■2004/02/20 (金) ストックオプションは給与所得

 ストックオプションによる利益に対する課税の取り扱いをめぐる訴訟が多発していますが、きのう東京高裁はこれを給与所得と認定、国勝訴の判断を示しました。同種事件で初の高裁判決ということで注目を集めているようです。
 まあ、基本的に業務成績向上のインセンティブであり、労働の対価であることは歴然としているわけですし、所得として確定しているのですから、給与所得と考えるのはまことに妥当な判断といえましょう。
 もっとも、報道などで原告のコメントをみていると、「従来一時所得として定着していたのを裁量的に変更するのはおかしい」ということのようなので、給与所得かどうかという点の争いは本音レベルでは小さなものなのかもしれません。とはいえ、従来一時所得としての扱いが行なわれていたのは金額が小さかったからでしょうから、ここまで税額が大きくなれば、他の納税者との均衡を配慮して扱うことは、徴税全体としてみればむしろ考え方は一貫しているといえるかもしれません。
 いずれにしても、原告側弁護士が「所得税法を改正するのが筋」と主張しているのはたしかに一面の正論で、早いところ法律を改正してしまえばいいのではないかと思います。財務省は税収増につながる改正ですから当然(笑)積極的に法案をつくるでしょうし、選挙で不利になるという話でもないので与党もおそらく反対はしないのではないでしょうか(公明党はどうせ高額所得者の課税強化には大賛成でしょうし)。有力どころで反対しそうなのは経団連ですが、建前では反対しても大企業にはあまり関係のない話なので、それほど徹底抗戦にはならないような気がします。

■2004/02/19 (木) 今年も土俵は女人禁制

 今日の新聞各紙によれば、大阪府の太田房江知事がかねてから希望している「大相撲夏場所での知事賞授与」が今年もどうやらまた実現しないことになりそうだということです。これで5年連続の拒否ということになります。
 知事は初当選以来「男女共同参画の観点から」自ら伝統的に女人禁制とされている土俵に上がって優勝力士に知事賞を授与したいとの意向を示してきましたが、相撲協会は「土俵上は女人禁制とする大相撲の伝統を守る」ということで4年連続で拒絶してきました。これに対し、知事は先日の再選後にもこの問題について「新たに判断していただけるものと期待している」と引き続き意欲を示しましたが、今回も相撲協会幹部が「従来どおりの方針は変わらない」「無理なこともある」などと語ったとのことで、お互いに「がっぷり四つ」?で譲らない構えです。
 相撲協会としてみれば古くからの伝統を守るためであり、差別的な意図はないのでしょうが、それにしても千秋楽まで終わったあとの表彰式もダメというのはいささかアタマが堅いのではないかという感じがします。歌舞伎座だって歌舞伎以外の公演では女性が舞台を踏んでいるわけですし、大阪府立体育館でも普段は女性がスポーツをやっているわけですし。拒否するから、これが差別かどうかとか、伝統を守るために差別が許されるかとかいうややこしい議論があちこちから出るわけで、取組中でなければかまいません、と割り切ってしまえば面倒な議論もしなくてすむでしょう。別に、力士になりたいという女性が出てくることはまずまず考えにくいのですから。でも、行事や呼び出しになろうという女性はいるかも?
 まあ、最大の問題は最初にダメと「突っ張って」しまった(たしか、最初は森山真弓さんが官房長官のときに総理大臣杯を代理で渡すのを拒否したときではなかったかと記憶)ので、いまさら変える理屈がないことでしょうか。なにごとも長く続いたことを変えるというのは大変なようで。
 そういえば、去年拒否したときにはこの問題について全国アンケートをやるということで収まったような気がしますが、あれはどうなったのでしょう?やったのなら結果を見てみたいものです。単純に、その結果にしたがいます、と説明するのが賢明な作戦だと思うのですが。

■2004/02/18 (水) 日経新聞、カネボウ支援に不満たらたら

 本日は「今日の日経」ネタです(笑)。産業再生機構によるカネボウの支援に対して、日経新聞はいたくお気にめさないようです。今日の社説では、「産業再生はどこへやら、個別企業の甘えを支援する」とクソミソですし、企業総合面の記事でも「株主と債権者は幸運、経営陣と社員は一時しのぎ、花王は失望、そして国民には大きな疑問」とけなしています。「国民には大きな疑問」ではなく「日経新聞には大きな疑問」と書くのが正確だろうと思うのですが、「花王による買収なら国民負担はないが、再生機構の支援だと損失が出れば国民負担になる」から、「国民は大きな疑問をもつべきだ(はずだ)」という理屈のようです。
 しかし、国民負担のリスクがあるから支援はダメだ、というのではなんのために再生機構があるかわからないわけで、問題は再建の成否でしょう。であれば、花王の買収価格が約4000億円といわれるのに対し、再生機構からは5000億円程度のおカネが出るということのようですから、ごくシンプルに考えて再生機構の支援のほうが有利なように思われます。しかも、花王の買収価格が本当にカネボウの化粧品事業に見合ったものであるかどうかについては評価が分かれる(少なくとも、カネボウの有利子負債や債務超過額から逆算されている可能性は高いように思います)わけですし、いっぽう機構の支援なら化粧品部門をまるごと失わずにはすむわけなので、カネボウ全体としてはますます有利なように思われます。
 いっぽう、日経の言い分は、再生機構の支援だとカネボウは「瀬戸際に立たされ」ないし、「執念」もない、(失礼な表現で申し訳ないのですが)花王に足元を見られて買い叩かれるという「競争の痛み」から逃げた、したがって再建はうまくいきっこない(いってほしくない)、という精神論に終始しており、いまひとつ説得力がありません。
 結局のところ、日経としては「株主も債権者も損をしない」「経営陣も社員も当面大きな痛みを負わない」ということが気に入らない、ということのようです。まあ、「再建」という一点だけを見るのならそうかもしれません。しかし、そのためにどれほど大きな犠牲が払われてもそれには目をつぶる、という考え方はいかにも平衡を失しているように思われます。

