■2004/03/05 (金) 派遣のシンポジウム

 きょう開催された、日経新聞社主催の「ヒューマン・ストラテジー・フォーラム」というイベントに行ってきました。時間の関係で前半だけしか聴講できなかったのですが、労働者派遣法の改正(規制緩和)をうけて、企業の人材戦略・人事管理はどう変わるか、といったテーマのようでした。
 内容は別として感想をいくつか書きますと、入場無料でけっこう大々的に新聞広告が出たわりには客席の入りは六〜七部というところで、思ったほどには関心を集めていないかな、という印象でした。ただ、参加者には女性がかなり多数みられ、企業の人事管理の現場に女性が着実に進出していることを感じました。
 講師陣の顔ぶれをみると、公益の立場で学者やジャーナリスト、利用企業の立場で経営者や経済団体幹部、派遣会社の立場で人材ビジネス関係者、さらに行政からも厚生労働省の幹部といった人たちが参加していました。まあ、人事管理のフォーラムであって政策のフォーラムではないので、これでもいいのかもしれません。しかし、現実に派遣労働について考えるのであれば、やはり派遣で働く人の立場での講師がいてもよかったのではないでしょうか。ただし、普通ならそれは労働組合ということになるのでしょうが、たとえば連合の幹部が出てきて派遣労働者の代表です、といっても説得力がないことはなはだしいですし、かといっていくつか出てきている派遣労働者(を含む)労組についても、あまり派遣労働者をよく代表しているとはいえそうにありません。日本の派遣の問題点の一面がここに現れているということでしょうか。
 なお、内容に関しては、パネルの参加者が妙に口を揃えて「がんばって利用しよう」みたいなことを言っているのがちょっと不思議でした。まあ、派遣業者はがんばって利用してもらうにこしたことはないでしょう(笑)し、公益や役所も、せっかく規制緩和したのだから使ってほしい・・・という気持だと考えればわからないではありません。しかし、ユーザーの企業は「がんばって」まで使わなくてもいいんじゃないかと思うのですが。経営サイドの要望で実現した規制緩和だから、やっぱり使わなくちゃいけない、ということなのでしょうか。

■2004/03/04 (木) 増復配の意味するもの

 今日の日経ネタです(笑)。今朝の日経新聞は1面トップで「上場400社が増復配」「業績拡大、株主を重視」と報じました。「増復配は先行きに対する経営者の自信」や「企業が株主への利益配分を重視し始めた」ことの現れである、と述べています。証券アナリストの「日本企業の経営者にも使い道のない資金を配当で株主に配分するという意識がようやく広がり始めた」というコメントも紹介されています。
 株主重視は外面的にはたしかにそのようにみえますし、企業サイドのコメントも株主への還元を強調したものが多いのだろうと思います(まあ、本音では株主への還元以上に株価の数字そのものを意識しているのではないかという気がしますが、それもまさに株主の利益に直結するわけですし)。
 ただ、配当に関してはこれまでの経済低迷、業績悪化のなかで無配転落や大幅減配を余儀なくされていた企業も多いので、こうした企業が増復配するのがどれほど「株主重視」と威張れるのかはいささか疑問もあります。
 これに関連してもう一つ注目すべきなのは、配当は比較的容易に減少させたり中断したりすることができる、ということです。「安定配当」という考え方を掲げる企業はまだ多いでしょうが、とはいえ基本的に配当は企業にとって「変動費」的性格が強いものであることは間違いありません。賃金や設備投資のような「固定費」的性格が強いものとは異なります。そういう意味では、資金を賃金引き上げや設備投資ではなく配当に振り向けるというのは、「業績悪化すればいつでも減らせる」という理由も大きいのではないかと思われ、となると「経営者の自信の表れ」とまでいうのはいささか楽観的すぎるようにも思われます。
 そういう意味では、今次春闘での各社の賞与の回答に注目すべきでしょう。おそらく前年より回答を積み増す企業が多数ではないでしょうか。これは変動費的なるものに振り向けるという意味では増配と同様です。であれば、増配はもちろん株主重視に違いないでしょうが、配当と同時に賞与も増額しているのであれば、必ずしも株主の利益が他の関係者の利益より重視されているとまでは言い切れないように思います。

