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■2003/02/25 (火) インフレ目標に反対しているのは誰? 日銀の次期総裁が福井俊彦氏に内定したそうです。日銀の保守本流の人ですから、今後も日銀の金融政策は「伝統的」の範囲内を出そうもありません。 日曜日の日経新聞「経済論壇から」で、慶応大学の清家篤教授が日銀総裁の人事をとりあげていました。その中で、清家氏はインタゲ論者の例として専修大学の野口旭教授をあげています。 いっぽう、インタゲ反対論者としてあげられているのがUFJ総研の山崎元氏であるのには驚きました。まあ、たしかに山崎氏は公開の場でインタゲ論者を「マクロ馬鹿」だの「声の出るゴキブリ」だのと悪し様にけなしており、反対「論」というよりは感情的に嫌いという感想の持ち主の代表選手であるには間違いありませんが、野口氏に対置するならばそれなりに定評のある経済学者で誰かあげられなかったものか、と思ったのです。 この記事は過去1か月のレビューなので、取り上げる材料が限られるということはあるのだと思いますが、それにしても、改めて考えてみると、インタゲを明確に支持する経済学者は多数(しかも浜田宏一、岩井克人、岩田規久男、深尾光洋、伊藤元重の各氏をはじめ著名人が多い)います。今度日銀副総裁になる岩田一政氏もそうですし、そういえば竹中平蔵金融・経済財政担当相もそうです。そのいっぽう、インタゲに明確に反対している経済学者というのはあまり思い当たりません。まあ、超有名どころですぐに思いつくのは野口悠紀雄先生くらいでしょうか。インタゲ反対論者はむしろ山崎氏や野村総研の植草一秀氏のような実務家が多いようです。また、推進論者に比べると反対論者の根拠はさまざまで、主だったものでも「構造改革を遅らせる」「高インフレが経済成長を阻害する」「具体的な方法がない」「インフレが制御できない」などなど様々であり、中には「日銀の独立性を損なう」というのもあります(清家氏もこれには言及されています)。どうも、反対論者は本音では「インタゲで○○になったら自分は困る」から反対しているのではないかという気がします。だから、比較的個別の利害の少ない学者に推進論が多くなるのでしょう。 もちろん、現実の経済活動を担う実務家が困るような施策はまずいというのも正論でしょうが、個別の利害に配慮しているような段階なのかどうかは十分考える必要があるのではないでしょうか。 ■2003/02/21 (金) 日本経団連会長共同インタビュー 2月20日発行の日本経団連「経営タイムス」に、奥田日本経団連会長の共同インタビューの記事が載っていました。写真をみると、記者とおぼしき人たちが、写っているだけでも9人います。これはもうインタビューというより記者会見ですね。 内容をみても、先週新聞各紙が掲載した奥田氏のインタビュー記事の総まとめという感じで、新聞には単独でインタビューしたかのように書かれていますが、実態はみんなでやっているのですね。この記事をもとに、各社がどの部分をつまみ食い?したかを比較するとけっこう面白いかもしれません。そのうちコラムのネタにしてみようかな。 それはそれとして、中味もなかなか面白いものがあります。たとえば、「(緊急避難型の)ワークシェアリングにしろ、賃下げにしろ、雇用の維持という点では同じだと思う」という発言。一応、昨年「時短をともなわない賃下げは単なる雇用調整であってワークシェアリングではない」ということで連合と合意してますので、こういう発言になったのでしょう。しかし、「雇用の維持という点では同じ」と言い切られると連合はつらいでしょうね。 とはいえ、「雇用の維持とは何年先か」という質問に対しては「できれば終身雇用と思っている」と言い切ったのは立派なものです。 それから、もうひとつ目をひくのが「(将来)物価の上昇と生産性の向上があれば(ベアも)ありうる」という発言です。昨年もどこかで「物価が上がればベアを考える」という発言があったと思いますので、やはりベアゼロの大きな理由はデフレということなのでしょう。この点、未来永劫ベアはないというマスコミの書き方はちょっとエスカレートしているなという感じです。 ■2003/02/18 (火) 日経病 きのうの日経新聞の社説は久々の大ヒットで(笑)、「日経病」では同じネタを3日分にもわたって使ってしまいました。実際、先週まるっきり「日経病」を休んでいなかったら、労働雑感に使いたいくらいのものでした。 「吐息の日々」が久々なのは正直いってサボってましたが、日経病の方は本当にネタがない!というのが現実でした(まあ、サボりも多少はありますが)。実際、週末から始まった「瀬戸際の日本経済」という1面の連載特集などは、いまのところけっこう頷ける内容が多くなっていて参考になります(まあ、日本経済がたいへんだ、という基調は変わりないにしても)。強硬なサプライサイド改革論がかなり緩和されてますし、きのうでしたか、あれほどまでに礼賛していた米国の減税法案に対して疑義を呈していたのには驚きました。 ところで日経新聞の社内のゴタゴタについては、さすがに本当のところはどうなのかよくわかりませんが、記事になっているのはもっぱら雑誌ばかりで、新聞記事にはほとんどなっていないのは、さすがというかたいしたものというか、やはり業界全体に対する挑戦であると受け止められているということでしょうか。内部告発した本人にとってみれば、少しでも世間に広く知らしめられることを期待しているでしょうから、対抗策としては無視に限る、というところでしょう。各紙とも自分のところでこんなことが起きたらたまらない、という事情もあるでしょうし。 しかもこの内部告発、「株主権の行使」という、日経が大好きな方法で行われたところがまた面白い。さすがの日経も、これに懲りれば、村上世彰氏のような総会屋まがいを礼賛しなくなるかもしれません(笑)。それならそれで進歩ではあります。もし他紙でこれが起きたら、日経はどういう報道姿勢をとったのか見てみたかった気もします(まあ、黙殺でしょうが)。 それにしても、さすがに新聞記者というのは調査能力が高いだけあって、この内部告発も相当踏み込んだもののようです。しかもこの人、幾多のスクープをものした敏腕記者(ま、誇張もあるでしょうが)だそうで、いったいこんな人を内部告発に走らせるというのはどういう人事管理なのか?という感もあります。 いずれにせよ、なんか「日経病」というタイトルもシャレにならないような状況になってきたなあという感じです。 ■2003/02/10 (月) サービス残業撲滅キャンペーン 今朝の通勤電車に、連合の「サービス残業撲滅キャンペーン」の吊り広告がかけられていました。遠目に見るかぎり白地に黒一色というシンプルなつくりで、経費節減ぶりがしのばれてほほえましい仕上がりになっています(微笑)。 さてその内容ですが、なにしろ通勤電車の中でのうろ覚えなので不正確なのですが、「私のサービス残業代はどこにいってしまったのでしょう?」「サービス残業は立派な労働基準法違反です」といったセリフが書かれていたように思います。 もともと残業代がないからサービス残業なわけで、どこにいってしまったのでしょうといわれても困るわけですが、まあ労組としてはその分が株主への配当や経営者の報酬や企業の内部留保になっているのではないか、という理屈なのかもしれません。とはいえ、赤字決算で無配になっているような企業の場合はどうするのかという問題はあります(そういう企業は経営者の報酬もたいしたことはないでしょうし、中小企業の場合は経営者が融資を個人保証していることも多いのが実態です)。あるいは、納入単価が低すぎるから、ということもあるでしょうが、しかし市場経済の中では安い単価を提示するコンペティターを無視して高く買えともいえないでしょう。とはいえ、残業代を払えない企業は淘汰されればよいという立場はさすがに連合もとれないでしょう。サービス残業が問題でないというつもりはありませんが、こうした問題についてきちんとした整理がされたうえでこの運動に乗り出したのかどうか、いささか疑問を禁じ得ません。 「立派な」労働基準法違反というのも、なにが立派でなにが立派でないのかよくわかりませんが、法違反だから撲滅するという短絡的な発想でやるのではおよそはかばかしい成果は期待できないでしょう。 まあ、当面は、先日賃金不払いでトップが逮捕された社会福祉法人のような、特に悪質なものをつぶしていく取り組みが現実的なのではないでしょうか。 この問題、またゆっくり考えてみたいテーマです。 |