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■2002/07/19 (金) 株主より従業員 軽井沢で開催されている社会経済生産性本部の夏季セミナーで、業績好調な 企業の経営陣から、従来から日本企業に広く見られた従業員重視の経営を再評 価する発言が相次いだそうです。バブル崩壊以降、短期的な効率に優れた米国 型の株主重視の経営スタイルを採用すべしとの意見が多くの学者・評論家や一 部の経営者によって声高に主張されましたが、なかなかどうして従業員重視の 経営スタイルも依然として支持されているようです。もちろん、米国企業の相 次ぐ不祥事によって復権した部分もあるでしょうが、それだけではなく、業績 好調という実績をふまえての意見であるだけに重みがあるといえるでしょう。 具体的には、オリンパス光学の岸本会長が「従業員が頑張って会社を良くす れば結果的に株主にも還元できると考えるべき」と発言したほか、前川製作所 の前川社長も「知的好奇心を持った社員集団が『感覚知』を生んできたことが 成長要因」と述べたそうです。 要するに、株主価値を高めるためにどのような方法を採るかという方法論だ ろうと思うのですが、足元の業績、短期的な業績をすぐに高めようとすれば、 人件費を減らすのはもっとも手っ取り早い方法のひとつですから、「従業員が 頑張って会社をよくすれば」などということは言っていられません。経営陣、 経営幹部のいうとおりに働く労働力を使い捨てにすることが必要になってくる ことが多いでしょう。それに対して、中長期的に業容を拡大し、業績を高めて いこうということになると、「『感覚知』を生む従業員集団」を時間をかけて 作り上げていくことが必要になりますし、そのためには雇用の保証があわせて 必要になることが多いでしょう。 結局のところ、いずれの経営手法をとるかについては、必ずしも経営陣にフ リーハンドがあるというわけではないのかも知れません。経営陣としても、み ずからの利益、さらには保身ということは考えざるを得ないわけであり、そう いうことを考えるのはけしからんという感情論ではなく、そういうものだとい う現実論で考えることが必要です。となると、社外取締役にギロチンの紐を握 られて、足元の業績(というより株価)の向上を求められている米国の多くの 経営者には、他の選択肢がないということなのかも知れません。 ■2002/07/18 (木) 進むか、男性の育児参加 報道によりますと、厚生労働省は育児休業を2年に延長する方向で検討に入 っているそうです。しかも面白いことに、現行の1年から延長する1年につい ては、夫婦が折半で取得することを条件とするというユニークな方法が検討さ れているのだとか。具体的なモデルとしては、最長2年のうち最初の1年を妻 が、さらに半年を引き続いて妻が取得して、その後の半年は夫が取得するとい う形が想定されているのだとか。考えられる難点としては、妻が1年半を取得 した後、夫はなんだかんだ言って取得しない、というケースが続発しそうです が、哺育との関係もあり、こうしたスタイルが現実的という判断になっている のかも知れません。その一方で、厚生労働省は企業に対しては男性による育児 休業取得の努力目標を課したいとの意向もあるとのことで、男性の育児参加を 拡大したいとの行政の切実な希望が感じられます。 ちなみに、中央省庁については先行して独自の指針を設定し、夫が育児休暇 を積極的に取得することを求めていく方針だとか。国家公務員が率先して夫婦 で育児に取り組む姿勢を示すことで、民間の意識改革を進めていこうというこ とのようです。このような「単なる労働条件の向上ではない」取り組みについ ては、民間準拠といわず大いに率先垂範してもらいたいものです。もっとも、 熾烈な出世争いを展開するキャリヤ官僚諸氏にはそんな余裕はないでしょうが、 それはそれで現実の問題点や課題が明らかになるわけで、けっこうな話ではな いでしょうか。 残念ながら、厚生労働省の多大なる熱意にもかかわらず、人気タレントの安 室奈美恵さんとSAMさんが離婚していたということが発覚しました。結婚当 時は、SAMさんが二人の長男を抱いた写真をポスターにして「育児をしない 男を父親とは呼ばない」という刺激的なコピーで男性の育児参加を訴えて話題 になっただけに、この離婚はいささかイメージダウンの感は否めません。もっ とも、子どもはSAMさん(の実家でしょうが)が引き取って育てるというこ となので、男性の育児参加という意味では前進とも言えるかも知れません。 ■2002/07/17 (水) 外部人材の成否はいかに またまたお役所の話、しかも外務省の話題です。先日の読売新聞によれば、 川口外相が外務省改革の売り物の一つに位置づけている外部人材の起用につい て、これが重要ポストにまで及んでくるに到り、案の定外務官僚が徹底抗戦の 構えを見せているそうです。 具体的には、すでに報道官にNHKの元キャスターを起用するといった人事 が行われており、ここまでは外務官僚も静観していましたが、ODAを管轄す る重要ポストである経済協力局長に経済産業省から起用される方向が決まった ということで、さすがにこのポストは外様には渡せないということになったよ うです。