■2004/03/03 (水) 田中知事の見識を疑う

 なにかとお騒がせな(悪いわけじゃないが)長野県の田中知事ですが、こんどは選挙人名簿に二重登録されるという事態を引き起こしたそうです。ことのおこりは田中知事が「小さくてもがんばっている村に住民税を払いたい」とのことで住民票を長野市から長野県下伊那郡泰阜村に移したことにはじまります。これに対し長野市選管が「知事の生活の本拠は依然として長野市にあり、転出した事実が確認できない」として選挙人名簿から抹消しないことを決定しましたが、泰阜村選管は「知事は地域の会合に出席するなど転入の実態がある」とのことで知事を選挙人名簿に登載したため、二重登録となったとのことです。ちなみに、二重登録状態になった場合は知事が決定することになっているそうですが、長野市は知事が泰阜村に決定した場合は取り消しの行政訴訟を起こす構えとか。
 二重登録もさることながら、特定の自治体に納税するために住民票を移すというのはいかがなものなのでしょうか。選挙のたびごとに創価学会員が特定の選挙区に住民票を移すというウワサがありますが、それと同じようなものではないかと思います。地方税というのは、行政サービスの財源になるわけですから、基本的に応益負担で自分が行政サービスを受けている自治体に納税するのが常識的ではないかと思います。がんばっている村を応援したいなら寄付などの方法もあるわけで、それが他の自治体の行政サービスにフリーライドすることの理由にはならないのではないでしょうか。県知事といえば自治体の首長なのですから、この見識には首をかしげざるを得ません。

■2004/03/02 (火) ロンドンのロードプライシングの成否は?

 時事通信によれば、ロンドンの交通渋滞解消を目的に1年前に導入された「混雑料金制度」が予想以上の効果をあげ、交通量がなんと38%も減少したそうです。交通渋滞も、導入前の平均時速5キロから13.5キロにまで改善したとか。東京でいわゆる一般道がスムーズに流れれば、信号待ちも含めて郊外ならだいたい時速30キロくらい、都心だと20キロくらいでしょうか。時速5キロは徒歩と同じですから、かなりの改善といえましょう。
 ちなみに料金は1日5ポンドだそうで、日本でいえば千円札一枚というところです。比較はできませんが、首都高の料金が普通車700円というのを参考にしてもけっこうな額で、これなら大幅な効果が出たのも、そうかな、という感じです。
 いっぽう、対象地区内の繁華街の買い物客も11.6%減少するなど経済面での打撃も大きく、この1年で約2億5千万ポンド、約500億円の損失が発生しているという見積もりもあるのだとか。
 この制度が導入された1年前、東京都の石原都知事は東京都心部、山手線内部を念頭に、同様の制度を導入することに意欲を示していましたが、ロンドンでのこの結果をどのように受け止めているのでしょうか。単純に比較はできませんが、ロンドンの対象区域は「山手線内」よりはかなり狭いようです。私は個人的には都心の渋滞が解消するなら千円くらい払ってもいいかな、という気はしますが、導入したはいいが商業者から悲鳴があがって短期間で廃止、というみっともない話にならないように気をつけたほうがよさそうに思います。むしろ、地元の地域エゴで進展していない環状道路の整備を進めるなど、先に取り組むべき課題があるのではないでしょうか。

■2004/03/01 (月) 正社員にこだわろう

 グローバルビジネスリサーチセンター(GBRC)という、東大の学者が中心になってつくったNPOがありますが、その中にある「社会ネットワーク研究所」という組織が若年雇用・就職問題の研究を行っています。ちょっと古めの生産性新聞(2月5日号)を見ていたら、その所長の安田雪さんという人のインタビューが出ていました。それによれば、同研究所の調査によれば社会ネットワーク研究所が実施した独自調査の結果をもとに、就職を希望する高校生の約4分の3は長期勤続の正社員を希望しているとのことで、若者にはフリーター志向が強いというのは偏見だということです。そして、仕事を通じてキャリアを積み上げ、能力を伸ばせるのは正社員であってこそであり、若者は正社員にとことんこだわって就職活動をすべきだと薦めています。まことに同感といえましょう。
 こうした発言をみるにつけ、「13歳のハローワーク」のようなシバキ系自立論がどんどん流行おくれ、時代遅れになっていると感じます。


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