■2004/02/27 (金) マクドナルドのアルバイト

 会社近くのマクドナルドの前に、アルバイト募集の掲示が出ていました。時給は時間帯や曜日によって850円〜1,200円というところのようです。
 いくつかの勤務パターンの例も示されていましたが、それによれば、朝の6時から昼15時まで、週5日勤務で「月150,000円以上可能」、さらに夕方17時から23時までのやはり週5日勤務で「月90,000円以上可能」となっています。ということは、2軒のマクドナルドでこの2つの勤務パターンを掛け持ちすれば、朝6時から夜23時という過酷な拘束時間ではありますが、しかし週休2日を確保して月240,000円以上の賃金を確保できるということになります。月25万円なら年300万円。まさに、最近流行りの「年収300万円で暮らす法」とかいった世界になるわけです。
 本当なら、通算で1日8時間を超える分は割増賃金をもらえるのが建前ですが、これはまさしく建前にしか過ぎないとして、税や社保をひいても手取りで200,000円くらいにはなるのではないでしょうか。マクドナルドのアルバイトは学生が多いらしいのですが、就職が決まらぬままアルバイトをしている「フリーター」も多いでしょう。そして、案外それなりの所得は確保できるのだということを街角の広告で確認できました。

■2004/02/26 (木) CSRを省益追求の道具にするな

 昨日の日経新聞朝刊で、厚生労働省は企業の社会的責任(CSR)について、雇用面での評価指針を6月をめどに作成するために学識による研究会を立ち上げるとの記事を読み、違和感を禁じ得ませんでした。
 CSRは現在注目が集まっている「旬」の話題で、国際的にもISOによる規格化などの動きがあります。行政においても、経済産業省が産業界とともに指針づくりの検討に着手するなど、日本に不利な形での規格化が進まないための取り組みを進めているそうです。厚生労働省によれば「雇用は国や地域で慣行や法制が大きく異なるため」この分野は別途の指針が必要だという説明がされているようですが、自らの縄張りを守りつつ世の中の動きに乗り遅れまいという本音がミエミエで笑えます(当事者には笑い事ではないのでしょうが)。
 しかし、そもそもCSRといっても内容は多岐にわたり、その方法論も企業によって当然異なってくるわけで、具体的部分は画一的な規格化にはなじみにくいのではないでしょうか。手段と目的を取り違えるのはまずいはずで、企業の自主性と創意工夫を生かし、よい意味での競争を促進することが進歩につながるのではないかと思います。
 記事によれば、厚労省のイメージとしては「雇用確保の姿勢」「女性や障害者の活用」「従業員の教育訓練」「従業員の地域活動への参加のしやすさ」「安全衛生の確保」など、「働く人に配慮した経営を評価するための項目を整理する」ということのようで、たとえば、地域の非営利組織(NPO)活動参加の障害になるから「兼業制限の緩和なども評価のポイントとする」のだそうです。
 まあ、あくまで指針として大まかなお題目を掲げるくらいであればそれほど異論もないでしょうし、実害もないとは思いますが、あまり細部に踏み込んで基準をつくり「評価」するとなると、はっきりいって余計なお世話だという印象があります。たとえば、「雇用確保の姿勢」が重要だからといって、非正規比率が高いから低く評価する、といったおかしな話になりかねません。また、兼業規制緩和を評価ポイントとするのなら、そのうえで大きな障害となっている、労働時間の通算を定めた労基法38条の見直しといった環境整備も必要になってくるはずです。
 厚生労働省(最近は公明労働省といわれているらしいが)の省益のために、官僚と一部の学者の一面的な価値観を企業に押し付けないでほしいものです。

■2004/02/25 (水) 無知な法匪が日本を滅ぼす

 人口甘味料の製法特許の対価をめぐる事件(味の素事件)で、東京地裁はきのう2億円近い支払を命じる判決を示しました。特許の利益のうち、研究チームの貢献度を5%と判断し、チームのうち原告の貢献度を50%としたものです。これまたあきれ返るべき亡国の判決といえましょう。裁判所は法匪の集団となりはてたのでしょうか。
 この論外には論外な点が2点あります。まずは上記の貢献度の評価で、日亜事件(50%は論外ですが)と異なり、味の素といえば単独でも4000人、連結では実に2万4千人の従業員を擁し、歴史ものれんも技術的蓄積もゆたかな大企業です。そのなかで、6人の共同発明者の貢献が全体の5%を占めるというのは明らかに過大評価でしょう。それにくわえて、そのうち原告の貢献を50%としたことについて、他の5人はどのような意見なのでしょうか?(納得しているかもしれませんが)。
 もうひとつ論外なのは、認定した対価から控除したのが当該発明への報奨金1,000万円だけという点です。ほとんどの場合報奨金は功績への処遇としては付随的なものであり、この事件の場合には原告は研究所長、関係会社の社長と、サラリーマンの常識からすれば人もうらやむ厚遇、栄達を受け、転出時には本社の技術顧問として処遇されています。これに関しては「会社の貢献95%」にドンブリ勘定で放り込んでいるのでしょうが、このような計算で対価を算出しようとするのなら、きちんと金額評価して(賃金アップだけではなく、研究テーマ選定や進め方、予算消費などの権限や、精神的満足度の向上などを、同等の成果をあげた研究者の事例も参考としながらきちんと評価すべきであり、それをしないのは裁判所の怠慢です)対価の計算に反映しなければ、企業の人事管理、処遇・報酬の実態を大きく逸脱した無意味なものになってしまいます。
 まだ判決文は読んでいないので断定的なことはいえませんが、それにしても報道などをみるかぎりでは、科学技術創造立国をはばむという観点からは、この判決の亡国度は日亜化学以上かもしれません。