とはいえ、平沼経済産業相も、川口外相から依頼があったことを認め るなど、話はかなり具体的になっていますので、内部の抵抗でも簡単にはひっ くり返らないかも知れません。 とはいえ、外務官僚の抵抗振りもすさまじいようで、少なくとも三人の局長 クラスの幹部が外相に直談判、強行されれば辞任も辞さずという徹底抗戦の構 えなのだそうです。まあ、今般の一連の不祥事にも見られるように、ODAは なかなかの利権でもあるだけに、それを他省庁に握られることは本音としてツ ライということはあるでしょう。とりわけそれが、なにかと他省庁に見当はず れなクチバシを突っ込んで顰蹙を買う経済産業省ともなればなおさらでしょう。 まあ、人事はなんといっても重大事なので、抵抗したくなる気持ちもよくわ かるのですが、それにしても複数の幹部がここまで抵抗するというのは、やは り外務省改革は道遠しの感が深くなります。だだ、今朝の日経新聞によれば、 なんでも官邸もこの人事に理解を示したことで実現が決定的となり、抵抗も一 気に弱まっているのだとか。 ということは、今度はイジメて追い出す、とまでは行かなくても、今後は引 き受け手がいないようにしようという作戦に変更したということでしょうか。 今の外務省なら、そんな陰険なことを考えていても全然不思議ではないように 思えます。なにしろ、言うことをきかない民間に嫌がらせをするのはお役所の 得意技らしいですから、他省庁ならなおさらという感じがします。 ■2002/07/16 (火) 抜擢人事も時によりけり きのうに引き続きお役所の話題です。前々から天下りを生む構造的問題とし て指摘されてきた官僚の早期退職慣行について、小泉首相が見直しを指示した とのニュースが報道されていました。民間企業では、今や実態としては子会社 などに出向先があればまだマシな方で、定年まで年下の上司に仕えて勤務する というケースも当たり前になってきています。当然、当事者にしてみれば面白 くない、やりにくいということになるわけですが、それでも経営上避けられな いのであればやっているわけです。お役所のピラミッド組織を維持するために、 ムダな外郭団体がなくならない(増える)、すなわち国家のカネをムダにする のは許されないというのは当然でしょう。 ただ、当然これには既得権を奪われる当事者の官僚は大反対で、若手官僚も 「昇進が遅れる」として絶対反対の構えということです。 これに対して、「抜擢人事を行えば、若手の士気低下は防げる」という説も あるのだそうです。しかし、抜擢が本当に士気を高めるかどうかは、組織によ って違うのではないでしょうか。少なくとも、官僚、とりわけキャリア官僚は、 入省した時点で、かなり厳しく選抜されたエリートです。要するに、入省時点 ですでに「抜擢された」人たちということになります。だから、キャリア官僚 は20代で数十人の部下を持つ地方行政機関の長になったりするわけですし、 年齢が倍のノンキャリアが20代のキャリアの部下になっても違和感がないと いう世界が作られているわけです。 そういう極めて特殊な世界で、さらに抜擢人事を行うというのは、かなり無 理があるのではないかという印象があります。もちろん、早期退職慣行の見直 しは必要ですし断行すべきですが、それにともなって実施すべき施策について は、簡単に考えない方がいいように思われます。 ■2002/07/15 (月) 大いにやるべし、あいさつ改革 昨日の読売新聞によれば、外務省の総務課が今月初め、全職員に職場でのあ いさつを奨励するメールを送ったそうです。 このメール、「元気な声であいさつをしましょう」との呼びかけで始まり、 「声を出すことによって元気になり、活力の基となります」「連帯感も生まれ る」「コミュニケーションが促進されて職場の雰囲気は和らぎます」などと説 明しているそうです。さらに具体的には、「お早うございます」「お先に失礼 します」「お疲れさまでした」を「3点セット」として奨励しているのだそう です。 これに対する反応ですが、職員からは「子どもじゃあるまいし」と批判の声 が続出しているそうです。「いつもあいさつしない偉そうな幹部連中にこそ、 言ってほしい。こんなことを今からやっているようでは、改革なんてほど遠い」 というのがその言い分とか。また、OBからも、「あいさつの励行など、毒に も薬にもならない。…人事評価や配置の透明性確保など、改革のためにもっと 本質的な問題があるのではないか」との感想が寄せられているとか。 これを読んで、まことに外務省の病弊も深刻であると改めて思いました。民 間に目を転じれば、やはり業績のいい会社は、社員のあいさつが励行されてお り、かつ、来客に対するマナーも良好であることが多いように思います。こう いうことを否定したがるあまのじゃくはどこにも居ますが、否定しても仕方の ない話ではないでしょうか。実際、民間企業でも、若手社員の意識調査をする と、職場に対する不満として「上司があいさつをしてくれない」というものが かなりの割合で上がってきます。そういう意味では、「偉そうな幹部連中こそ」 というのは当っているとも言えます。 とはいえ、物事には形から入ることが大事なことも多く、あいさつなどはま さにそれではないでしょうか。「子どもじゃあるまいし」「こんなことを今か ら」「毒にも薬にもならない」などという斜に構えたヒネた姿勢が大勢だとし たら、それこそ外務省改革も道遠しの感があります。 |