■2004/02/17 (火) 性差と性差別

 きのう書いたカネボウの再建ですが、いずれにしても化粧品事業は切り離して別会社にするということのようです。過剰債務も化粧品新会社に引き継いでそこに産業再生機構の資金を入れ、残された事業は身軽になって再建を進めるということでしょうか。いずれにしても残された事業での厳しいリストラは避けられないでしょうが、それでも化粧品事業の組合員にとっては売却されるのに較べればまだしも割を食わない可能性が高いので、やはり労組としてはこちらのほうが望ましいという判断になるのかもしれません。
 それはそれとして、今朝の読売新聞で、日米中韓で行なわれた「高校生の生活と意識に関する調査」の結果が報じられていました。それによると、日本の高校生は「男は男らしく」「女は女らしく」といった性差意識が突出して低くなっており、「男は男らしく」に肯定的なのは男49%・女40%、「女は女らしく」では男40%、女23%となっています。中国はいずれも70〜80%ともっとも伝統的ですが、男女均等先進国と思われている米国においてもすべて60%前後となっているのが意外です。面白いのは韓国で、どちらも男性は60%以上が肯定的なのに対し、女性は30〜40%と男女差が大きくなっています。
 日本の現状については、中学・高校の教科書でジェンダーフリーが強調されている結果であろうというのが有識者の見解らしく、これを望ましい教育成果とみるか、作為的で不自然とみるかは意見が分かれるところでしょう。ただ、私の印象としては、男女差の大きさ、特に「女は女らしく」の男女差が大きいところに、女性差別が残る現状が反映されているのではないかと感じられます。韓国では日本以上に男女差が大きいのは、日本以上に女性差別があることの反映なのではないでしょうか。
 そういう観点からは、米国の男女差が小さいことは、それなりに女性差別が縮小していることの反映といえるかもしれません。であれば、女性差別が解消に向かうにつれ、改めて自然な性差に対する肯定的な意見が増えてくるという解釈もできるように思います。こう考えると、日本で性差に対して否定的なのは、女性差別縮小が進む中での過渡的な減少なのかもしれません。

■2004/02/16 (月) カネボウの再建策に労組が「NO」

 昨年秋から、花王とカネボウの化粧品事業を統合するという構想が検討、交渉されてきました。途中からは統合ではなく花王による買収という形に変わり、さらに投資ファンドのユニゾン・キャピタルも参戦するなど紆余曲折し、具体化は難航、今日になってついに構想は白紙撤回、カネボウは産業再生機構の支援のもとで再建に取り組むこととなったようです。
 買収構想が実らなかった理由については、買収の条件が折り合わなかったという説明がされているようですが、カネボウの労組が売却に反対した、というのが現実には決定打になったという説も有力なようです。これまでもカネボウの労組は賃金カットなどの合理化策に協力してきましたが、今回ついに反対を表明したということのようです。
 もともと、カネボウにとって化粧品事業は収益力の高い稼ぎ頭で、これで他の事業の赤字を補填してきたというのが実態のようですから、普通に考えれば売却する理由は考えにくいわけですが、600億円を超える債務超過といわれる状況では、唯一売り物になりうる事業を売ってでも、債務を整理するためのキャッシュが欲しかったということでしょう。そのうえで、残った繊維、日用品、医薬品などの事業の合理化、建て直しをはかろうという戦略だったのではないかと推測されます。
 そうであれば、労組としてこれに反対というのもわからないではありません。新聞報道では、売却される化粧品部門の雇用が守られるかどうかに懸念を示したとのことですが、それ以上に問題なのは残された繊維などの事業部門でしょう。債務が整理されたとしても赤字であるには違いなく、それを補填する事業ももはやないわけですから、かなり厳しいリストラが行なわれることは目に見えているからです(もちろん、化粧品部門についても、売却を機に合理化策が取られることでしょうし)。であれば、労組としてみれば、収益のあがる事業を社内にとどめたままで、産業再生機構(や取引銀行など)から新たな支援を引き出したほうが得策という考え方もたしかにあり得るでしょう。
 もっとも、化粧品はブランドイメージが商品力を大きく左右するだけに、はたして「再生機構銘柄」となることがビジネスにどれほど影響するかという新たな問題も出てきます。労組の判断の結果がどう出るか、今後の成り行き次第ということになりそうです。


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