■2004/02/24 (火) 実は穏健な丸井のリストラ

 きょう、「日経ビジネス」2月16日号で丸井の特集記事を読んでいたら、こんなことが書いてありました。
『丸井の役員は言う。「販社で売上高ランキングを作ったら、大学卒でバイヤー経験もある丸井の出向社員より、高校を卒業して販売会社で採用した20歳そこそこの女の子の方が上位にいた。会社に貢献しているのはどっちですか?」』
 私ならこの役員にこう答えます。「どちらも会社に貢献しています。貢献していないのは、大卒でバイヤー経験もある人に販売をやらせている貴様だ。」
 丸井の改革はたいへん注目すべき、なかなかよく考えられたものです。これは要するに、本社には戦略的部門だけをおき、現場は分社するということで、結局のところは、戦略部門と現場とでは求められている人材の水準も種類も違うのだ、ということを組織的に明確化したということに尽きます。単純に言って、販売なら人当たりがよくて話術が巧みで見てくれがよくて商品知識のある人がたくさんいればいいけれど、戦略部門には、まあありていに言えばもっと高度な人材がそれなりに必要だ、ということでしょう。で、従来の一括採用だとどうしても優秀な人をたくさん採ってしまい、それに応じた使い方をしようとするために、結果として人材がオーバースペックになる傾向があったので、それを防ぐために別会社にして別々に採るようにした、というところではないかと思います。
 したがって、これはひとえにこれまでの経営陣や人事部門の責任なのであり、過剰に採用されてしまった優秀な人材にはなんの罪もありません。
 そう理解すれば、実は丸井のリストラも報じられるほどには過酷なものではないことがわかります。実際、分社化に関してはかなりの程度労働組合と協議し、その同意を得ています。たとえば分社・転籍にあたって賃金減となる人については実に5年間の長き(!)にわたって調整給を支給するということで、この間いかにデフレでも多少の昇給はあるでしょうから、現実には賃金減はかなり例外的なものになるはずで、実際にはかなり穏健で漸進的な改革といえましょう。大なたを振るったかのように報じられているのは、投資家を意識した広報戦略という部分がかなりあるのではないでしょうか。それに乗せられて最初のような記事を書いてしまう日経ビジネスはいささかお粗末という感があります。

■2004/02/23 (月) 内定者に配属試験

 今朝の日経新聞によると、損保ジャパンは総合職新入社員を対象に希望配属部署の試験制度を導入するそうです。同社はこれまで新人の大半を営業と損害調査部に配属していたが、配属への不満から退社する新入社員が多く、希望の多い商品開発と資産運用、システム開発については選抜試験を実施し、優秀者は各部5人をメドに受け入れるのだそうです。ちなみに同社の内定者は「百数十人」ということですから、そのうち約1割の15人が「勝ち組」になるわけです。だったら最初から配属先限定で採用すればよさそうなものですが、そこは一応「内定を受けた後の方が学生も部署に関して正確な情報が得やすい」という理由で正当化しているようです。詳しくはわかりませんが、それにしてもいかにもうさんくさい制度です。
 営業と損害調査は損保の仕事の基礎でしょうから、従来新入社員の大半をここに初任配属してきたのは非常に理にかなっているでしょう。そして、現場を知り、基礎を固めてから他の分野(人によっては商品開発や資産運用など)に進むのはいたって正攻法の人材育成でしょう。
 一方でたしかに商品開発や資産運用は学生からみれば花形部署であり、泥臭い営業や損害調査の現場でを嫌って、こちらに内定者の配属希望が集中することもまた自然なことでしょう。資産運用やシステム開発は必ずしも損保会社でなくでもある仕事なので、泥臭い仕事は避けて、他業種への移動も念頭にスマートに資産運用やシステムのプロをめざすというのも若者には魅力的な生き方であるに違いありません。こうしたなかで、せっかくいい学生が採れたのに、期待をこめて現場に配属したらあっさりバイバイ、という事態が起きれば、こうした発想が出てくるというのもわからないではありません。
 とはいえ、やはり内定後に試験をするというところには苦しい事情を感じます。花形部署への配属前提の採用を導入すると、そこには優秀な学生が殺到しても、その補集合たる営業や損害調査配属前提の採用(こちらが大多数)は著しく魅力が低下して、人材確保に支障をきたすことは大いに懸念されます。それなら採用はドンブリのまま、こうした形で花形部署配属の魅力をアピールしたほうが得策という考え方はおおいにありうるものでしょう。採用担当者としては苦心の策でしょうが、それにしてもいささかグレーな印象も否めず、はたしてこれが奏効するか興味深いものがあります。


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