は、世界の価値観の主流を占める欧米諸国(と、サッ
カーなら南米ということになるのでしょうか)とは異質な部分がある分だけ、
過小評価されている面があるような気がします。そういう意味では、フランス
に勝ったセネガルなども、実は番狂わせでも何でもなく「実力」だったのかも
知れません。

                 /bear.jpg






バックナンバーにもどる