■2002/09/27 (金) 鮎川哲也氏逝去

 高木彬光氏、横溝正史氏らと並ぶ日本推理文壇の巨匠である鮎川哲也氏が逝去されたそうです。
 私も、「黒いトランク」をはじめ、重厚で本格的な多くの傑作を愛読してきました。また、斯界の新人の登竜門である「鮎川哲也賞」を創設するなど、文壇にも大きな貢献をした人だったと思います。
 まことに残念ですが、ご冥福をお祈りしたいと思います。
 これを機に、現在入手困難となっている作品が再版されることを期待したいと思います。

■2002/09/26 (木) 優秀な技術者の貧困な精神

 青色ダイオードを発明した中村修二氏が、特許権の一部帰属と高額な対価を求めて争っている事件で、とりあえず特許権は全面的に会社に帰属するという中間判決が出ました。妥当な判断だと思いますが、中村氏は憤懣やるかたない様子で、「こんなことでは優秀な技術者はすべて海外に流出してしまう」と息まいているようです。本当にあきれた人だと思います。
 もともと日本企業の技術開発の技術者は、仮に失敗続きでも雇用や報酬が保障されている一方で、大成功でも極端に突出した処遇はしないというしくみになっています。それによって安心して長期間にわたる技術開発をチームワークで進めることが可能になるわけです。自前の費用で研究する独立の発明家ではありません。にもかかわらず、結果として成功したあとで巨額の報酬を求めるというのは、結果を見てから馬券を売れというようなもので、まことにアンフェアな話です(まあ、本当に数万円の報奨金だけだったとしたらそれもどうかと思いますが、人事考課や昇進昇格などでも報われているのではないでしょうか)。
 しかも、彼は徳島大学の修士ですから、当初から多額の国費によって技術教育を受けたわけですし、日亜化学に入社してからも、海外留学させてもらい、博士号もとらせてもらっています。研究も会社の施設、設備、費用、人員を使っているわけです。「会社の命令に反して」やったから自分のものだ、という言い分からは、むしろそれを放任した会社の懐の広さを感じるのは私だけではないでしょう。
 こうしたことをすべて無視して、海外に飛び出して国や会社がすべて悪いから自分のような優秀な技術者が流出したのだと言い募るというのは、まことに自己中心的で貧困な精神のように私には感じられます。
 日本の優秀な技術者がすべて中村氏のようなエゴイストになってしまったとしたら、それは確かに日本は滅びるかも知れません。

■2002/09/25 (水) 表現の自由

 柳美里女史の「石に泳ぐ魚」の出版差し止めが決まりました。まがりなりにも文章を書く者のはしくれとして、重く受け止めるべき判決であると思います。
 もちろん、柳女史にも言い分はあるでしょうし、この判決に対しては賛否両論あるようです。「純文学なのだから」との思いは、作家としては当然あるでしょう。とはいえ、柳女史が「これを発表したことで(モデルの女性が)傷つくとはまったく思わなかった」「喜んでもらえるものと信じていた」といった発言を繰り返したり、裁判がはじまった後に、女性の訴えを承知した上で、「石に泳ぐ魚」を大幅に引用したエッセイを雑誌に掲載したりしたことは、いかにも相手に対する思いやりを欠いているのではないかと思います。
 主張と暴露とは違うのではないかというのが私の感想です。

■2002/09/24 (火) 10%と80%

 厚生労働省が育児休業の取得率目標を設定する方針を示したそうです。具体的には、今後2〜3年以内に男性10%、女性80%を目標とするとか。
 何に対する何の率かというのが問題ですが、「99年度の調査」によると「男性0.42%、女性56.4%」ということですから、これと同じだとすると、「前年度に出産した女性」「前年度に配偶者が出産した男性」のうちで、「1日でも育児休業を取得した」人の割合、ということになるのでしょう。
 少子化対策や、あるいは働き方の多様化を進めるという観点からも、こうした目標を掲げて育児休業の取得を普及させることは必要だろうと思います。
 とはいえ、この「男性10%・女性80%」という目標が本当にいいのかどうかは疑問もあるように思います。あまりに男女格差が大きい上に、女性の目標が高く、「男性の育児参加」を進めるという意味ではかえって逆効果に働くのではないかという気がするからです。
 もちろん、実態を見れば男性10%というのが現実的、というよりかなりチャレンジングな数字であることも事実でしょう。とはいえ、少子化対策も働き方の多様化も男女共同参画もすべて男性の意識改革が最重要課題であることを思うと、もっと大胆な目標設定もあっていいのではないでしょうか。
 その一方で、何らかのペナルティー、強制力をともなう運用をしなければ進まないという心配もあり、となるとあまり非現実的な高い目標も掲げにくいという一面もあるでしょう。
 難しい問題ではありますが、強制すればするほど抜け道を使った辻褄合わせが出やすいもの。慎重な検討を期待したいところです。
 

■2002/09/19 (木) 元気が出るやら成果主義

 職場で回覧されている「日経ビジネス9月16日号」の特集は「元気が出る成果主義」でした。「ダイヤモンド9月14日号」の特集は「きしむ成果主義」という特集が組まれてますから、なにやら成果主義をめぐって正反対の特集がほとんど同時に組まれたわけです。
 どちらも今の成果主義に問題があるとした上で、企業や社員がどうしたらいいのかということをまとめているわけで、同じものを両面から見ただけのことなのでしょうが、こうした現象はそれだけこの問題がビジネスマンの関心を集めていることの現れといえるでしょう。
 内容的にはどうということもないのですが、要するに人件費を抑制する、あるいは削減するという要請の中で成果主義をやるわけですから、それで元気を出させるとか、きしみを出さないというのは難しいに決まってますよね。
 今回に限りませんが、当事者でない人は本当に気楽なもんだと思います。なんでもそうでしょうが。
 

■2002/09/18 (水) 日銀、銀行の持ち合い株を買い取り

 ひさびさに「労働雑感」を書きました。日付を見ると結局2か月休んだことになります。最初はちょっとカンが鈍ったような感じがしました。こんなものでも、続けていれば慣れるもののようです。
 これだけ長く休んだのに、メールマガジンの発行部数がほとんど減っていない(マイナス1部)のは本当に嬉しく思いました。もちろん、増減があっての結果だとは思いますが、それにしても読者のみなさまに感謝です。
 日銀が銀行の持ち合い株を買うというニュースには驚きました。あれほど抵抗していたのになぜ、という疑問に対しては、状況が危機的でそれどころではなくなった、という説明ができるでしょうが、これまで一貫して「日銀法の改正が必要」と言っていたのにイキナリ「現行法で可能」というのはオイオイという感じです。
 これが金融システム問題解決への一歩になることを期待したいものです。


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